挫折した召喚勇者は転生勇者の師匠になりました (タイトル変更)
ダンジョンの意思
『創造者の地図』から『真紅の稲光』のコンボ。
炎属性の魔法 『真紅の稲光』
短い詠唱によって、質量を有した炎を高速で打ち出す魔法。
しかし、短詠唱とは言え、発動まで数秒の時間が必要だ。
それは接近戦では致命的な時間。
例えば、拳闘士。 世界トップレベルの拳闘士なら1秒で5発のパンチが打てると考えたら、どれほど致命的か理解できるだろう。
だから、通常は短詠唱でも距離を取って狙いを定めて――――
その基本を崩すためのコンボ。
無詠唱によって相手を強制的に移動させる『創造者の地図』
これを利用して接近戦で相手を回避不能の空中へ強制移動。
身動きの取れない相手に『真紅の稲光』のつるべ射ち。
必勝のコンボだ。
しかし、そのコンボも喰らって焼け落ちて―――― 復元とも言える再生能力を持つ相手には……
「――――ッ! 今まで空中回避、魔法での相殺。単純に超防御で防いだ奴もいたが、流石に元通りに回復するって奴は少数派にはいるぜ」
焼肉のような香ばしい香りが漂う中、緑髪の男を賞賛した。
しかし、緑髪の男は俺に視線を合わせず、虚空を見つめたまま、ぱくぱくと口を動かしている。
「何をしている? 詠唱? それとも……他の世界とチャンネルを合わせている?」
俺の独り言。だが、返答はあった。
誰から? 目前の、緑髪の男。 虚ろだった眼の色に輝きが灯り、いきなり俺と視線を合わせてきた。
「いや、違う。コミュニケーションの手段を学習していた――――始めまして人類。 我々はダンジョンの意思だ」
「――――はぁ?」
・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「水は55層の滝から瀑布だけを集めた物を熱して、葉は85層の偽りの世界樹から取れたもの乾燥させた物だ」
緑色の男はお茶を用意してきた。 最後に「どうぞ、粗茶ですが」と加えられたが、製法を聞く限り家が一軒は建てられそうな価値がありそうだ。
ダンジョンでお茶。
それも階層主の部屋にテーブルと椅子を置いて、まるでピクニック。
普段なら話し合いのテーブルにつくことはない。 しかし、アイルの方がホイホイと椅子に座り、バリバリと用意された菓子を食べ初めてしまった。
「これ、ゴデゥバくらいに繊細な味わいだわ。はぁ……美味しすぎてため息が出ちゃうわ」
これにより戦いの興が削がれた。
「しかし、菓子か……このダンジョンにサトウキビやテンサイと言った砂糖の元はなかったと思うが?」
「えぇ、少し町まで足を伸ばして購入したものです」
男の返答に俺は「……」と言葉を飲み込んだ。 コイツ、スライムから生まれたばかりではないのか?
「定型文ですが、毒は入っていませんよ。2人とも毒を無効化する術をもっているようですがね」
男は朗らかな微笑みをみせた。 先まで戦っていた相手、特に無抵抗な自分を焼き払った俺に敵
意はないのだろうか?
「……話をしよう。 ダンジョンの意思とはなんだ?」
「そのままの意味です。 ダンジョンには意思があり、我々はその言葉を人類に伝えるために生み出された存在。インターフェースのようなものです」
「ダンジョンに意思がある。とても信じられない話だ。 だが、何かの比喩でもあるまい」
「はい、そのままの意味です。地球を1つ生物だと認識するガイア理論と比べれば、少しばかりスケールの落ちる話ですがね」
どこか自虐的に感じるように男は笑った。しかし――――
「前置きは良いから、早く本題に入って頂戴」
アイルが鋭い視線を飛ばした。 これには男も驚きの表情をみせる。
俺も驚いた。しかし、よく見ればアイルの前にはお茶とお菓子がないくなっている事に気づく。
……こいつ、食べるもの食べたら、俺たちの会話に飽きたから急がせたな!
そんな理由とは知らず男は「これは失礼しました」と頭を下げた。
「まずダンジョンは混乱してます」
「混乱?」
「同時に2人の異世界人……それも勇者がダンジョン内に侵入した前例がないもので」
「ちょっと、待ってインターくん」とアイル。
「インターくん?」と男は困惑している。 たぶん、インターフェースから取ったのだろう。
アイルは、男の困惑に関係なく話しを進める。
「ダンジョンが私たちを異世界人と認識しているって事は、逆に言えばダンジョンは異世界についての知識があるって事よね?」
ん? いや、その発想は……正しいのか?
緑髪の男あらためインター君の反応は?
