電気使いは今日もノリで生きる
感情
葉月一週目月曜日
ここはもう正直に話すしかないな
「それはまだ考え中だけど全て終わるまでには見つけるからこの鎖を外してくれないかな」
「嫌です」
『そりゃそうね』
断られるとはわかっていたから追い討ちをかけないでくれよ。あ、一応聞くけどイフリートはこの鎖を外すことできる?というか今の僕の現状に何か介入することができる?
『これが限界、あなたに直接語りかけるぐらいしかできないわね。情報を提供するとか』
それもそうか。あ、そういえばさっき僕にかけられていた催眠魔法を解除してくれてありがとう。おかげさまで闇落ちすることが避けられました。
「あなたの話を聞くぐらいには信頼をしましたがそれとこれとは話が別です。具体的な方策がないのに危険な賭けをしたくはありません」
「それもそうだよね」
僕の言葉に惑わされてっていう展開を期待してなかったと言えば嘘になる。でもそれは偽りだ。ちょっと人間らしい扱いをされたからといって靡くようでは話にならない。イヨさんの心に僕の言葉がきちんと届いた。それだけで十分だ。
「?素直に食い下がるのですね」
「君の考えは最もだからね。あ、そういえば僕はいつまでここに繋がれているのかわかる?」
「明日にはまたルドーが来ますね」
つまりは明日までがタイムリミットか。それまでにここから脱走しなければいけないと。
「今の時間はわかる?」
「もうすぐ夜ですね。ですのでマスターはここにいません」
「そっか・・・」
まだメイさんがいればやりやすくなるとは思ったんだけど現実そう都合よくできていないよね。イフリート、もうメイさんは家に帰っているのかな?襲われたりしてない?
『それは大丈夫よ。フランって子と一緒に夕飯の準備をしているわ』
よかった。まあおそらくあのスルトって奴が付き添っていたのだろうし襲われることなんてあるわけないか。
「聞きたいことはそれだけですか?」
「え?ああ、そうだな・・・今はないけど逆に君は聞きたいことある?」
「私が?ですか?」
「そうだよ」
「・・・」
あれ、どうして悩むんだろう。もしかして質問が特にないけれど僕に気を使って考えてくれているのかな。年下の女の子に気を使われるってそれはそれでキツイな。別に男女差別をしたいわけではないけれど
「特にありません・・・今まで疑問を持つことがありませんでしたので」
「そっちかー」
感情の理解があんまりできないのかな。でも僕が生まれてきてはいけないとか言った時にはかなり怒っていたし自分の感情はしっかりと持っていると思うんだけどな。でももしそうだとすればできるかどうかは関係なくこの子たちがきちんと自分の感情をぶつけられるようにはしていきなたいな
「そういえば・・・」
「なにかな?」
「あなたはどうしてそういう思考回路になるのですか?私の知る限りあなたみたいな考え方をする人はいません。ましてや私たちを人間扱いするなど」
「それは僕が遠くから来たからだね」
「遠く、ですか」
「うん、この国から遠く離れたところから来たんだよ。だから考え方や感じ方が違うんだよ」
嘘はついていないから問題ないよね。あ、イフリートこの世界に他にクローン研究が行われているところってあるかな?人を人工的に作るでもいいけど
『そうねぇ。その手の実験なら各地で規模の大きさはあれ研究されているわ。でもここみたいに成功しているところなんてないわよ』
やっぱり難しいんだな。そりゃクローンっていわば遺伝子レベルで同じってことだからね。兄弟姉妹をみてればよくわかるけど与えられている親の遺伝情報は同じはずなのに一人一人全く違うからね。そりゃあ似ているところもあるけれどさ
『そうね。でももしあなたたちの誰かがこの研究に加わったら恐ろしいわね。この研究に限らずどんな研究もだけど。ああ、別にあなたたちの世界が発展しているとかそういうわけではないの。単にこの世界で研究されていない分野である科学についての詳しい知識を持っているからね』
それはそうだ。脳に電気回路があって結局伝達は全て電気信号で行われているとかクレアをはじめとしてみんな知らなかったみたいだし。ただなんとなくだけどメイさんは理解しているっぽいけど。それがマイナーなのは間違いないな
