電気使いは今日もノリで生きる
拷問?
葉月一週目月曜日
さて、と一人になってしまったんだけどいくつか推測を立てておこうか。まず気になるのはメイさんの「生きていられなかった」という言葉。その言葉からすれば過去にメイさんは死にそうになっていてそれをスルトたち研究者が救った?そして見返りに協力していると。いや、順序が逆か。生き残るためにクローン研究の実験に協力したという方が正しいのかもしれない
「何があったんだ・・・」
あの時過去のことだからと遠慮して詳しく聞かなかったのが悪いのか。でもなんとなく聞きづらい雰囲気だったし仕方がないよね。過ぎたことをもやもやと考えるのもやめておこう。それよりもこの先のことを考えなくちゃ。まずはこの鎖。さっきから色々と魔法を使おうとしているんだけどことごとく電気が吸収されているみたいだな。
「『感知』・・・ん?」
あ、これは発動できる。てかこんな魔法この状況で役に立つのかっていう問題は置いといてまあ発動してしまったからには何かしらあるのかもしれないからもう少しこのままでいよう。・・・えっと、地下っていうのは間違いなさそうだな。上の方に人間の気配を感じる。そこまで数が多くない。・・・ちっ、そんなわけなかったか。
「ここで研究されているんだな」
一箇所にありえないほどの人間の気配を感じる。人口密度がどうなっているのかって話なんだけどあそこにいるのがクローン体だと考えればそこまでおかしくない。相変わらず人間としての扱いを受けていない・・いやここでどのようにクローンを作られているのかわからないけどもしかしたら培養されているのかもしれない。それは実際に目にしないとわからない、いや目にすれば絶対に気分が悪くなってこの研究所を全てぶち壊したくなるだろうからやめておこう。いっその事それでもいいのかもしれないけれど考えなしにやってしまえばなぜこんな研究が行われていたのかわからないからね。
「っと」
あ、誰かがこちらに近づいてくる気配がする。それも複数。僕が魔法を使っていたとバレたらなんとなく面倒なことになりそうだし感知魔法も一旦切るか。そういえば『電気鎧・第三形態』を使っていた反動が特にないんだけどこれは治療をされていたと考えていいのか?でもなんで?
「やあ、そこの調子はどうかな?」
「ルドーさん」
来たのはルドーさん一人だけ。あれ?複数の気配がしたんだけど僕の勘違いなのかな。
「僕一人で来たことが意外かな?」
「・・・」
これは僕が感知魔法を使っていたかどうかを確認するためなのか?それなら白を切った方がいいのか。いやもしここで一緒に来ていたのがイチカさんだとしたら嘘だとバレてしまうから何も言わぬが花ってやつかな。
「ふむ、黙りかな・・・どうだ?」
「彼は動揺していました。ですので私の存在に気が付いていたのかと」
やっぱりいたじゃないか。ていうか黙っていたとしても問題ないのね。それならヤケになって発言した方がよかったかもしれない
「ほお、その鎖に繋がれていた状態でなお電気魔法を使えるなんて驚きだよ・・・君には驚かされてばっかりだ。おまけに1を警戒して話さないという冷静な思考もある。うん、ますます欲しくなったな。どうだ?私たちと一緒に研究してみないか?」
あ、なんかいい感じになった。何も言えなくて黙ってしまっていたんだけど相手が勝手に解釈してくれたみたいで僕にとってはいい方向に進んでくれた。
「僕がうなずくと思うか?」
「さすがに思わないね・・・というか酷いよ君。聞いたよ。14に生まれてきてはいけないとか言ったんだって?さすがにデリカシーがないよ」
「実際そうだろうが」
