第四十三話　各3つの島の海域にいる艦の行動

　駆逐艦と巡洋艦に守られながら、海上でダンジョンからモンスターが押し寄せてこないか見張りを行っていた。

　空母の艦長はサガナ島ダンジョン攻略の任の失敗で頭を悩ませていたがこの失敗で、いつモンスターが島を狙ってきてもおかしくないと考えている時に、一人の水兵が報告に来る。


「艦長！鹵獲された駆逐艦がユーラシア島に向けて進軍しているのを偵察機が確認しました！又、リッツ島とグワン島にも進軍している事が偵察任務中の潜水艦から報告されています」


　空母の艦長は、攻めてきたかと頭を悩ませながら。


「各艦に鹵獲された全艦を撃沈せよと指示、5隻は空母の護衛として同行させよ」


　水兵は艦長の指示を聞き、急いで同行している艦に艦長の指令の指示を伝えに行くのであった。

　艦長は悩む、もしサガナ島で鹵獲してきた存在が攻めてきたなら全滅するのではないかと。




　一方、リッツ島の海域の見張りを行っていた駆逐艦と戦艦は偵察任務のために先行していた潜水艦からの報告を聞くと戦艦の艦長は不思議に思った。

　何故、鹵獲された駆逐艦しか攻めてこないのか、そう考えると何かしら我々を撃破できる力があるのだろうと考える。


「各艦に通達、輪形陣で敵艦と戦闘すると」


　戦艦の艦長がそう伝えると戦艦と駆逐艦の陣形が単縦陣から輪形陣に変わっていき、開戦に向けて準備をするのであった。




　グワン島の海域で航行する駆逐艦は大型の昆虫のモンスターやゴブリンなどのモンスターがグワン島を支配していて、そこから他の島に来ないか見張りをしていた。

　緊張状態で見張りをする駆逐艦の乗員たちに嫌な情報が入ってくる、それは、グワン島に向けて鹵獲された駆逐艦が攻めてきている事だ。

　もし、鹵獲された駆逐艦とグワン島にいる大型の昆虫モンスターが仲間で攻めてくると考えているのだ。


「上に報告して後退するべきだ」

「後退は命令違反になるからしないべきだ」

「無駄死には俺は嫌だぞ、すぐにでも後退するべきだ」


　全駆逐艦内で恐怖状態になる乗員達、しかし、駆逐艦の艦長たちは冷静にしながら、上からの命令を待っていた。

　そして数分後。


「艦長、各島と大陸からの指令で遠くから偵察をしながら、攻撃を受けた又は敵が接近してきた場合は撤退せよとの命令です」


　駆逐艦の艦長たちの空気は重くなる、ただでさえ乗員達の士気が低いのに、偵察命令が出たことからどうやって士気を保たせるか悩むことになったのである。


「各乗員に通達、私と共に行動する兵士は私が指揮するロッド艦に集結せよと、残りは他の艦に乗員して撤退せよ、全責任は私が持つ」


　一人の艦長がそう言うと、席を立ち行動しようとすると、他の艦長たちは心配する。

　それは、グワン島の見張り責任者が全責任を持って行動しようとしているのだ、重要命令違反として最悪死刑にされてもおかしくないのである。


「皆そんな顔をするな、私はもう70になるんだ、老いた艦長が多少、命令違反をしながら無茶して死んでいっても問題は無いだろう」


　そう言って、最高責任者の艦長は自身が指揮する駆逐艦に戻るのであった。

　死地という名の偵察に同行すると言った者は8名で全員年をとった高齢者達で構成された、不参加の者達は全員、他の駆逐艦に乗員して撤退していく。


「皆、すまん、危険な偵察任務だが協力してくれてありがとう」


　艦長がそう言うと。


「艦長、俺らも年だ、若者が死ぬより俺らが仕事をして若者共の未来を守るのも一つだろう」

「皆、若い者達のためにとやる気を持って動いているんだ、そんなことを言わないでくれ」

「そうだぞ、今から俺達は死地に偵察しに行く共同体だからそんな顔しないでくれ」


　と艦長を励ますように言いながら笑う水兵達、艦長は申し訳ないという気持ちでいっぱいだったが必ず生きて帰還せねばと思うのであった。


　偵察任務に出ていた潜水艦は進軍中の魚人と駆逐艦に見つからずにサガナ島に目指していたが、道中ホホロドザメに襲撃を受けて海の藻屑となるのであった。

　もし、潜水艦の乗員達が海中を泳ぐ魚人に気付いていたら各3つの島の海域にいる艦の行動や指令は変わっていたかもしれない、しかしそれは遅すぎた出来事であった。