「なるほどです。だから私たちを人間だと思える」
「そうだね。そしてこの研究をよく思っていない」
「そんなに辛いのですか?」
「まあこれは僕が勝手に嫌っているだけで同郷の人の中には肯定的な人もいるよ」
「そうなんですね・・・ミライさんがそんな人ならすぐに助けたのですが」
「あー実は僕非常に肯定的なんですよ。うん、クローン研究っていいことだよね」
「・・・」
「すみませんでした」
ここで騙されませんよ?とかお茶目に言って欲しかったんだけどな『そんなことを言えるくらい心を開いていないのでしょう』それ言うのやめて。結構心にグサってきたから
「あの、もう一つ質問いいですか?」
「何かな?」
「あなたと話していると非常に心が騒つくと言いますか、無性に怒鳴りたくなるのですが・・・現に先ほどもなんというか・・・あなたの言葉を聞くのが辛くなりましたし意味を理解した瞬間あなたに対してなんともいえない感情が浮かびました」
「あー」
怒りという感情を理解できていないのかな?さっきのは思い返してみれば強く喚き散らしていただけでなんで自分がそんな風に動いているのかわからないって感じだったな。いやそれはどちらかといえば悲しみか。そっか。作られた存在だから感情が偏っていたとしてもおかしくないか
『だからちょっとヒステリックっぽかったのね。支離滅裂というか』
「どうして私はあなたを殺そうと動いたのかわかりませんそれに殺そうとしながらも私は動くことが嫌になりました」
「それはおそらく、怒りという感情と、悲しいという感情だね」
「怒り・・・悲しみ」
「僕も詳しく説明できないけれど、要は相手に対して心がざわついて言い返したくなるって感情が怒り、辛くなるのが悲しいって感情かな」
イフリート、それでいいかな?僕詳しい説明できないんだけど
『別にいいんじゃない?あんた専門家じゃないんでしょ?』
それもそうか。もうこういうのって習うより慣れろ的なことが多いからね。考えてはいけない感じさせないと『それであんた失敗してるじゃない』返す言葉もございません
「感情・・・物事に対して抱く自分の思い」
「そうだね。クローンにもそういう感情がある。でも・・・あのイチカって子はなさそうに見えるんだ」
「あの子は、確かに感情がありません。というか私がある方が異常なのかもしれないです」
「どういうことだい?」
「最近、マスターとルドーたちが口論していました。私たちをこの研究所から外に出すようにと。マスターの意見が通り私たちは時折自由に外に出られることになりました。ただ、外に出ることを希望したのは私のとナナ、フタバだけです」
『外の世界を知ったからこうして感情が育ってきたのよね。閉じ込められた空間にいたらそりゃ育つものも育たないわね』
よくさ、アニメとか小説とかで取り上げられている話を見るとこういう展開が多いんだけどなんていうか、理由とかあるの?
『ん?他は知らないけれどここはメイの魔法で感情をコントロールされているのよね?おまけにルドーって奴の催眠魔法によって感情を抑制されていたとしてもおかしくないわ』
催眠状態ね。それは確かにありえるな。でもどうしてその三人は外に出ることを希望したのだろうか。普通なら誰もそんな考えを持たないと思うんだけど
「私、ナナ、フタバの三人は一度だけ外に出たことがあるのです。マスターが忙しい時にお姉さまがいらっしゃっいましてその時に替え玉として」
「・・・」
それで外に出たことがあると。その際にもしかしたらフランさんは何かに気がついたのかもしれないな。だからナナさんの話題を出した時にメイさんに少しだけ当たりがきつかったのかもしれない
「そうですか。これが怒りと悲しみの感情なのですね」
でも、そんな風に感情が失われた人間が現れるなんて・・・悲しいな。だからなんとしてもこんな研究は潰さないと。・・・そのために本気で彼女達のこれからを考えないとね
ここはもう正直に話すしかないな
「それはまだ考え中だけど全て終わるまでには見つけるからこの鎖を外してくれないかな」
「嫌です」
『そりゃそうね』
断られるとはわかっていたから追い討ちをかけないでくれよ。あ、一応聞くけどイフリートはこの鎖を外すことできる?というか今の僕の現状に何か介入することができる?
