電気使いは今日もノリで生きる
獄中会話
葉月一週目月曜日
『もう少し考えて動きなさいよね』
まあでもほら、さっきは大人の人がいたけれど今はイヨさんだけ。さっきよりは多分動きやすいはず。というか考えていることを読まれないはずだから問題ない。というわけでまずは会話を試みよう。
「ねえイヨさん」
「・・・」
『ガン無視されてない?』
そんなはずは・・・ほら、僕さっき助けたはずだからそこまで心象的には悪くないはずなんだけど。少なくともここまで嫌われるようなことは・・・してたね
『そりゃあんなこと言っちゃったらね』
「どういう意味なんですか?」
「え?」
あ、あれ?会話をしてくれる気になったのかな。それなら好都合だ。せっかく会話してくれるみたいだしこの際一気に好感度を上げる努力をしよう
「私たちが人間という言葉です」
「?・・・ああ、さっきメイさんに言った言葉ね」
どういう経路かは知らないけれど僕とメイさんの会話はイヨさんに伝わっていたらしい。なんでそんなことが伝わっているのかわからないけどそれに食いついてくれたと考えれば悪くないな
「私たちは模造品です。そのために作られました。なのになぜあなたは私たちを人間だというのですか?」
「いやなんでって言われてもさ」
こうして見た目的には何も変わらないし。まあ僕とほとんど見た目が変わらなかったリンナ先輩がエルフだったっていう事例もあるけれど元がメイさんな時点で人間なのは間違いないしさ。それにこうして僕と会話できるぐらい知性を付けられている。人間ってなんだろうってきちんと定義をしようとすれば絶対に僕には無理なのでしないけど・・・あ、イフリート人間ってどんなの?
『下部』
・・・聞かなかったことにしよう。偉大なる精霊の考えていることなんて僕みたいな人間が理解できるはずがなかった。
「僕が人間だと思ったらそりゃ人間なんだよ。僕は問答なんてできないしこれ以上は追求しないでいてくれると助かる」
「・・・」
「だから僕はクローン研究が嫌いなんだよ。君みたいに自分が人間でないと思ってしまう人間が出てくるからさ」
「だから私は生まれてはいけないと」
「そうだよ。君はきちんとした名前を持って生まれてくるべきだったんだ」
そういえばこの世界って死後どうなるの?輪廻転生って考え方があるんだけどそれを採用しているのかな。それとも魂そのものが消えてしまうのかな?
『そんなこと人間に教えられるわけないじゃない』
それもそうですね。じゃあ勝手に輪廻転生をでっち上げますけど構いませんよね?僕らの世界では魂は巡り巡るって考え方があるんですよ。前世来世といった考え方も近いのかな?
『なんか違う気がするけど続けて・・・というかそんなことまで知ってるのね』
まあ僕ぐらいの年齢になれば祖父母がね・・・という可能性があるわけでして。近年は晩婚化が進んでいますので高校生の祖父母の平均年齢も上昇してきているんですよ。
「それはどういう意味ですか?」
「このせか・・・ゲフン。僕の国ではね輪廻転生という考え方があって魂は巡っていると言われているんだ。だからクローンの魂にならなければ別の魂としてこの世界に生まれていたっていうことだよ」
「・・・」
『まあそれで奴隷にでも生まれていたら何も変わらないんだけどね〜』
それもそうだけどさ、今はそんなこと『そうよ。過去のことはグダグダ言ってはいけないの!』もうそれは充分理解しているから大丈夫ですって
「私の人生・・・」
「ここでの生活がどんなものなのかは知らない。知らないから部外者がって思うかもしれないけれどこれが僕の考え方」
だからまあ全力で戦うことになるのかな。結局勝ったものが全てだし勝てば問題ないからね。
「でも・・・ここにはまだたくさんの私と同じクローンがいる」
「そう・・・ねえ、どんな研究が行われているのか教えてくれないか?」
「え?」
あー少し失敗したか?さっきまで悩んでいた顔から一転一気にこちらを警戒するような視線を向けてきたぞ
「そんなことを聞くつもりでさっきのことを話したのですか?」
「いやいやいや、全部本心だって」
「・・・」
「知らないとさ何も言えないだろ?それになんの研究をしているのか君の口から聞きたいんだよ。さっきルドーさんは教えてくれなかったし」
「なぜ断ったの?」
「だってこんな研究ぶっ潰したかったし」
「その後、どうするつもりだったのですか?」
「え?」
そういえば・・・考えていなかったな。ここの人たちはこの研究所が無くなった後、どうなるんだろう。匿ってくれる人がいるとは到底思えないし。となれば僕が責任持ってこの人たちを預かるしかないのだろう。でもそうなれば困ったな僕はまだ学生だしそもそも多分国際手配されてそうだしまともにお金を稼ぐことができないので何もできないぞ。考えなしに研究をやめようとか言うもんじゃなかったな
『そうね、さすがに考えが浅すぎたわ。でも今回だけはちょっとだけ手助けしてあげる。まずはイヨと同じく知性のある人数を聞きなさい。まずはそこからでしょ?』
「そっか、えっと、その前にさ聞きたいんだけど君と同じようにメイさんの魔法を受けているのって何人いるの?」
「私と同じ?ああ、マスターの『伝達』ですね。私とイチカ、ナナ、ミイの他にミナ、フタバ、ムツキの7・・・人です」
「7人か」
思っていたよりもかなり少ないんだけどこれは適正とかそういう問題なのかな?『違うわね』え?イフリート?何を怒っているんだ?
