電気使いは今日もノリで生きる
先達の方々の切り札
???
「『転移』」
突然僕の下に黒い穴が出現したと思うと僕は地面に横薙ぎに投げ出された。気持ち悪い浮遊感を感じるからこれはユンさんの転移魔法だな。
「すまんみんな。キメラアントの数が予想をはるかに超えていた」
「しょうがないですよ。まさかここまでとは想像しませんって」
あたりを見渡せばさっき僕と同じように雌のドラゴンと戦っていた人たちが全員いた。ユンさんが消しとばした箇所から少しだけ外れたところ。例えるならクレーターの端みたいな。そこに僕らはいる。クレーターのところを見れば、予想よりもはるかに大きな空洞と大量のキメラアントの群れ。多すぎて吐きそうなんだけど。
「さっき中央に新しい出入り口をつけられたのはある意味幸運だったな。あれによってこの辺りの土を大分削ってくれていたのだろう。じゃなきゃあんなに大勢出てこない」
「そうだったのか。面倒なことを押し付けてすまなかったなハル」
「いえ、大丈夫です」
さっき中心部でそんなこと起きていたのか。だからドラゴンと戦っている時も苦しそうだったのか。てか、その件のドラゴンは今キメラアントの群れに埋もれているんだけど。あーこれできれば同士討ちとかしてくれないかな。てかなんでこんなにも数が多いんだよ。これ絶対女王アリいるだろ。さがして仕留めないといつか数に押されて全滅するぞ
「女王をみつけても今いる数で普通に負けそうなんだけどな。てかみてみろ。伊達にドラゴンは怖れられてないから」
「はい?」
「っと、こっちの方にも来たぞ」
あ、ドラゴンだけでなくこっちのほうにもてかクレーターを登ってきているんですけど。さすがはアリ。どんなところでもなんなく登ってきやがる。これクレアたちのほうにも向かっているんじゃないか?
「いや、向こうにはオスのドラゴンもいるしむやみに近づこうとはしないだろう。むしろ自分たちの心配をしろよ。こっちは実質戦えるのはミライとヤマト、ツキの三人だけだからな。俺とユキは連続で魔法使えないしハルにいたっては魔力切れだ。まだこっちが高台を取っている点が有利だけどそれでも厳しいことに変わりはない」
「でもやるしかないだろ。お前ら何もできないならちょうどいい雌のドラゴンの様子をみておいてくれ。しばらくは持ちこたえてやる」
「わかった。頼む」
簡単に言ってくれますね。僕もこれで結構限界近いんですからね。てかなんで今まで生き延びているのか不思議なくらいですよ。
「ミライ周囲の警戒はこちらが負担するからお前は目の前の敵に集中してくれ」
「わかりました」
お言葉に甘えて『領域』を解除する。これはあくまで延命行為でしかないけどそれでもさっきよりも活動時間が延びたことは事実だ。
「次の作戦はできる限り時間稼ぎだ。あれを待つ。ついでに言えばあれより先にキメラアントがすべて死んでも失敗だが・・・見た感じ大丈夫だ。だからとにかく耐えてくれ」
「了解した」
遅延戦闘ね。あんまり得意ではないけれどやるしかない。
「ツキさん、飛ぶのですぐに戻してください」
宣言してクレーターに飛び込む。ぎりぎりだけど発動できる・・・距離とか範囲とか考えたことなかったけど、他の魔法を見る限り、いや最初の時を思い出せ。あれはかなりの広範囲を網羅していたじゃないか。あれと同じだけの範囲を作り出せばきっといけるはず
「『電気の領域』」
普段は意識していないけど距離を意識してその分しっかりと魔力を込めて。いっきに吹き飛ばす!