『これが限界、あなたに直接語りかけるぐらいしかできないわね。情報を提供するとか』
それもそうか。あ、そういえばさっき僕にかけられていた催眠魔法を解除してくれてありがとう。おかげさまで闇落ちすることが避けられました。
「あなたの話を聞くぐらいには信頼をしましたがそれとこれとは話が別です。具体的な方策がないのに危険な賭けをしたくはありません」
「それもそうだよね」
僕の言葉に惑わされてっていう展開を期待してなかったと言えば嘘になる。でもそれは偽りだ。ちょっと人間らしい扱いをされたからといって靡くようでは話にならない。イヨさんの心に僕の言葉がきちんと届いた。それだけで十分だ。
「?素直に食い下がるのですね」
「君の考えは最もだからね。あ、そういえば僕はいつまでここに繋がれているのかわかる?」
「明日にはまたルドーが来ますね」
つまりは明日までがタイムリミットか。それまでにここから脱走しなければいけないと。
「今の時間はわかる?」
「もうすぐ夜ですね。ですのでマスターはここにいません」
「そっか・・・」
まだメイさんがいればやりやすくなるとは思ったんだけど現実そう都合よくできていないよね。イフリート、もうメイさんは家に帰っているのかな?襲われたりしてない?
『それは大丈夫よ。フランって子と一緒に夕飯の準備をしているわ』
よかった。まあおそらくあのスルトって奴が付き添っていたのだろうし襲われることなんてあるわけないか。
「聞きたいことはそれだけですか?」
「え?ああ、そうだな・・・今はないけど逆に君は聞きたいことある?」
「私が?ですか?」
「そうだよ」
「・・・」
あれ、どうして悩むんだろう。もしかして質問が特にないけれど僕に気を使って考えてくれているのかな。年下の女の子に気を使われるってそれはそれでキツイな。別に男女差別をしたいわけではないけれど
「特にありません・・・今まで疑問を持つことがありませんでしたので」
「そっちかー」
感情の理解があんまりできないのかな。でも僕が生まれてきてはいけないとか言った時にはかなり怒っていたし自分の感情はしっかりと持っていると思うんだけどな。でももしそうだとすればできるかどうかは関係なくこの子たちがきちんと自分の感情をぶつけられるようにはしていきなたいな
「そういえば・・・」
「なにかな?」
「あなたはどうしてそういう思考回路になるのですか?私の知る限りあなたみたいな考え方をする人はいません。ましてや私たちを人間扱いするなど」
「それは僕が遠くから来たからだね」
「遠く、ですか」
「うん、この国から遠く離れたところから来たんだよ。だから考え方や感じ方が違うんだよ」
嘘はついていないから問題ないよね。あ、イフリートこの世界に他にクローン研究が行われているところってあるかな?人を人工的に作るでもいいけど
『そうねぇ。その手の実験なら各地で規模の大きさはあれ研究されているわ。でもここみたいに成功しているところなんてないわよ』
やっぱり難しいんだな。そりゃクローンっていわば遺伝子レベルで同じってことだからね。兄弟姉妹をみてればよくわかるけど与えられている親の遺伝情報は同じはずなのに一人一人全く違うからね。そりゃあ似ているところもあるけれどさ
『そうね。でももしあなたたちの誰かがこの研究に加わったら恐ろしいわね。この研究に限らずどんな研究もだけど。ああ、別にあなたたちの世界が発展しているとかそういうわけではないの。単にこの世界で研究されていない分野である科学についての詳しい知識を持っているからね』
それはそうだ。脳に電気回路があって結局伝達は全て電気信号で行われているとかクレアをはじめとしてみんな知らなかったみたいだし。ただなんとなくだけどメイさんは理解しているっぽいけど。それがマイナーなのは間違いないな
「なるほどです。だから私たちを人間だと思える」
「そうだね。そしてこの研究をよく思っていない」