『まさかここまでとは思っていなかったからよ』
「クローン研究をしているという割には少なくないかな?」
「そうですか?大半はまともに育ちませんしマスターの魔法に耐えることができる個体も少ないです。それにできたとしても日々実験と称して消えていきます」
しれっと飛ばしそうになっていたけれどこの人たちメイさんのことをマスターって呼んでいるのか。てっきりお姉さまとかそういう呼び方をしているのかと思っていたんだけど。漫画の読みすぎか。まあ確かにクローンってどちらかっていえば科学の領分だしこの世界ってそこまで科学が盛んじゃないからな(その分魔法が盛んなんだけど)こういう研究は難しいんじゃないかな。
「急に納得した顔をしていましたけど心当たりがあるんですか?」
「え?い、いや・・・」
いや、だってねえ?その、人間の作り方はまあ知っているけどさ、それをなに今僕に言えと?こんないたいけな少女の前で?
『確かにピュアピュアな私とこの子の前でするような話じゃないわね』
「ぼ、僕もうろ覚えでちゃんと説明できないんだけどさ。そもそも人間がどうやってできるのか知ってるの?」
「はい、マスターの体液を魔法で培養してそれを成長させるとできると聞いています」
なんか微妙に違ってない?でもよかったコウノトリが運んできますとかキスしたらできますとかそんな返事が返ってこなくて・・・ってそれよりもおかしくないか?
「作っている場所への立ち入りは禁じられています。が、できたあとの場所ならば入ることができます」
それならしょうがないね。で、イヨさんが話してくれたことなんだけどなんか液体が入ったカプセルみたいなところにたくさん自分と同じ顔をした人間が眠っているらしい。そしてその人間たちは少し経てばメイさんがきて魔法を行使するみたいだ。でもそこでほとんどの人間はメイさんの魔法に耐えることができずに死んでいってしまうのだとか。そして生き残ったとしても時々発狂したりしてどんどん数を減らしていく。一万人ちかく一度に生み出されても生き残れるのはせいぜい一人か二人。そしてその人たちもとある部屋に連れて行かれて・・・気がついたら死んでいるそうな
『なんておぞましい。彼女たちを同族だと思っていないからこそできる所業だわ』
それは同感。それで得ているものってなんなんだろうね。ここまで研究している意味とは
「ルドーたちは時々外から人間を連れてきます」
「え?」
「その人たちは皆、どこか変でした。まるで何かの病気にかかっていたかのように」
まあそれはルドーの催眠魔法にかかっていたからそういう風に見えたんじゃないかな『そうじゃないわ』何かわかったのか?