「ここには1がいるのだけれどそれをわかってなおその言葉を言えるのかな?」
「ぐっ」
やっぱり大人なだけあって言葉攻めが得意だな。僕の嫌なポイントをずけずけと付いてくる。
「彼女たちは生まれてきてはいけない。それは何回だって言ってやるよ」
「頑固だね」
「でもね、生まれてしまったからにはきちんと生きる権利があるでしょ」
「君は何を言っているんだ?私たちはこいつらに食料を与えてるし知識とかを与えている」
「・・・」
ダメだ。こいつには全く伝わっていない。こいつらにとっては研究対象でしかないんだろうな。でもそれを今口に出してはいけない。変なことをすればまずいし妥協策が見つかるまで耐えないと・・
「というかもしかしてこいつらの処遇が不安なのかい?それなら君が入って改善すればいいだろうに」
「そんなことできるのか?」
「君が入ると言ってくれたらね」
悪くはない?いや、そんな甘言に騙されてはいけない。こういうタイプのやつは大抵そんなこと言ったっけ?とか普通にとぼけるような奴らだ。騙されてはいけない・・
「まあいいや。少し切り口を変えよう。君の使っていた魔法を教えてくれないかい?どうやって31と互角に戦うことができたんだい?」
「僕の魔法だよ」
「その仕組みを教えてもらうことができないかい?」
「・・・」
どうする?正直僕の使い方がこの世界においてどこまでメジャーなものなのか正直わかっていないんだけど。というか脳波とかそういうものってこの世界ではどういう扱いを受けているんだろうか。・・・
「そうだな。31の魔法と交換でどうだ?」
「・・・わかった」
この人は誤解している。僕がすでにメイさんと話したことの中にどうやってクローンを作っているのかがあることを知らない。いや、それを知っていたとしても僕がそれを理解していることをわかっていないんだ。・・・
「では私たちのから話そう。31はね、体に電気を流すことで強制的に肉体を動かしているんだ」
「・・・」
「驚いたかい?では、君のやり方を教えてもらおうか」
驚いたっていうかなんていうか・・・まんま同じじゃないか。え?ここまで同じことにたどり着くものなのか?なんとなく似ているなぁという気がしていたんだけどまさか同じだとか誰が想像するかよ。・・・
いや、逆に納得した。イチカさんが僕の嘘を見破れる理由も。メイさんの魔法の系統を考えれば至極当然のことじゃないか。
「どうした?まさか答えられないとか」
「同じだよ。僕の魔法も。ミイさんと同じように電気を操って肉体を操作している」
「バカな!1」
「彼の言葉には嘘がありません」
「なんだって・・・」
イチカさんは僕の電気信号を読み取っているんだ。だから僕が嘘をついているのか、ついでに言えばどんな感情を持っているのかを見破られていたんだ。原理はわかったけれどなんで見破られるのかはわからないけどね。電気信号とか人によって違うんじゃないのか?同じ人間だからある程度は似るのだろうけどそれでも個人差があるのではないのだろうか。・・・・
「ならなぜあそこまでの催眠ガスを防げる・・・31ではできなかったはずなのに。ああ、もしかして魔力量の違いなのか。君の魔力はかなり凄いからね。魔力をあそこまで放出するなんて普通では考えつかないよ」
「それはどうも」
おそらく『領域』のことなんだろうけどそれは少し原理が違うんだよなー。まあそんなことを言っても理解されないだろうけど。・・・・というかさっきから妙に耳鳴りというか頭がぐわんぐわんするんだけど。これこいつの魔法?でもわざわざ捕らえている僕をまた眠りにつかすなんて無駄なことをするはずないし。疲れているのか?