「無茶をしないでください『桜嵐』」
「だがよくやった!一旦敵の侵攻がリセットされた」
「はあ・・・はあ、うぐっ」
やっば。かけていた『電気鎧・第三形態』が解除された。これによってさっきまでの戦闘の蓄積ダメージが全部体のあちこちに襲い掛かる。
「ちょ、おいミライ大丈夫か?」
「はあ・・・はあ・・・少し休めばもう一度『電気鎧・第三形態』が使えるようになるので・・・それさえ使えればまた戦えます」
「そ、そうか」
「幸いミライのおかげで少しだが余裕ができた。隊長悪いが私も全力でいかせてもらう『菊雨』」
上空に風が集まっていくのを感じる。上空に急速に嵐が形成されたのかと疑うほどだ。
「そうだな。『空間極地・菊一文字』」
ヤマトさんも剣を構える。いや、構えるというよりも掲げるといったほうが近いかもしれない。
「お前ら・・・わかったよ。確かにこれはキツすぎる。頼むぞ」
「ああ」「了解」
二人が了承した瞬間。風の大玉が崩れ、そこから小さな塊となってキメラアントの群れに降り注ぐ。あれが氷とかだったらイメージしやすいかも。今回はその代わりに風の塊が降り注いでいるんだけどさ。いや、なんていうか僕の語彙力がないから説明できないんだけどね
一方、ヤマトさんといえば、刀を一周させ、静かに鞘に戻した。たったそれだけの作業。何をしたのか正直分からなかったんだけど
「すぐにわかるさ」
バチュン
効果音としてはそんな感じだろうか。目の前の空間が急にえぐれ、そこにいたキメラアントたちが消えた。これはまるでユンさんの空間魔法なのか?
「これが俺の奥義『空間極地・菊一文字』だ。刀を恐ろしく早く動かすことで目の前の空間を切り取り修復の際に近くにいるものを巻き込みながら消し飛ばす。・・・これを使うには俺の魔力の半分近くを消費してしまうから取っておきたかった切り札さ」
「私のも同じだ。自分のなかのかなりの魔力を消費して風の塊を降り注がせる超広範囲魔法。まあ私のはまだ余裕を持てるがそれでも私の切り札であることは変わりない」
なんだよ・・・二人とも切り札を持っていたのか。てかみんな持っているのね。なんですぐに使わないんだよ。そうすればもっと楽に戦えたはずだろうに
「まあそう怒るな。正直いえばお前とクレアがいることで使うのをためらっていた節はある。下手をすれば他国に俺たちの切り札を知られてしまう可能性があるわけだからな」
「それはそうですけど」
言い分としては納得できる。切り札を隠し通すことができたのならそれはそれでいい。この先僕らを殺すことになるんだしその時まで隠すことができていれば一瞬で殺すことができる。
「だが、そういう状況でも・・・正直お前をここから突き落とすとかすればまだ使わず済んだかもしれないがそれを拒んだのはお前の命をかけた姿を見てしまったからだろうな。使えば使うほど自分の体を蝕む魔法、それをずっと使い続けていた姿勢に動かされたってところかな?」
「はあ」
人間そんなに簡単なことではないと思うけどそういうものなのだろうか。「ああ、別にお前を見逃すってことじゃない。本当の意味でパーティーって認めたって言った方がいいかな」あ、やっぱり殺すのは決定事項なんですね
「そうだね。正直ユンさんに言われたから君やクレアくんと共に戦ったけどそこは訂正して、君らだから共に戦うってことになったってことかな」
「この状況で命をかけることができる人間はきちんと評価する。それが俺たちの方針だからな」
そうなんですね。これは、この人たちの生きてきたこれまでの経験になにか由来がありそうだけど。突っ込んではダメだろうな。
「それにみてみろ。思ったより早かったが時間稼ぎ成功だ」
言われてみてみる。あ、なんかキメラアントの群れの一部分が急に赤く燃えだしたんだけど・・・え?