「そんなに辛いのですか?」
「まあこれは僕が勝手に嫌っているだけで同郷の人の中には肯定的な人もいるよ」
「そうなんですね・・・ミライさんがそんな人ならすぐに助けたのですが」
「あー実は僕非常に肯定的なんですよ。うん、クローン研究っていいことだよね」
「・・・」
「すみませんでした」
ここで騙されませんよ?とかお茶目に言って欲しかったんだけどな『そんなことを言えるくらい心を開いていないのでしょう』それ言うのやめて。結構心にグサってきたから
「あの、もう一つ質問いいですか?」
「何かな?」
「あなたと話していると非常に心が騒つくと言いますか、無性に怒鳴りたくなるのですが・・・現に先ほどもなんというか・・・あなたの言葉を聞くのが辛くなりましたし意味を理解した瞬間あなたに対してなんともいえない感情が浮かびました」
「あー」
怒りという感情を理解できていないのかな?さっきのは思い返してみれば強く喚き散らしていただけでなんで自分がそんな風に動いているのかわからないって感じだったな。いやそれはどちらかといえば悲しみか。そっか。作られた存在だから感情が偏っていたとしてもおかしくないか
『だからちょっとヒステリックっぽかったのね。支離滅裂というか』
「どうして私はあなたを殺そうと動いたのかわかりませんそれに殺そうとしながらも私は動くことが嫌になりました」
「それはおそらく、怒りという感情と、悲しいという感情だね」
「怒り・・・悲しみ」
「僕も詳しく説明できないけれど、要は相手に対して心がざわついて言い返したくなるって感情が怒り、辛くなるのが悲しいって感情かな」
イフリート、それでいいかな?僕詳しい説明できないんだけど
『別にいいんじゃない?あんた専門家じゃないんでしょ?』
それもそうか。もうこういうのって習うより慣れろ的なことが多いからね。考えてはいけない感じさせないと『それであんた失敗してるじゃない』返す言葉もございません
「感情・・・物事に対して抱く自分の思い」
「そうだね。クローンにもそういう感情がある。でも・・・あのイチカって子はなさそうに見えるんだ」
「あの子は、確かに感情がありません。というか私がある方が異常なのかもしれないです」
「どういうことだい?」
「最近、マスターとルドーたちが口論していました。私たちをこの研究所から外に出すようにと。マスターの意見が通り私たちは時折自由に外に出られることになりました。ただ、外に出ることを希望したのは私のとナナ、フタバだけです」
『外の世界を知ったからこうして感情が育ってきたのよね。閉じ込められた空間にいたらそりゃ育つものも育たないわね』
よくさ、アニメとか小説とかで取り上げられている話を見るとこういう展開が多いんだけどなんていうか、理由とかあるの?
『ん?他は知らないけれどここはメイの魔法で感情をコントロールされているのよね?おまけにルドーって奴の催眠魔法によって感情を抑制されていたとしてもおかしくないわ』
催眠状態ね。それは確かにありえるな。でもどうしてその三人は外に出ることを希望したのだろうか。普通なら誰もそんな考えを持たないと思うんだけど
「私、ナナ、フタバの三人は一度だけ外に出たことがあるのです。マスターが忙しい時にお姉さまがいらっしゃっいましてその時に替え玉として」
「・・・」
それで外に出たことがあると。その際にもしかしたらフランさんは何かに気がついたのかもしれないな。だからナナさんの話題を出した時にメイさんに少しだけ当たりがきつかったのかもしれない
「そうですか。これが怒りと悲しみの感情なのですね」
でも、そんな風に感情が失われた人間が現れるなんて・・・悲しいな。だからなんとしてもこんな研究は潰さないと。・・・そのために本気で彼女達のこれからを考えないとね
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