「ああ、本当だよ。まさか素の魔力だけで私の魔法をここまで防ぐだなんてね。でももうこれでおしまいだ。さあ、私の下僕となるがいい『洗脳』」
ぐっ、違和感はこれか。そして僕に何かしていることを感づかれないように話を振っていたんだな。僕の意識を割くために
「何か隠しているかもしれないがもうそんなことはどうでもいい。洗脳してしまえばこっちのもんだからな」
「くっっそ・・・」
まじかよ。こんな結末になるのか。本来主人公だったらここから何かしらの力で逃げたりこの危機を脱したりすることができるんだろうけどあいにく僕はそうじゃない。使える魔法なんて感知魔法ぐらいしかないし、そもそも僕の発生する電気程度ではこの鎖で普通に吸収されてしまう・・・万事休すか
たとえ主人公ではないにしてももう少し頑張れるかと思ったんだけどな・・・まあ所詮クレアに負ける程度だしこんなもんか。せめて操られる前に死ねたら・・・
『諦めるの?』
考えていたことを実行しようとした瞬間に僕はどこからか、声を聞いた。
さて、と一人になってしまったんだけどいくつか推測を立てておこうか。まず気になるのはメイさんの「生きていられなかった」という言葉。その言葉からすれば過去にメイさんは死にそうになっていてそれをスルトたち研究者が救った?そして見返りに協力していると。いや、順序が逆か。生き残るためにクローン研究の実験に協力したという方が正しいのかもしれない
「何があったんだ・・・」
あの時過去のことだからと遠慮して詳しく聞かなかったのが悪いのか。でもなんとなく聞きづらい雰囲気だったし仕方がないよね。過ぎたことをもやもやと考えるのもやめておこう。それよりもこの先のことを考えなくちゃ。まずはこの鎖。さっきから色々と魔法を使おうとしているんだけどことごとく電気が吸収されているみたいだな。
「『感知』・・・ん?」
あ、これは発動できる。てかこんな魔法この状況で役に立つのかっていう問題は置いといてまあ発動してしまったからには何かしらあるのかもしれないからもう少しこのままでいよう。・・・えっと、地下っていうのは間違いなさそうだな。上の方に人間の気配を感じる。そこまで数が多くない。・・・ちっ、そんなわけなかったか。
「ここで研究されているんだな」
一箇所にありえないほどの人間の気配を感じる。人口密度がどうなっているのかって話なんだけどあそこにいるのがクローン体だと考えればそこまでおかしくない。相変わらず人間としての扱いを受けていない・・いやここでどのようにクローンを作られているのかわからないけどもしかしたら培養されているのかもしれない。それは実際に目にしないとわからない、いや目にすれば絶対に気分が悪くなってこの研究所を全てぶち壊したくなるだろうからやめておこう。いっその事それでもいいのかもしれないけれど考えなしにやってしまえばなぜこんな研究が行われていたのかわからないからね。
「っと」
あ、誰かがこちらに近づいてくる気配がする。それも複数。僕が魔法を使っていたとバレたらなんとなく面倒なことになりそうだし感知魔法も一旦切るか。そういえば『電気鎧・第三形態』を使っていた反動が特にないんだけどこれは治療をされていたと考えていいのか?でもなんで?
「やあ、そこの調子はどうかな?」
「ルドーさん」
来たのはルドーさん一人だけ。あれ?複数の気配がしたんだけど僕の勘違いなのかな。
「僕一人で来たことが意外かな?」
「・・・」
これは僕が感知魔法を使っていたかどうかを確認するためなのか?それなら白を切った方がいいのか。いやもしここで一緒に来ていたのがイチカさんだとしたら嘘だとバレてしまうから何も言わぬが花ってやつかな。
「ふむ、黙りかな・・・どうだ?」
「彼は動揺していました。ですので私の存在に気が付いていたのかと」
やっぱりいたじゃないか。ていうか黙っていたとしても問題ないのね。それならヤケになって発言した方がよかったかもしれない
「ほお、その鎖に繋がれていた状態でなお電気魔法を使えるなんて驚きだよ・・・君には驚かされてばっかりだ。おまけに1を警戒して話さないという冷静な思考もある。うん、ますます欲しくなったな。どうだ?私たちと一緒に研究してみないか?」
あ、なんかいい感じになった。何も言えなくて黙ってしまっていたんだけど相手が勝手に解釈してくれたみたいで僕にとってはいい方向に進んでくれた。
「僕がうなずくと思うか?」
「さすがに思わないね・・・というか酷いよ君。聞いたよ。14に生まれてきてはいけないとか言ったんだって?さすがにデリカシーがないよ」
「実際そうだろうが」
「ここには1がいるのだけれどそれをわかってなおその言葉を言えるのかな?」
「ぐっ」
