電気使いは今日もノリで生きる

歩海

邪魔

葉月一週目月曜日


「ここから地上に出ます」
「ありがとう」


他には何も気持ち悪い・・・訂正、気持ち悪いと感じる存在は何も見つけることはなかった。おかげさまでこれ以上気分が悪い状態を貯めることがなかった。ここに来る前に少しだけ『電気鎧armor第三形態third』を解除したらすぐに胃の中のものとこんにちわしそうになったから危ない危ない。冷静になって考えてみれば年下の女の子がいる前で嘔吐の様を見せるとか生き恥にもほどがあるだろ


『それはそれで面白いから見たいんだけど』


まじで人としての尊厳に関わってしまうのでやめてください。あの僕に干渉して魔法解除とかしないでくださいよね?できるかどうかわからないけどできそうな気がするから釘を刺しておこう


階段を上っていく、そして地上に出る。てか普通に施設だ。隠された地下室とかそういうのをイメージしていたけれど出た先は普通にまたさらに上へと登る階段あるし建物の一部って感じがするなぁ


『そりゃ誰も入ってこないなら隠す必要ないわね』
「ここの出口は向こうになります。案内しますね」
「ちなみにミイさんが連れて行かれたって場所はどこになるの」
「それはあっちです」


よし、どうやら出入り口とは少し離れた場所にあるみたいだ『そんなの気にしてどうするのよ』割と展開として脱出直前にルドーとかと捕まってさあこれが我々の実験の成果だ的な感じになる可能性がありましてね。そういえば地下から登ってきたときに何も抵抗というか邪魔が入らなかったのものすごく不安なんですけど。どこかで固まっている気がするぞ


「固まっていてはまずいのですか?全員まとめて話せるから楽だと思います」
「それ説得中にまともに反撃できないから多すぎると捌ききれなくなって詰む未来しか見えない」
「詰んだミライさんですか」
「いや、僕の名前じゃなくて固有名詞としての未来だからね」
『紛らわしい』


いや僕の名前だからしょうがないでしょう。そんなこと言ったら他にも同じような名前の人いるからね?シオンさんなんて紫苑っていう植物があるからね?まあでも小学校の頃は名前で少しいじられてた記憶は確かにあるけどさ、皆さんの将来を考えましょう未来を夢見ましょうってそういう感じの授業があったときに「センセー紅くんの夢をみればいいんですかー?俺見たくないです」ってやつがクラスに大抵一人以上はいたからな


『悲しい過去を思い出させてしまってごめんなさい』
「?、私なにかおかしなことでも言いましたか?」
「いや、気を使わせてしまってすみません」


あれだね、年下からのフォローってなんでここまでダメージを受けるのかな。ものすごく惨めな気持ちになっってしまうんだけど。


『でも言われてみれば確かに誰も邪魔しに来ていないのは変ね』
「ねえ、この研究所の見張りとかって誰がしているの?」
「フタバが侵入者を感知してくれます」
「フタバさん、ね。そういえば君たちって一人一つしか魔法使えないの?」


つい気になっていたことをイヨさんに聞く。イチカさんは嘘もとい感情感知、ミイさんは肉体強化、イヨさんはわからないけどフタバさんが感知魔法。イチカさんとフタバさんが微妙に似ているけどなんとなく一人一つだけしか魔法を使えないようにも感じる


「だいたいそうですね・・・私が使えるのは磁場操作です。例えば」


そう言って僕の肩に触れる。どうやら魔法を実際に見せてくれるようだ


「『設置』、これで準備ができました」
「!、うおっ」


肩から手が離れた瞬間僕は見えないなにかに思いっきり突き飛ばされた。いや、これは突き飛ばされたというよりは飛ばされたと考えた方がいいのかもしれない。イヨさんに近づこうとしているんだけどなぜか抵抗を受ける。まるで僕とイヨさんが反発しているみたいに