『あなたは気がつかないの?薬よ薬』
薬?それがどうしたっていうのか?ああ、そういえばこの国って伝染病の治療薬がよく開発され・・・て・・・
『気がついたみたいね』
まじかよ。ここの人たちは伝染病の治療薬を作っているというのかよ。・・・ん?だとすればやり方はともかくやっていることは世の中のためっぽいんだけど。なんでわざわざこんなことまでしているんだ?メイさんがあそこまで悲痛になる・・・のはそれは当たり前か
「ところで、どうなんですか?壊したあとのことですよ」
そういえばそんな話をしていましたね。さて、どう答えたものかな。正直なことをいえば考えなしなんだけど今聞いたからにはちゃんと考えないとね
『もう少し考えて動きなさいよね』
まあでもほら、さっきは大人の人がいたけれど今はイヨさんだけ。さっきよりは多分動きやすいはず。というか考えていることを読まれないはずだから問題ない。というわけでまずは会話を試みよう。
「ねえイヨさん」
「・・・」
『ガン無視されてない?』
そんなはずは・・・ほら、僕さっき助けたはずだからそこまで心象的には悪くないはずなんだけど。少なくともここまで嫌われるようなことは・・・してたね
『そりゃあんなこと言っちゃったらね』
「どういう意味なんですか?」
「え?」
あ、あれ?会話をしてくれる気になったのかな。それなら好都合だ。せっかく会話してくれるみたいだしこの際一気に好感度を上げる努力をしよう
「私たちが人間という言葉です」
「?・・・ああ、さっきメイさんに言った言葉ね」
どういう経路かは知らないけれど僕とメイさんの会話はイヨさんに伝わっていたらしい。なんでそんなことが伝わっているのかわからないけどそれに食いついてくれたと考えれば悪くないな
「私たちは模造品です。そのために作られました。なのになぜあなたは私たちを人間だというのですか?」
「いやなんでって言われてもさ」
こうして見た目的には何も変わらないし。まあ僕とほとんど見た目が変わらなかったリンナ先輩がエルフだったっていう事例もあるけれど元がメイさんな時点で人間なのは間違いないしさ。それにこうして僕と会話できるぐらい知性を付けられている。人間ってなんだろうってきちんと定義をしようとすれば絶対に僕には無理なのでしないけど・・・あ、イフリート人間ってどんなの?
『下部』
・・・聞かなかったことにしよう。偉大なる精霊の考えていることなんて僕みたいな人間が理解できるはずがなかった。
「僕が人間だと思ったらそりゃ人間なんだよ。僕は問答なんてできないしこれ以上は追求しないでいてくれると助かる」
「・・・」
「だから僕はクローン研究が嫌いなんだよ。君みたいに自分が人間でないと思ってしまう人間が出てくるからさ」
「だから私は生まれてはいけないと」
「そうだよ。君はきちんとした名前を持って生まれてくるべきだったんだ」
そういえばこの世界って死後どうなるの?輪廻転生って考え方があるんだけどそれを採用しているのかな。それとも魂そのものが消えてしまうのかな?
『そんなこと人間に教えられるわけないじゃない』
それもそうですね。じゃあ勝手に輪廻転生をでっち上げますけど構いませんよね?僕らの世界では魂は巡り巡るって考え方があるんですよ。前世来世といった考え方も近いのかな?
『なんか違う気がするけど続けて・・・というかそんなことまで知ってるのね』
まあ僕ぐらいの年齢になれば祖父母がね・・・という可能性があるわけでして。近年は晩婚化が進んでいますので高校生の祖父母の平均年齢も上昇してきているんですよ。
「それはどういう意味ですか?」
「このせか・・・ゲフン。僕の国ではね輪廻転生という考え方があって魂は巡っていると言われているんだ。だからクローンの魂にならなければ別の魂としてこの世界に生まれていたっていうことだよ」
「・・・」
『まあそれで奴隷にでも生まれていたら何も変わらないんだけどね〜』
それもそうだけどさ、今はそんなこと『そうよ。過去のことはグダグダ言ってはいけないの!』もうそれは充分理解しているから大丈夫ですって
「私の人生・・・」
「ここでの生活がどんなものなのかは知らない。知らないから部外者がって思うかもしれないけれどこれが僕の考え方」
だからまあ全力で戦うことになるのかな。結局勝ったものが全てだし勝てば問題ないからね。
「でも・・・ここにはまだたくさんの私と同じクローンがいる」
「そう・・・ねえ、どんな研究が行われているのか教えてくれないか?」
「え?」
あー少し失敗したか?さっきまで悩んでいた顔から一転一気にこちらを警戒するような視線を向けてきたぞ
「そんなことを聞くつもりでさっきのことを話したのですか?」
「いやいやいや、全部本心だって」
「・・・」
「知らないとさ何も言えないだろ?それになんの研究をしているのか君の口から聞きたいんだよ。さっきルドーさんは教えてくれなかったし」
「なぜ断ったの?」
「だってこんな研究ぶっ潰したかったし」
「その後、どうするつもりだったのですか?」
「え?」
そういえば・・・考えていなかったな。ここの人たちはこの研究所が無くなった後、どうなるんだろう。匿ってくれる人がいるとは到底思えないし。となれば僕が責任持ってこの人たちを預かるしかないのだろう。でもそうなれば困ったな僕はまだ学生だしそもそも多分国際手配されてそうだしまともにお金を稼ぐことができないので何もできないぞ。考えなしに研究をやめようとか言うもんじゃなかったな
『そうね、さすがに考えが浅すぎたわ。でも今回だけはちょっとだけ手助けしてあげる。まずはイヨと同じく知性のある人数を聞きなさい。まずはそこからでしょ?』
「そっか、えっと、その前にさ聞きたいんだけど君と同じようにメイさんの魔法を受けているのって何人いるの?」
「私と同じ?ああ、マスターの『伝達』ですね。私とイチカ、ナナ、ミイの他にミナ、フタバ、ムツキの7・・・人です」
「7人か」
思っていたよりもかなり少ないんだけどこれは適正とかそういう問題なのかな?『違うわね』え?イフリート?何を怒っているんだ?