やっぱり大人なだけあって言葉攻めが得意だな。僕の嫌なポイントをずけずけと付いてくる。
「彼女たちは生まれてきてはいけない。それは何回だって言ってやるよ」
「頑固だね」
「でもね、生まれてしまったからにはきちんと生きる権利があるでしょ」
「君は何を言っているんだ?私たちはこいつらに食料を与えてるし知識とかを与えている」
「・・・」
ダメだ。こいつには全く伝わっていない。こいつらにとっては研究対象でしかないんだろうな。でもそれを今口に出してはいけない。変なことをすればまずいし妥協策が見つかるまで耐えないと・・
「というかもしかしてこいつらの処遇が不安なのかい?それなら君が入って改善すればいいだろうに」
「そんなことできるのか?」
「君が入ると言ってくれたらね」
悪くはない?いや、そんな甘言に騙されてはいけない。こういうタイプのやつは大抵そんなこと言ったっけ?とか普通にとぼけるような奴らだ。騙されてはいけない・・
「まあいいや。少し切り口を変えよう。君の使っていた魔法を教えてくれないかい?どうやって31と互角に戦うことができたんだい?」
「僕の魔法だよ」
「その仕組みを教えてもらうことができないかい?」
「・・・」
どうする?正直僕の使い方がこの世界においてどこまでメジャーなものなのか正直わかっていないんだけど。というか脳波とかそういうものってこの世界ではどういう扱いを受けているんだろうか。・・・
「そうだな。31の魔法と交換でどうだ?」
「・・・わかった」
この人は誤解している。僕がすでにメイさんと話したことの中にどうやってクローンを作っているのかがあることを知らない。いや、それを知っていたとしても僕がそれを理解していることをわかっていないんだ。・・・
「では私たちのから話そう。31はね、体に電気を流すことで強制的に肉体を動かしているんだ」
「・・・」
「驚いたかい?では、君のやり方を教えてもらおうか」
驚いたっていうかなんていうか・・・まんま同じじゃないか。え?ここまで同じことにたどり着くものなのか?なんとなく似ているなぁという気がしていたんだけどまさか同じだとか誰が想像するかよ。・・・
いや、逆に納得した。イチカさんが僕の嘘を見破れる理由も。メイさんの魔法の系統を考えれば至極当然のことじゃないか。
「どうした?まさか答えられないとか」
「同じだよ。僕の魔法も。ミイさんと同じように電気を操って肉体を操作している」
「バカな!1」
「彼の言葉には嘘がありません」
「なんだって・・・」
イチカさんは僕の電気信号を読み取っているんだ。だから僕が嘘をついているのか、ついでに言えばどんな感情を持っているのかを見破られていたんだ。原理はわかったけれどなんで見破られるのかはわからないけどね。電気信号とか人によって違うんじゃないのか?同じ人間だからある程度は似るのだろうけどそれでも個人差があるのではないのだろうか。・・・・
「ならなぜあそこまでの催眠ガスを防げる・・・31ではできなかったはずなのに。ああ、もしかして魔力量の違いなのか。君の魔力はかなり凄いからね。魔力をあそこまで放出するなんて普通では考えつかないよ」
「それはどうも」
おそらく『領域』のことなんだろうけどそれは少し原理が違うんだよなー。まあそんなことを言っても理解されないだろうけど。・・・・というかさっきから妙に耳鳴りというか頭がぐわんぐわんするんだけど。これこいつの魔法?でもわざわざ捕らえている僕をまた眠りにつかすなんて無駄なことをするはずないし。疲れているのか?
「ああ、本当だよ。まさか素の魔力だけで私の魔法をここまで防ぐだなんてね。でももうこれでおしまいだ。さあ、私の下僕となるがいい『洗脳』」
ぐっ、違和感はこれか。そして僕に何かしていることを感づかれないように話を振っていたんだな。僕の意識を割くために
「何か隠しているかもしれないがもうそんなことはどうでもいい。洗脳してしまえばこっちのもんだからな」
「くっっそ・・・」
まじかよ。こんな結末になるのか。本来主人公だったらここから何かしらの力で逃げたりこの危機を脱したりすることができるんだろうけどあいにく僕はそうじゃない。使える魔法なんて感知魔法ぐらいしかないし、そもそも僕の発生する電気程度ではこの鎖で普通に吸収されてしまう・・・万事休すか
たとえ主人公ではないにしてももう少し頑張れるかと思ったんだけどな・・・まあ所詮クレアに負ける程度だしこんなもんか。せめて操られる前に死ねたら・・・
『諦めるの?』
考えていたことを実行しようとした瞬間に僕はどこからか、声を聞いた。
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