「『解除』お分かりになられましたか」
「なるほどね・・・『引力』と『斥力』を扱えるわけか」


相手に電気を送り込んで自分と相手の電気的性質を同じにしたり異なるものにすることで相手とに距離を自在に操る力、か。これは一人ではあんまり効果がない能力だな。複数人で戦うときに気を付けなければならないタイプの一つだ


『ミライも使えそう?』


さあ?試してみる価値はあるけれどもそれをしている時間はないね。あとでイヨさんにゆっくり話でも聞くとしますか・・・っと


「イヨさん、ちょっと待って。前から誰か来る」
「わかりました」


感知魔法に誰かが引っかかった。てかこの辺り人の数が多すぎてほんと混乱してしまうんだけど。割と真面目に限界なんだよな。頭使いすぎて知恵熱が出そう


『どうせ普段まともに使わないしいいじゃない』


なんて言い草だよ!これでも常にフルスロットルで活動しているんですよ。イフリートが気がついていないだけでちゃんと考えているんですからね!ただ考えるより先に体がうごくことが多いだけで


『それ使っていないのと同じよね・・・』


そうともいう。さて、前から近づいてくるとわかっているのですぐに攻撃に移れるようにする。なんとなくだけどクローンの一人のような気がするそしてまだ僕が出会っていない。先ほどから話に出ていたフタバさんかそれとも他の人か


「・・・フタバが誰かがこの研究所で動き回っているっていうから来てはみたけどこれはどういうことかしら?イヨ?」
「ムツキ・・・」


やはりというべきか現れ人はメイさんに酷似していた。クローンだってわかっていても同じ顔がたくさんいるのはどこか気持ち悪いものを感じるんだけどね。てか本当に見分けつかないな。感知魔法を使っていないとわからないぞ


『逆にいえば感知魔法でわかるの?』


まあなんとなく?なんていうか此処の人達ってみんな何かしらの電気をまとっているっていうかさ、そんな感じ。他の人と比べると発している電磁波っていうのか磁場っていうのかとにかく僕の魔法にひっかかるものがわかりやすいんだよね。そしてなんとなくだけど違いがあるっていうかさ。個性が出ている感じがするんだよね


『つまり女の子の内面をみて判断していると』


概ねそのとおりなんだろうけどなんか悪意ある言い回しだよな。わざと誤解が生まれそうな方向に言葉を選んでいる気がする


「この男を逃したということね?命令違反よ」
「でも、聞いてムツキ、私は・・・マスターを自由にさせたいの」
「そう・・・」


イヨさんとムツキさんの話し合いはまだ続いている。!こちらに近づいてくる人物がもう一人・・・いや二人?僕が知らない電波だから僕がまだ出会っていないフタバさんとミナさんかな。


「私もマスターを自由にさせたいと思っているわ」
「じゃあ・・・」
「でもね。私にはこの男がそんな力を持っているとは思えないの」
「それならどうすればいいのかな?」


面倒な方向に話が進んで行っているけど仕方がない。むしろ問答無用で襲い掛かって来ないだけまだマシだ


「決まってるわ私たち・・・を相手にしてその強さを見せてもらおうかしら?」
『ミライ!』
「!」
「・・・私の攻撃を見切った?」


い、今いつの間に接近されていたんだよ。イフリートの声がなかったら確実にやられていた。後ろにいたはずなのに全く感知をすることができなかった。なんでだ・・・『それでよく攻撃を躱せたわね』急に名前を呼ばれる時って大抵命の危機だから横に避けるようにしているんです


『ああ、だから腕を普通に切られているのね』


それは言わないで欲しかったです。自分で気がついて避けたわけじゃないからね。普通に腕をぐさっと切られましたよ。幸いというべきか暗殺っぽい感じで小刀だったので深い傷にはなっていないけど


「『自己活性heel』」


電気鎧armor第三形態third』を発動中とはいえ三人を一度に相手するのは厳しい。自己活性魔法を使って自己治癒力をあげておこう。さて、じゃあはやい所逃走したいのでちゃっちゃと三人を相手にするとしますか

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