電気使いは今日もノリで生きる

歩海

本番開始

???


さて、今度こそゴブリンに挑むとしますかね。てかクレアのやついつの間に『炎の鎧』とか身につけていたんだか


「ああ、こんなに身近にあんなに使いこなしている人いたらイメージ湧くしさ」
「ならもっと早くから使ってくれよ」
「あれまだ未完成なんだよねーそれに普通ならミライがいるから問題ないし」
「まあそうだけどさ」


でもなんか詰められた感じがしてちょっとつまらないな「いやお前も『放電』とかで遠距離もできるじゃん」いやそれ初期魔法だしなんとも言えないんだけど


「ま、いいや。それで一つ相談なんだけど」
「なに?」
「ゴブリンと戦う時さ、囮役を交互にしないか?」
「え?」


なんでわざわざ一人づつするんだ?二人で分担すれば大分楽になると思うんだけど


「逆だよ。二人でしちゃうとお互いに意識を割かないといけないし、それにゴブリンのあのスピードを考えると他に意識を割く余裕なんてないしな」
「・・・」


そう言われればそれもそうか。多分『電気鎧armor第三形態third』とあと・・・反応速度を高めるために『電気の領域field』も同時に発動するだろうしクレアを巻き込んだりとか攻撃をなすりつけたりとかわりとありそうだな


「ひどいね。まあ僕も巻き込み事故を起こす気でいたし」
「おい!」
「お前ら何ふざけてるんだ?近くにいるんだろ?早く行ってこい」
「わかりました」


睨まれてしまった。ここで攻撃を仕掛けてこないのは僕らを無駄に傷つけるとすぐに死んでしまってゴブリンの矛先が自分たちに向かうから何だろうな。早く行ってこいって口では言っているけどなんかのんびりしているんだよな


というわけで角を曲がりたい・・・けど考えなしに突っ込んだらまずい。でもそこにいるのは間違いないので「・・・今更だがなんで信じられるんだ?俺たちは信じてないが」あ、そういうことですね。でもいますよ。


「だって、クレアが言うんですから『放電thunder』」


一気に飛び出して前方に向かって電撃を放つ。やっぱりいた!そしてまたしても驚異的な反応速度でかわされる。でももう驚かない。


「『電気鎧armor第三形態third』、『電気の領域field』」


体の隅々まで電気を張り巡らせておまけに自分の周りに『領域』を展開する。これはすぐに消えてしまうんだけど、初動さえカバーできれば十分だ


振り下ろされる拳を感知。軌道は読めないけどおおよその場所はわかる。それを無理矢理避けるように体をひねるように動かすように伝達を送る。


「ぐぎゃああ」


よし、かわせ・・・たぁ!少し右の脇腹に当たってしまったけどかすり傷で済むくらいだ。吹き飛ばされることがなかったから問題ないだろう。


ま、すぐに追撃が来ることはわかってるんだけど、これはもう『領域』の援護が効かないから直感に委ねるしかない。でも、少なくとも遠距離攻撃・・・・・がこないことだけはわかる。かなり接近している僕を潰すように立ち回るはずだ


「『放電thunder』」


その場・・・で腕と、手に持っている棍棒を振り回す以外の攻撃をされれば僕はおしまい。ここで命を散らすことになる。これくらいの賭けに勝たないとこの先生きられないしね。綱渡りの攻略なんだし。だから思いっきり遠くに逃げるように電撃を放った反動でかわす


「ミライ!」
「大丈b・・・『電気の領域field』」


危な。普通の声かけかと思ったら警告の声かけだったのかよ。『領域』を展開してゴブリンを弾く・・・ことはできなかったけど今度は完璧に軌道がわかるから避けることができる


「あと一回攻撃をかわしたら交代してくれ」


もう手札がすっからかんだ。『領域』がもう一度使うことができるようになる前に死にそうだし。あとそろそろ援護が欲しいんだけどユンさんたちは一体何をしているんだか


「まじか、本当にいたぜ、隊長」
「そうか。なら倒すか」


え?あ、そっか。信じていないって言っていたの本当だったんですね。だから今遅れていると


「ミライ、代わる!」
「頼む」
「『火の玉』、『炎の鎧』」


クレアが火の玉を放ってくれたおかげでゴブリンの意識は僕からクレアへと移ってくれたみたいだ。今の所僕とクレアの作戦は機能している。それにそろそろあの人たちも攻撃に参加してくれるはずだ。そうなれ囮役もやりやすくなる。攻撃役に意識が向かうのを避けるようにするけど、そもそもそれをするのは意識が自分から逸れている時だからね


今度は僕に変わってクレアがゴブリンの攻撃を受ける。近接戦闘は僕の方が上手だと思っていたけどあいつも身のこなしはかなりいいな。あ、そっか。僕の場合は『電気鎧armor』系統によって戦闘能力をかなり底上げしてるけどクレアの場合はこれまでの経験とかで対処しているんだろうな。その点僕まだ素人だし。グレン先輩の教えがかなりいいからそれなりに戦えるしあと地球にいた時にテレビで武道系の特集とかまあ、極端な話戦闘系のアニメを見ればなんとなくイメージが湧くからね。それで『電気鎧armor第三形態third』でなんとか無理矢理戦っていた感じだし


「『風の刃』」


お、やっと援護が来た。さ、これで大分楽になったな。またユリさんも定期的に『回復ヒール』をかけてくれるみたいだし大分安定しそう


「ミライ!『火の領域《fire・field》』」


あ、予期せぬ攻撃にクレアが『領域』を使ってゴブリンを弾き飛ばした。よし、じゃあ今度は僕が変わるとしますか。休憩といってもせいぜい体を動かさないだけで『電気鎧armor第三形態third』はずっと体にかけっぱなしだし正直戦いが長びくと苦しいんだよね。動かない分消耗が少ないってだけで


「まかせとけって」


ゴブリンがクレアに集中して拳を振り下ろした瞬間に一気に詰め寄りその横顔を全力で殴る。これでこっちに意識が向いたはずだ。


「うおらああああ!」


ケイさんの援護も来た。ケイさんはヒットアンドアウェイを繰り返すみたいで一撃攻撃を当てたらすぐに去っていく。んで、そこを狙われないようにヘイトを稼いでいく。さっきのスケルトンの時もそうだったけどユンさんはまだ攻撃に参加しないのかな?こういう時って加減というか余力を残そうと考えると普通に全滅してしまうんだけどね。全力で戦わないと。


「うん、二人の能力・・・・・はだいたいわかった。俺も参加しよう」
「了解」


へ?あの人今僕らの能力をずっと観察していたのかよ・・・っく。さすがだ、冷静だというべきか。この先のことまできちんと見据えている。


「うおっと」


あぶね、ゴブリンから意識をそらし過ぎてしまった。右腕を思いっきり殴られてしまう。『電気鎧armor第三形態third』で電気を覆っていたからまだ腕の形を保っている状態だな。


「ミライ!」
「気にすんなって、すぐ治るし、それに普通に動かすことはできる」


潰れてしまった腕をかがげて・・・っとさすがに神経系もちょっとやられたか。動きが鈍いな。


「『放電thunder』」
「!?」


まさか潰したところから電撃が来ると予想していなかったのだろう。今の攻撃でゴブリンはかなり驚いてしまい、動きを止めてしまった


「助かる『切断』」


ゴブリンの右ひじの周りを一周するように黒い円が現れて・・・そしてそれが一気に収縮した。


ごとん


そして、肘から先の部分が、地面に転がっていった。

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