電気使いは今日もノリで生きる
シオン先輩の能力
葉月一週目土曜日
突然目の前に水の精霊が現れた…って言われても何がなにやらよくわかっていない。それはクレアも同じようで僕と同じく呆然としている。唯一動けたのは同じ精霊のイフリートだった
『ほらほら、目の前に精霊が現れたわよ。どうするの?』
は!そうだ。目の前に精霊が現れた時は…
「これは、精霊さま、自分、ミライというものです。以後、お見知り置きを」
『…』
「ぎゃあああああああ、ごめん、いや、すみません。すみませんでしたぁ!」
『あんたなんで私の時と反応が違うよぉ!』
それを言ったらフェンリルの時も似たような感じでしたよっていうか燃やさないで!燃やさないでください。熱いです。熱いですって。
『ははは、イフリート、あなた、楽しい人と契約したのね』
『いや、私と契約したのはあっちよ。クレアっていうの』
『へ、へぇ。そうなんだ』
「ドン引きしてないか?」
イフリートの反応や僕達の会話を聞いてウィンディーネが少しだけ引いた気がした。精霊に苦手とされる精霊って…イフリートかわいそうに
『ちょっと!なんで私が可哀想な役回りになっているのよ!可哀想なのはあなた!というか精霊相手にその態度はどうなのよ…』
「すみませんでした」
『今さら気にしないわ。転移者って大抵そんなんだし…そういえばウィンディ、あなたどうしてここに来たの?もしかしてミライと契約にでもしに来た?』
「そんな簡単に契約できるのか?」
ならあのダンジョンで僕達が頑張ったのはなんだったんだって話になるんだけど。あそこまで死ぬ思いして勝ち取ったというのにこんな簡単に手に入れられるとなれば…まあいいか
『イフってよく面白い人をひくわよね』
『こんなやつなのよ。慣れるしかないわ』
「なんだか馬鹿にされている気がするんだけど」
「まあまあ、落ち着いて、それで、えっと…ウィンディーネ様?」
『ウィンディーネで、いいわ。あなたは契約者だし、呼び捨てでも構わないわよ』
「てことは僕はダメなんですね」
まあ精霊なんてもともと人間よりも格上の存在であるわけだし敬語になるのも仕方がないか。イフリートは…その、もう無理です。
『いいわよ、認めた人間にもタメ口を許すわ…王クラスを倒しているあなたにもその資格があるし』
『まあイフが認めているのならいいわよ…ってあなたが王を倒したのね。ふーん』
ジロジロと見られる。えっと…できればやめていただきたいのですが。それにしても僕も許されたのか。よかったぁ。なんだかんだでアルトリアを倒していてよかった。でもあれは僕だけじゃなくてみんなの力があってこそだたけど。
『それでもあなたが中心だったからいいのよ』
「今回は僕が途中で倒れちゃったしね」
「まあそういう感じなのかな」
『いきすぎた謙遜も傲慢に繋がるわ。気をつけときなさい』
「はい」
そういえばそんなこともあったっけ。確かによくテストとかの前で『僕全然勉強していないから〜』って言っていたのに高得点を取っているやつを見たらふざけんなって思っていたな。いや本当に勉強していなくて地頭だけで取ったのかもしれないけどいい気持ちにはなれなかったな。それと同じようなものか
「テスト?あー単位修得のために必要なやつか。学期ごとの終わりにするって言っていたな」
『それだとあなたたちは全部落としたことになるわね』
「「…」」
悲しいことを言わないでくれよ。いやほら、ユンさんのやつは事情を鑑みて『あなたたちがダンジョンにいたことを認めることになるからしないんじゃないかしら』それもそうやん。
「つまりはフル落単か」
「学校が始まって以来の出来事だよきっと。そんなひと聞いたことない」
なんとまあ不名誉な名前を頂いたわけですか。でも学校のシステム上、留年というシステムがないのは気が楽だな。転移者の中で僕だけが卒業が遅れますってなったら恥ずかしくていられないもんな…その時は中退して適当に冒険者にでもなるか
『あら、それもいいじゃない。どうせなら振り切ってダンジョンに潜りまくって精霊と契約したら?あなたみたいなの好きな精霊もきっといるわよ』
「そういう人生もいいかもな…」
『イフ、さすがに人間をダメな方向に進ませるのは見過ごせないわよ』
『あーごめん』
『まったく…話が進まないわね。って私がここに来た理由まったく話していないじゃないの』
『そういえばそうね。どうしたの?』
僕らはウィンディーネの方を注目する。さすがにこれ以上ふざけている場合ではないと思ったからだ。どんな形であれ精霊がこうして僕たちの元を訪れているわけだしきっとかなり深刻な問題が起きているんだろう
『簡単に伝えると、私の契約者はシオン・レリアシス。風の国の王子よ』
「え?」
「まじか?」
シオン先輩がウィンディーネの契約者?まじかよ。知らなかった…っていうかシオン先輩ってスキル『氷』じゃなかったの?それなのに水の精霊と契約なんてできるのだろうか