「はい」と肯定した。
「この世界におけるダンジョンの存在意義とは人類に成長を促す事にあります」
炎属性の魔法 『真紅の稲光』
短い詠唱によって、質量を有した炎を高速で打ち出す魔法。
しかし、短詠唱とは言え、発動まで数秒の時間が必要だ。
それは接近戦では致命的な時間。
例えば、拳闘士。 世界トップレベルの拳闘士なら1秒で5発のパンチが打てると考えたら、どれほど致命的か理解できるだろう。
だから、通常は短詠唱でも距離を取って狙いを定めて――――
その基本を崩すためのコンボ。
無詠唱によって相手を強制的に移動させる『創造者の地図』
これを利用して接近戦で相手を回避不能の空中へ強制移動。
身動きの取れない相手に『真紅の稲光』のつるべ射ち。
必勝のコンボだ。
しかし、そのコンボも喰らって焼け落ちて―――― 復元とも言える再生能力を持つ相手には……
「――――ッ! 今まで空中回避、魔法での相殺。単純に超防御で防いだ奴もいたが、流石に元通りに回復するって奴は少数派にはいるぜ」
焼肉のような香ばしい香りが漂う中、緑髪の男を賞賛した。
しかし、緑髪の男は俺に視線を合わせず、虚空を見つめたまま、ぱくぱくと口を動かしている。
「何をしている? 詠唱? それとも……他の世界とチャンネルを合わせている?」
俺の独り言。だが、返答はあった。
誰から? 目前の、緑髪の男。 虚ろだった眼の色に輝きが灯り、いきなり俺と視線を合わせてきた。
「いや、違う。コミュニケーションの手段を学習していた――――始めまして人類。 我々はダンジョンの意思だ」
「――――はぁ?」
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「水は55層の滝から瀑布だけを集めた物を熱して、葉は85層の偽りの世界樹から取れたもの乾燥させた物だ」
緑色の男はお茶を用意してきた。 最後に「どうぞ、粗茶ですが」と加えられたが、製法を聞く限り家が一軒は建てられそうな価値がありそうだ。
ダンジョンでお茶。
それも階層主の部屋にテーブルと椅子を置いて、まるでピクニック。
普段なら話し合いのテーブルにつくことはない。 しかし、アイルの方がホイホイと椅子に座り、バリバリと用意された菓子を食べ初めてしまった。
「これ、ゴデゥバくらいに繊細な味わいだわ。はぁ……美味しすぎてため息が出ちゃうわ」
これにより戦いの興が削がれた。
「しかし、菓子か……このダンジョンにサトウキビやテンサイと言った砂糖の元はなかったと思うが?」
「えぇ、少し町まで足を伸ばして購入したものです」
男の返答に俺は「……」と言葉を飲み込んだ。 コイツ、スライムから生まれたばかりではないのか?
「定型文ですが、毒は入っていませんよ。2人とも毒を無効化する術をもっているようですがね」
男は朗らかな微笑みをみせた。 先まで戦っていた相手、特に無抵抗な自分を焼き払った俺に敵
意はないのだろうか?
「……話をしよう。 ダンジョンの意思とはなんだ?」
「そのままの意味です。 ダンジョンには意思があり、我々はその言葉を人類に伝えるために生み出された存在。インターフェースのようなものです」
「ダンジョンに意思がある。とても信じられない話だ。 だが、何かの比喩でもあるまい」
「はい、そのままの意味です。地球を1つ生物だと認識するガイア理論と比べれば、少しばかりスケールの落ちる話ですがね」
どこか自虐的に感じるように男は笑った。しかし――――
「前置きは良いから、早く本題に入って頂戴」
アイルが鋭い視線を飛ばした。 これには男も驚きの表情をみせる。
俺も驚いた。しかし、よく見ればアイルの前にはお茶とお菓子がないくなっている事に気づく。
……こいつ、食べるもの食べたら、俺たちの会話に飽きたから急がせたな!
そんな理由とは知らず男は「これは失礼しました」と頭を下げた。
「まずダンジョンは混乱してます」
「混乱?」
「同時に2人の異世界人……それも勇者がダンジョン内に侵入した前例がないもので」
「ちょっと、待ってインターくん」とアイル。
「インターくん?」と男は困惑している。 たぶん、インターフェースから取ったのだろう。
アイルは、男の困惑に関係なく話しを進める。
「ダンジョンが私たちを異世界人と認識しているって事は、逆に言えばダンジョンは異世界についての知識があるって事よね?」
ん? いや、その発想は……正しいのか?
緑髪の男あらためインター君の反応は?
「はい」と肯定した。
「この世界におけるダンジョンの存在意義とは人類に成長を促す事にあります」
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