「な、なんですかあれ」
「珍しいものだからしっかり目に焼けつけとけよ。あれがドラゴンの切り札『流星火山』だ」
赤くなっていた部分から急に赤くて大きな玉が出てくる。あれは・・・まるで、小さな太陽?え、なんか妙に揺れめいている気がするんだけど
「衝撃がでかすぎるから気をつけろよ。一応僕も張るけどさ『四方結界』ユキ」
「はい、大丈夫です『反射』」
二人が魔法で保護してくれる。あ、僕も回復した。
「『電気鎧・第三形態』」
これで動ける・・・後のことは考えないようにしよう。うん
「全員、伏せろーーーーー!」
ユンさんの叫びと共に莫大な火の玉は爆発し、その破片?である小さな火の玉がキメラアントの群れに降り注いでいく。さっきのツキさんのとは比べ物にならないレベルでの威力と範囲だ。そして遅れて爆発による光の衝撃が僕を襲った。
「『転移』」
突然僕の下に黒い穴が出現したと思うと僕は地面に横薙ぎに投げ出された。気持ち悪い浮遊感を感じるからこれはユンさんの転移魔法だな。
「すまんみんな。キメラアントの数が予想をはるかに超えていた」
「しょうがないですよ。まさかここまでとは想像しませんって」
あたりを見渡せばさっき僕と同じように雌のドラゴンと戦っていた人たちが全員いた。ユンさんが消しとばした箇所から少しだけ外れたところ。例えるならクレーターの端みたいな。そこに僕らはいる。クレーターのところを見れば、予想よりもはるかに大きな空洞と大量のキメラアントの群れ。多すぎて吐きそうなんだけど。
「さっき中央に新しい出入り口をつけられたのはある意味幸運だったな。あれによってこの辺りの土を大分削ってくれていたのだろう。じゃなきゃあんなに大勢出てこない」
「そうだったのか。面倒なことを押し付けてすまなかったなハル」
「いえ、大丈夫です」
さっき中心部でそんなこと起きていたのか。だからドラゴンと戦っている時も苦しそうだったのか。てか、その件のドラゴンは今キメラアントの群れに埋もれているんだけど。あーこれできれば同士討ちとかしてくれないかな。てかなんでこんなにも数が多いんだよ。これ絶対女王アリいるだろ。さがして仕留めないといつか数に押されて全滅するぞ
「女王をみつけても今いる数で普通に負けそうなんだけどな。てかみてみろ。伊達にドラゴンは怖れられてないから」
「はい?」
「っと、こっちの方にも来たぞ」
あ、ドラゴンだけでなくこっちのほうにもてかクレーターを登ってきているんですけど。さすがはアリ。どんなところでもなんなく登ってきやがる。これクレアたちのほうにも向かっているんじゃないか?
「いや、向こうにはオスのドラゴンもいるしむやみに近づこうとはしないだろう。むしろ自分たちの心配をしろよ。こっちは実質戦えるのはミライとヤマト、ツキの三人だけだからな。俺とユキは連続で魔法使えないしハルにいたっては魔力切れだ。まだこっちが高台を取っている点が有利だけどそれでも厳しいことに変わりはない」
「でもやるしかないだろ。お前ら何もできないならちょうどいい雌のドラゴンの様子をみておいてくれ。しばらくは持ちこたえてやる」
「わかった。頼む」
簡単に言ってくれますね。僕もこれで結構限界近いんですからね。てかなんで今まで生き延びているのか不思議なくらいですよ。
「ミライ周囲の警戒はこちらが負担するからお前は目の前の敵に集中してくれ」
「わかりました」
お言葉に甘えて『領域』を解除する。これはあくまで延命行為でしかないけどそれでもさっきよりも活動時間が延びたことは事実だ。
「次の作戦はできる限り時間稼ぎだ。あれを待つ。ついでに言えばあれより先にキメラアントがすべて死んでも失敗だが・・・見た感じ大丈夫だ。だからとにかく耐えてくれ」
「了解した」
遅延戦闘ね。あんまり得意ではないけれどやるしかない。
「ツキさん、飛ぶのですぐに戻してください」
宣言してクレーターに飛び込む。ぎりぎりだけど発動できる・・・距離とか範囲とか考えたことなかったけど、他の魔法を見る限り、いや最初の時を思い出せ。あれはかなりの広範囲を網羅していたじゃないか。あれと同じだけの範囲を作り出せばきっといけるはず
「『電気の領域』」
普段は意識していないけど距離を意識してその分しっかりと魔力を込めて。いっきに吹き飛ばす!