『契約自体はできるわよ?じゃなきゃあなたが契約するチャンスないじゃない』
「それもそうか」
言われてみればそうだな。もし自分のスキルと同じ精霊しか契約をすることができないというのならあの時、ダンジョンで入った時点でクレアしか契約を行うことができなかったわけだ。てか『理』の精霊とか『空間』の精霊ってどんなんだよ…
『それからシオンのスキルは「氷」じゃなくて「水」よ。普段は隠しているだけ』
「そんなことできるの!?」
「まさか…」
水は凍れば氷になる。氷も水もどちらも構成している元素は同じ。単に温度によって形状が異なっているだけだ。まさかシオン先輩、自分の魔法を発動する時に毎回毎回あえて温度を下げて発動させていたのか?ということはかなり魔力のコントロールが上手なことになるな
『ええ、まあ属性詐欺なんてよくあることよ。メイだって…それにミライ、あなたも詐欺っぽいわよ?』
「いや僕のはどう見ても電気一択でしょ」
「え?メイちゃんって属性詐欺してたの?」
「あー…」
『聞かなかったことにしてちょうだい』
「別にいいけど」
そういえばメイさんのスキルを「火」だと勘違いしていたんだっけ。別に訂正する機会がなかったし…それにフランさんに伝わることを恐れていたみたいだから僕もあえて話すようなことはしていなかったしな
「でも、ならどうして僕らのところに来たんだ?シオン先輩になにかあったとか?」
まあどうせ僕らを驚かせたかったかそれか僕らの安否が気になって精霊を使いにしたとかそういう感じだろうな。あの人がやられることなんて想像できないし
『ええ、そうよ。今、「風」の国が魔族に乗っ取られそうなの』
「え?」
「は?」
『あー…』
いやそれはまじかよ。てかまた魔族絡み。僕らつい先日に魔族の王と戦ったばっかりだっていうのに。てかイフリート、お前何か気がついていたのか?
『さっき、「世界」が発動した気配がしたのよね…まさか他にも魔族がいたなんて』
「えっと、それで、乗っ取られそう、というのはどういうことでしょうか?」
「それに、サリア先輩との婚約も!?」
『まあ、それについては一つ一つ説明していく必要があるわね』
僕らが矢継ぎ早に質問を重ねていくのでまたしてもウィンディーネは引いてしまった。それでもちゃんと丁寧に質問に答えてくれるあたり、自体は深刻なのだろう。そして僕らはウィンディーネを通して風の国の実情を知った。
突然目の前に水の精霊が現れた…って言われても何がなにやらよくわかっていない。それはクレアも同じようで僕と同じく呆然としている。唯一動けたのは同じ精霊のイフリートだった
『ほらほら、目の前に精霊が現れたわよ。どうするの?』
は!そうだ。目の前に精霊が現れた時は…
「これは、精霊さま、自分、ミライというものです。以後、お見知り置きを」
『…』
「ぎゃあああああああ、ごめん、いや、すみません。すみませんでしたぁ!」
『あんたなんで私の時と反応が違うよぉ!』
それを言ったらフェンリルの時も似たような感じでしたよっていうか燃やさないで!燃やさないでください。熱いです。熱いですって。
『ははは、イフリート、あなた、楽しい人と契約したのね』
『いや、私と契約したのはあっちよ。クレアっていうの』
『へ、へぇ。そうなんだ』
「ドン引きしてないか?」
イフリートの反応や僕達の会話を聞いてウィンディーネが少しだけ引いた気がした。精霊に苦手とされる精霊って…イフリートかわいそうに
『ちょっと!なんで私が可哀想な役回りになっているのよ!可哀想なのはあなた!というか精霊相手にその態度はどうなのよ…』
「すみませんでした」
『今さら気にしないわ。転移者って大抵そんなんだし…そういえばウィンディ、あなたどうしてここに来たの?もしかしてミライと契約にでもしに来た?』
「そんな簡単に契約できるのか?」
ならあのダンジョンで僕達が頑張ったのはなんだったんだって話になるんだけど。あそこまで死ぬ思いして勝ち取ったというのにこんな簡単に手に入れられるとなれば…まあいいか
『イフってよく面白い人をひくわよね』
『こんなやつなのよ。慣れるしかないわ』
「なんだか馬鹿にされている気がするんだけど」
「まあまあ、落ち着いて、それで、えっと…ウィンディーネ様?」
『ウィンディーネで、いいわ。あなたは契約者だし、呼び捨てでも構わないわよ』
「てことは僕はダメなんですね」
まあ精霊なんてもともと人間よりも格上の存在であるわけだし敬語になるのも仕方がないか。イフリートは…その、もう無理です。
『いいわよ、認めた人間にもタメ口を許すわ…王クラスを倒しているあなたにもその資格があるし』
『まあイフが認めているのならいいわよ…ってあなたが王を倒したのね。ふーん』
ジロジロと見られる。えっと…できればやめていただきたいのですが。それにしても僕も許されたのか。よかったぁ。なんだかんだでアルトリアを倒していてよかった。でもあれは僕だけじゃなくてみんなの力があってこそだたけど。
