電気使いは今日もノリで生きる

歩海

自己紹介はお早めに

???


「ふう・・・なんとか逃げ切れたか」
「助かったぜ、ナイス判断ユン」
「にしてもまさかですね」
「だな。ドラゴンそれも二匹」


上から順にユンさん、ケイさん、ユリさん、ツキさんの言葉。僕とクレアは何も話すことができない。さっきの衝撃が大きすぎるからだ


「こうなったら生き残りを探すしかないな」
「それしかないな・・・基本的には『領域』を使える二人がそれぞれ一匹ずつ担当する感じで壁は問題ないとしても俺たちだけじゃ火力が足りない」
「ユンが全部消し飛ばせないか?」
「多分無理。ドラゴンの前で魔法形成は通常の何倍も魔力を消費してしまう。足を切り落とすとかが精一杯だ。こういうのって魔力バカのうちの弟とかがいないと無理」


確かに『黒龍』と戦ったときもまともに魔法を使うことができていなかったしな。さすがにあれよりかは弱いみたいだしまだ戦えるかな。あのときのリベンジもありかもしれない


「今度こそ僕らの魔法でダメージを与えようか」
「ああ、ドラゴンの障壁には粉塵爆発系が効くってわかってるし今回はそこそこ立ち回れると思うな」


でもさっきのユンさんの言葉からして僕とクレアは離れ離れになる可能性が高い。つまり戦場にそれなりの砂鉄をばら撒く必要があるわけか。距離感を保ちながら一気に爆発させてってのもよさそうだな。ただこれをすると本気で周囲の被害が凄まじいことになるから先に何をするかだけはユンさんたちに話しておくか


「あの、ドラゴンとの戦いについてなのですが」
「?どうした」
「ドラゴンを守っている障壁なんですけど、僕らの粉塵爆発系の魔法ならそれを無視して攻撃できます」


あれは自然災害そのものを防ぐことはできないって感じだからね。まあ弱いと普通に鱗の防御力で防がれるって感じだけど。


「なるほど、確かに自然災害系の魔法ならドラゴンにまともにダメージを与えることができる。それか普通に超高威力の魔法を叩き込めば倒せないこともない。むしろこっちが普通の倒し方だからな」
「それで、どんな魔法なんですか?」
「口で説明するの大変なので一度実演しますね」


あんまり威力を大きくしすぎると爆発音で居場所を感づかれてしまう可能性があるし気持ち控えめで行こう。


電気の領域field』からの『創造creat』そして『爆発dynamite』」


いつもの魔法三点セットを唱える。よし、そこまで大きくない規模で使うことができたぞ。さて、ユンさんたちの反応は・・・


「お前やっぱりバカか」
「頭おかしいにも限度があるだろ」
「え?ミライさん本当に『電気』使いですか」


かなりどん引かれていました。この魔法ってそんなにおかしな魔法なのかな。普通の粉塵爆発を自力で引き起こしているだけだけど


「それがおかしいんだよ。属性を無視しているしなんで電気から爆発が起きるんだよ・・・まあ僕も同じ魔法使えるけどさ」
「いやグレン先輩やセリア先輩だって」
「あいつらは特別だ。もーしかたねぇっておいクレアもかよ。お前らほんとおかしいな」


なら僕だって特別扱いしてくださいよ!「だってミライだし」それは一体全体どういう意味ですか!


「さて、おーいお前らもこいつらのことなんとなくわかっただろ。こいつらを主軸にして戦う」
「え?」


急にユンさんが周りに呼びかけるように声をかけ始めた。え、あ、もしかして、ここにいるのか?