「無茶をしないでください『桜嵐』」
「だがよくやった!一旦敵の侵攻がリセットされた」
「はあ・・・はあ、うぐっ」
やっば。かけていた『電気鎧・第三形態』が解除された。これによってさっきまでの戦闘の蓄積ダメージが全部体のあちこちに襲い掛かる。
「ちょ、おいミライ大丈夫か?」
「はあ・・・はあ・・・少し休めばもう一度『電気鎧・第三形態』が使えるようになるので・・・それさえ使えればまた戦えます」
「そ、そうか」
「幸いミライのおかげで少しだが余裕ができた。隊長悪いが私も全力でいかせてもらう『菊雨』」
上空に風が集まっていくのを感じる。上空に急速に嵐が形成されたのかと疑うほどだ。
「そうだな。『空間極地・菊一文字』」
ヤマトさんも剣を構える。いや、構えるというよりも掲げるといったほうが近いかもしれない。
「お前ら・・・わかったよ。確かにこれはキツすぎる。頼むぞ」
「ああ」「了解」
二人が了承した瞬間。風の大玉が崩れ、そこから小さな塊となってキメラアントの群れに降り注ぐ。あれが氷とかだったらイメージしやすいかも。今回はその代わりに風の塊が降り注いでいるんだけどさ。いや、なんていうか僕の語彙力がないから説明できないんだけどね
一方、ヤマトさんといえば、刀を一周させ、静かに鞘に戻した。たったそれだけの作業。何をしたのか正直分からなかったんだけど
「すぐにわかるさ」
バチュン
効果音としてはそんな感じだろうか。目の前の空間が急にえぐれ、そこにいたキメラアントたちが消えた。これはまるでユンさんの空間魔法なのか?
「これが俺の奥義『空間極地・菊一文字』だ。刀を恐ろしく早く動かすことで目の前の空間を切り取り修復の際に近くにいるものを巻き込みながら消し飛ばす。・・・これを使うには俺の魔力の半分近くを消費してしまうから取っておきたかった切り札さ」
「私のも同じだ。自分のなかのかなりの魔力を消費して風の塊を降り注がせる超広範囲魔法。まあ私のはまだ余裕を持てるがそれでも私の切り札であることは変わりない」
なんだよ・・・二人とも切り札を持っていたのか。てかみんな持っているのね。なんですぐに使わないんだよ。そうすればもっと楽に戦えたはずだろうに
「まあそう怒るな。正直いえばお前とクレアがいることで使うのをためらっていた節はある。下手をすれば他国に俺たちの切り札を知られてしまう可能性があるわけだからな」
「それはそうですけど」
言い分としては納得できる。切り札を隠し通すことができたのならそれはそれでいい。この先僕らを殺すことになるんだしその時まで隠すことができていれば一瞬で殺すことができる。
「だが、そういう状況でも・・・正直お前をここから突き落とすとかすればまだ使わず済んだかもしれないがそれを拒んだのはお前の命をかけた姿を見てしまったからだろうな。使えば使うほど自分の体を蝕む魔法、それをずっと使い続けていた姿勢に動かされたってところかな?」
「はあ」
人間そんなに簡単なことではないと思うけどそういうものなのだろうか。「ああ、別にお前を見逃すってことじゃない。本当の意味でパーティーって認めたって言った方がいいかな」あ、やっぱり殺すのは決定事項なんですね
「そうだね。正直ユンさんに言われたから君やクレアくんと共に戦ったけどそこは訂正して、君らだから共に戦うってことになったってことかな」
「この状況で命をかけることができる人間はきちんと評価する。それが俺たちの方針だからな」
そうなんですね。これは、この人たちの生きてきたこれまでの経験になにか由来がありそうだけど。突っ込んではダメだろうな。
「それにみてみろ。思ったより早かったが時間稼ぎ成功だ」
言われてみてみる。あ、なんかキメラアントの群れの一部分が急に赤く燃えだしたんだけど・・・え?
「な、なんですかあれ」
「珍しいものだからしっかり目に焼けつけとけよ。あれがドラゴンの切り札『流星火山』だ」
赤くなっていた部分から急に赤くて大きな玉が出てくる。あれは・・・まるで、小さな太陽?え、なんか妙に揺れめいている気がするんだけど
「衝撃がでかすぎるから気をつけろよ。一応僕も張るけどさ『四方結界』ユキ」
「はい、大丈夫です『反射』」
二人が魔法で保護してくれる。あ、僕も回復した。
「『電気鎧・第三形態』」
これで動ける・・・後のことは考えないようにしよう。うん
「全員、伏せろーーーーー!」
ユンさんの叫びと共に莫大な火の玉は爆発し、その破片?である小さな火の玉がキメラアントの群れに降り注いでいく。さっきのツキさんのとは比べ物にならないレベルでの威力と範囲だ。そして遅れて爆発による光の衝撃が僕を襲った。
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