『それでもあなたが中心だったからいいのよ』
「今回は僕が途中で倒れちゃったしね」
「まあそういう感じなのかな」
『いきすぎた謙遜も傲慢に繋がるわ。気をつけときなさい』
「はい」
そういえばそんなこともあったっけ。確かによくテストとかの前で『僕全然勉強していないから〜』って言っていたのに高得点を取っているやつを見たらふざけんなって思っていたな。いや本当に勉強していなくて地頭だけで取ったのかもしれないけどいい気持ちにはなれなかったな。それと同じようなものか
「テスト?あー単位修得のために必要なやつか。学期ごとの終わりにするって言っていたな」
『それだとあなたたちは全部落としたことになるわね』
「「…」」
悲しいことを言わないでくれよ。いやほら、ユンさんのやつは事情を鑑みて『あなたたちがダンジョンにいたことを認めることになるからしないんじゃないかしら』それもそうやん。
「つまりはフル落単か」
「学校が始まって以来の出来事だよきっと。そんなひと聞いたことない」
なんとまあ不名誉な名前を頂いたわけですか。でも学校のシステム上、留年というシステムがないのは気が楽だな。転移者の中で僕だけが卒業が遅れますってなったら恥ずかしくていられないもんな…その時は中退して適当に冒険者にでもなるか
『あら、それもいいじゃない。どうせなら振り切ってダンジョンに潜りまくって精霊と契約したら?あなたみたいなの好きな精霊もきっといるわよ』
「そういう人生もいいかもな…」
『イフ、さすがに人間をダメな方向に進ませるのは見過ごせないわよ』
『あーごめん』
『まったく…話が進まないわね。って私がここに来た理由まったく話していないじゃないの』
『そういえばそうね。どうしたの?』
僕らはウィンディーネの方を注目する。さすがにこれ以上ふざけている場合ではないと思ったからだ。どんな形であれ精霊がこうして僕たちの元を訪れているわけだしきっとかなり深刻な問題が起きているんだろう
『簡単に伝えると、私の契約者はシオン・レリアシス。風の国の王子よ』
「え?」
「まじか?」
シオン先輩がウィンディーネの契約者?まじかよ。知らなかった…っていうかシオン先輩ってスキル『氷』じゃなかったの?それなのに水の精霊と契約なんてできるのだろうか
『契約自体はできるわよ?じゃなきゃあなたが契約するチャンスないじゃない』
「それもそうか」
言われてみればそうだな。もし自分のスキルと同じ精霊しか契約をすることができないというのならあの時、ダンジョンで入った時点でクレアしか契約を行うことができなかったわけだ。てか『理』の精霊とか『空間』の精霊ってどんなんだよ…
『それからシオンのスキルは「氷」じゃなくて「水」よ。普段は隠しているだけ』
「そんなことできるの!?」
「まさか…」
水は凍れば氷になる。氷も水もどちらも構成している元素は同じ。単に温度によって形状が異なっているだけだ。まさかシオン先輩、自分の魔法を発動する時に毎回毎回あえて温度を下げて発動させていたのか?ということはかなり魔力のコントロールが上手なことになるな
『ええ、まあ属性詐欺なんてよくあることよ。メイだって…それにミライ、あなたも詐欺っぽいわよ?』
「いや僕のはどう見ても電気一択でしょ」
「え?メイちゃんって属性詐欺してたの?」
「あー…」
『聞かなかったことにしてちょうだい』
「別にいいけど」
そういえばメイさんのスキルを「火」だと勘違いしていたんだっけ。別に訂正する機会がなかったし…それにフランさんに伝わることを恐れていたみたいだから僕もあえて話すようなことはしていなかったしな
「でも、ならどうして僕らのところに来たんだ?シオン先輩になにかあったとか?」
まあどうせ僕らを驚かせたかったかそれか僕らの安否が気になって精霊を使いにしたとかそういう感じだろうな。あの人がやられることなんて想像できないし
『ええ、そうよ。今、「風」の国が魔族に乗っ取られそうなの』
「え?」
「は?」
『あー…』
いやそれはまじかよ。てかまた魔族絡み。僕らつい先日に魔族の王と戦ったばっかりだっていうのに。てかイフリート、お前何か気がついていたのか?
『さっき、「世界」が発動した気配がしたのよね…まさか他にも魔族がいたなんて』
「えっと、それで、乗っ取られそう、というのはどういうことでしょうか?」
「それに、サリア先輩との婚約も!?」
『まあ、それについては一つ一つ説明していく必要があるわね』
僕らが矢継ぎ早に質問を重ねていくのでまたしてもウィンディーネは引いてしまった。それでもちゃんと丁寧に質問に答えてくれるあたり、自体は深刻なのだろう。そして僕らはウィンディーネを通して風の国の実情を知った。
「ファンタジー」の人気作品
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