『まさかここまでとは思っていなかったからよ』
「クローン研究をしているという割には少なくないかな?」
「そうですか?大半はまともに育ちませんしマスターの魔法に耐えることができる個体も少ないです。それにできたとしても日々実験と称して消えていきます」
しれっと飛ばしそうになっていたけれどこの人たちメイさんのことをマスターって呼んでいるのか。てっきりお姉さまとかそういう呼び方をしているのかと思っていたんだけど。漫画の読みすぎか。まあ確かにクローンってどちらかっていえば科学の領分だしこの世界ってそこまで科学が盛んじゃないからな(その分魔法が盛んなんだけど)こういう研究は難しいんじゃないかな。
「急に納得した顔をしていましたけど心当たりがあるんですか?」
「え?い、いや・・・」
いや、だってねえ?その、人間の作り方はまあ知っているけどさ、それをなに今僕に言えと?こんないたいけな少女の前で?
『確かにピュアピュアな私とこの子の前でするような話じゃないわね』
「ぼ、僕もうろ覚えでちゃんと説明できないんだけどさ。そもそも人間がどうやってできるのか知ってるの?」
「はい、マスターの体液を魔法で培養してそれを成長させるとできると聞いています」
なんか微妙に違ってない?でもよかったコウノトリが運んできますとかキスしたらできますとかそんな返事が返ってこなくて・・・ってそれよりもおかしくないか?
「作っている場所への立ち入りは禁じられています。が、できたあとの場所ならば入ることができます」
それならしょうがないね。で、イヨさんが話してくれたことなんだけどなんか液体が入ったカプセルみたいなところにたくさん自分と同じ顔をした人間が眠っているらしい。そしてその人間たちは少し経てばメイさんがきて魔法を行使するみたいだ。でもそこでほとんどの人間はメイさんの魔法に耐えることができずに死んでいってしまうのだとか。そして生き残ったとしても時々発狂したりしてどんどん数を減らしていく。一万人ちかく一度に生み出されても生き残れるのはせいぜい一人か二人。そしてその人たちもとある部屋に連れて行かれて・・・気がついたら死んでいるそうな
『なんておぞましい。彼女たちを同族だと思っていないからこそできる所業だわ』
それは同感。それで得ているものってなんなんだろうね。ここまで研究している意味とは
「ルドーたちは時々外から人間を連れてきます」
「え?」
「その人たちは皆、どこか変でした。まるで何かの病気にかかっていたかのように」
まあそれはルドーの催眠魔法にかかっていたからそういう風に見えたんじゃないかな『そうじゃないわ』何かわかったのか?
『あなたは気がつかないの?薬よ薬』
薬?それがどうしたっていうのか?ああ、そういえばこの国って伝染病の治療薬がよく開発され・・・て・・・
『気がついたみたいね』
まじかよ。ここの人たちは伝染病の治療薬を作っているというのかよ。・・・ん?だとすればやり方はともかくやっていることは世の中のためっぽいんだけど。なんでわざわざこんなことまでしているんだ?メイさんがあそこまで悲痛になる・・・のはそれは当たり前か
「ところで、どうなんですか?壊したあとのことですよ」
そういえばそんな話をしていましたね。さて、どう答えたものかな。正直なことをいえば考えなしなんだけど今聞いたからにはちゃんと考えないとね
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