挫折した召喚勇者は転生勇者の師匠になりました (タイトル変更)
狙撃エルフの正体
秒速35メートル。
この速さは100メートルを3秒切る速度で駆け抜けてくる。
走ることに特化した短距離走のトップ選手の3倍……どれだけ早いんだ?
しかし、拳銃から放たれる速度は秒速350メートル。
その10倍。 さらに、さらに――――
遠距離狙撃用のライフルなら秒速1000メートル。
もちろん、狙撃エルフが使用している武器はライフルそのものではない。
だが、その性能は、ボウガンを機械的なアプローチから強化させ、さらに自身の魔力を使用して弾丸の空気抵抗を限りなく0に近づけている。
――――結果、飛距離と命中率は、ライフルを凌駕している。
弾道にアイルは立つ。
腕には剣のみ。 それも本物の剣ではなく模造刀。
模造刀にアイルの魔力が灯っていく。
『武具強化』
刀身に揺らめく魔力は、平凡な模造刀を名刀へ変える。
そして、弾丸の通り道に肉体を晒す。
「――――来る!」
動体視力なんで役に立たない超スピード。 視覚では認識できないはずの遠距離。
にも関わらず、何を感じ取ったのかアイル?
宙に剣を振るう。
その直後には、けたたましい金属音と破壊音。
跳弾
剣と接触して、跳ね上がった弾丸が天井に穴を開けた。
「――――ッ!? わ、私が耐えれる残り時間が1分を切った」
聞きたくない報告だった。 そのまま、アイルは部屋を飛び出そうと動く。
しかし、弾丸の再装填まで猶予は数秒。
駆け出したアイルはすぐさま足を止め、剣を振るう。
2発目
再び轟いた金属音。 今度は壁に穴が空く。
「あと、数十秒。大丈夫耐えれる!」
アイルはドアを潜り抜けた。
トイレは近場。 十分に間に合う距離だ。
しかし――――
「私が来た!」
アイルの行く手を阻むように現れたのは遠くから狙いを定めているはずの狙撃エルフだった。
「どうだい? ビビッたかね? 簡単なトリックだ――――ぶへぇ!」
狙撃エルフの顔面にアイルの拳がめり込んだ。
そのまま、仰向けにダウンしたエルフの鼻から血を垂れているが、アイルは一瞥もすることなく、トイレに向って走り抜けていた。
・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「あの~ キョウくん? これは一体、なんですか?」
椅子に座り、ぐるんぐるんに縄で巻きつけられた狙撃エルフは涙目で言う。
「……自分がどうして縛られているのか、理由がわからないのか?」
「理由? ちょっと、はしゃぎすぎました。てへ?」
「てへ……じゃねぇよ! お前、それで実弾で狙ってくるか? 普通?」
「だって、だって、キョウくんも、サクラちゃんも今まで連絡なしで、困った時だけ急に呼び出すですもの! ぷんぷんですよ!」
俺は呆れていた。まさか、狙撃の理由がメイドの言っていた通りだったとは……
「あの……」とインターが手を上げて質問してきた。
「この人の話、支離滅裂なんですが……本当に人間なのでしょうか?」
「ひど! この子、大人しくて可愛らしいの辛辣!」
「インター。ご覧の通り、このエルフは、こういう生物だ。下手に理解しようするな。精神を飲まれるぞ」
「なんです! キョウくん! 私を怪物みたいな!」
バタバタと足を踏んで暴れるエルフ。
「どうだアイル? これがお前が憧れていたクールビューティな狙撃エルフだぞ」
「知らなければ、私はまだ生きていけたわ」
絶望した顔のアイル。それを見た狙撃エルフは――――
「みんなひどい!」と叫ぶのだった。
それから暫くして「それで、どうやった?」と俺はため息混じりに聞いた。
「どうやったって? 何を?」
「2キロ先から狙撃していたはずのお前が屋敷の反対側から出現した方法だよ」
「え? 簡単だよ? 2キロ先から狙撃していたのは私だけど、それは最初だけ。その後は別の人に任せて、私は屋敷に潜入していたのです」
「……何を言ってるんだ? それじゃまるで――――」
狙撃手は2人いた?
それを理解した瞬間、ゾクリとした寒気が走った。
俺は殺気や気配みたいなものは感じられない。
しかし、そんな俺でも感じられるほどに禍々しい人の意思。
俺は咄嗟にエルフを蹴り倒す。蹴倒され「ぎゃん」と声を出すエルフだったが、説明している暇はない。
部屋にある金属製の椅子。誰も座っていない。
俺は殺気を感じる方向へ――――狙撃ラインに向けて椅子を投げた。
この速さは100メートルを3秒切る速度で駆け抜けてくる。
走ることに特化した短距離走のトップ選手の3倍……どれだけ早いんだ?