「『感知feel』まじか・・・これは3人?」


近くに感じる。え、まってまたさらに人数増えるの?ツキさんとケイさんのキャラをまだ把握していないっていうのに!?入学当初みたいにキャラ渋滞を引き起こしてしまうんだけど


「たっく、感知魔法もちか、相変わらずやベー仲間といるな。誰も減ってないしさ」
「こいつはまあ・・・仲間じゃねぇがそういうことにしておくよ」


向こうの木々から歩いてきたのはごつい大男。見た目で判断してはいけないとはよく聞く話だけどなんとなくわかるグレン先輩と同じタイプの人だ。年齢はこっちの方が歳食っているけどまあ20台半ばってところかな。


今「誰も減っていない」って言葉にかすかに反応したよなユンさん。・・・仲間を失ったんだよな。僕としては悲しむべきところなんだけど、なんだろうね。少しだけ、減っていたことで僕らの存在をうまく隠せることができれるからこれでよかったって思っている自分がいるんだよね


ー他人の死を喜んでいる自分がいる、その事実に僕は傷つく。いや、いくらでも言い訳は出てくるんだよ。僕が生き残るためにはしかたがなかったんだとかね。ユンさんはまだ知り合いだったから見逃されているけどこの人が僕を殺さないということは考えつかないしね。その時に僕は勝てるのか?ユンさんの手助けは間違いなく得られないだろうし


「ん?お!初めましてがいるのな。俺はヤマトだ。よろしくな。スキルは『剣』だ。よろしくな」
「またお前は・・・」


あ、ユンさんが頭抱えてる。珍しいな。僕の粉塵爆発であさえもそこまでならなかったのにな。


「僕はミライです・・・スキルは」
「あー別に言わなくてもいいよ。他人に自分のスキルなんて普通言わないしこいつが異常なだけさ」
「おいおいなんて言い草だよ。まったくお前はいつもつれないな」
「お前がおかしいんだよ」
「す、すみません。ユンさん。」
「はあ。ユキは悪くないしいいよ。てかいつもこいつの面倒お疲れ様」


あ、残り二人も出てきた。とっさに謝って、うん多分いっつもヤマトさんの後始末をしていそうなこの少女はユキさんね。全身を白で固めた感じでざ・清楚を全開に出しているね。


「あ、ユンさんだーお久〜」
「え、ハルまできてるのかよ」
「うーん、うちの国人材不足でねぇ。まだ学生の僕まで駆り出されたわけだよ」


そして最後の一人。ハルさん。学生ってことは僕らと歳が近いのかな?明るい茶色の髪の毛に活発そうな顔立ちをしている。


「さてと、クレア、ミライ一応紹介しておく。こいつらは『空』の国から来た三人だ。それからこいつらはミライとクレア。国は・・・そういえばどこだっけ?」


あーそれ今いっちゃいますか。そういえば紹介してなかったな。でもここで言わないのは不自然だし何か言ったほうがいいのかな。でも下手に存在しない国を言ってしまってもそれはそれでまずいしな。クレアはどうするんだろう


「僕は『火』です」


そういえばそうだったなぁ貴様ぁ。お前はあくまで『冥』の国の王族ってだけで生まれも育ちも『火』だったなぁ。さて困ったな。いや困らないか


「僕も『火』の国です」


ここはクレアと同郷ってことにしてしまおう。クレアには僕のことを全て話しているしこれくらいのサポートはしてくれるはずだ。


「嘘ですね」


なんでバレたんだぁ。いや即答って。なんで?えーっと、ユキさん?


「ミライ?ちゃんと正直に言わないと・・・殺すよ」


ユンさんの目が怖いです


「というかこいつらお前と出身違うのか?お前確か『陽』の国だったよな」
「そうだな」


そういえばそういう設定あったなぁ。これは全部話さないといけないみたいだな。


「そういえば君は、手続き上はミラの推薦ってことになっていたけど、他の人は全員異世界のものだったよな」
「・・・」


黙秘権を行使したい。でもそれは許されないんだよな。きっと。こうなったらしょうがない。ここまできたらユンさんたちも少なくともあのドラゴン二匹を殺すまで僕らを生かしてくれるだろうしヤマトさんたちも同じように賭けよう


「あ!お前ミライってもしかしてあれか!新人戦の時に暴れたって噂の。それにクレアって・・・そういえば『黒龍』撃退メンバーのなかにその名前があったな」
「「あ・・・」」


学生って言っていたし先輩の可能性があったんだなぁ。これはまずいまずい展開だな

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