しかし、拳銃から放たれる速度は秒速350メートル。
その10倍。 さらに、さらに――――
遠距離狙撃用のライフルなら秒速1000メートル。
もちろん、狙撃エルフが使用している武器はライフルそのものではない。
だが、その性能は、ボウガンを機械的なアプローチから強化させ、さらに自身の魔力を使用して弾丸の空気抵抗を限りなく0に近づけている。
――――結果、飛距離と命中率は、ライフルを凌駕している。
弾道にアイルは立つ。
腕には剣のみ。 それも本物の剣ではなく模造刀。
模造刀にアイルの魔力が灯っていく。
『武具強化』
刀身に揺らめく魔力は、平凡な模造刀を名刀へ変える。
そして、弾丸の通り道に肉体を晒す。
「――――来る!」
動体視力なんで役に立たない超スピード。 視覚では認識できないはずの遠距離。
にも関わらず、何を感じ取ったのかアイル?
宙に剣を振るう。
その直後には、けたたましい金属音と破壊音。
跳弾
剣と接触して、跳ね上がった弾丸が天井に穴を開けた。
「――――ッ!? わ、私が耐えれる残り時間が1分を切った」
聞きたくない報告だった。 そのまま、アイルは部屋を飛び出そうと動く。
しかし、弾丸の再装填まで猶予は数秒。
駆け出したアイルはすぐさま足を止め、剣を振るう。
2発目
再び轟いた金属音。 今度は壁に穴が空く。
「あと、数十秒。大丈夫耐えれる!」
アイルはドアを潜り抜けた。
トイレは近場。 十分に間に合う距離だ。
しかし――――
「私が来た!」
アイルの行く手を阻むように現れたのは遠くから狙いを定めているはずの狙撃エルフだった。
「どうだい? ビビッたかね? 簡単なトリックだ――――ぶへぇ!」
狙撃エルフの顔面にアイルの拳がめり込んだ。
そのまま、仰向けにダウンしたエルフの鼻から血を垂れているが、アイルは一瞥もすることなく、トイレに向って走り抜けていた。
・ ・ ・
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「あの~ キョウくん? これは一体、なんですか?」
椅子に座り、ぐるんぐるんに縄で巻きつけられた狙撃エルフは涙目で言う。
「……自分がどうして縛られているのか、理由がわからないのか?」
「理由? ちょっと、はしゃぎすぎました。てへ?」
「てへ……じゃねぇよ! お前、それで実弾で狙ってくるか? 普通?」
「だって、だって、キョウくんも、サクラちゃんも今まで連絡なしで、困った時だけ急に呼び出すですもの! ぷんぷんですよ!」
俺は呆れていた。まさか、狙撃の理由がメイドの言っていた通りだったとは……
「あの……」とインターが手を上げて質問してきた。
「この人の話、支離滅裂なんですが……本当に人間なのでしょうか?」
「ひど! この子、大人しくて可愛らしいの辛辣!」
「インター。ご覧の通り、このエルフは、こういう生物だ。下手に理解しようするな。精神を飲まれるぞ」
「なんです! キョウくん! 私を怪物みたいな!」
バタバタと足を踏んで暴れるエルフ。
「どうだアイル? これがお前が憧れていたクールビューティな狙撃エルフだぞ」
「知らなければ、私はまだ生きていけたわ」
絶望した顔のアイル。それを見た狙撃エルフは――――
「みんなひどい!」と叫ぶのだった。
それから暫くして「それで、どうやった?」と俺はため息混じりに聞いた。
「どうやったって? 何を?」
「2キロ先から狙撃していたはずのお前が屋敷の反対側から出現した方法だよ」
「え? 簡単だよ? 2キロ先から狙撃していたのは私だけど、それは最初だけ。その後は別の人に任せて、私は屋敷に潜入していたのです」
「……何を言ってるんだ? それじゃまるで――――」
狙撃手は2人いた?
それを理解した瞬間、ゾクリとした寒気が走った。
俺は殺気や気配みたいなものは感じられない。
しかし、そんな俺でも感じられるほどに禍々しい人の意思。
俺は咄嗟にエルフを蹴り倒す。蹴倒され「ぎゃん」と声を出すエルフだったが、説明している暇はない。
部屋にある金属製の椅子。誰も座っていない。
俺は殺気を感じる方向へ――――狙撃ラインに向けて椅子を投げた。
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