電気使いは今日もノリで生きる

歩海

ダンジョンの難易度

文月一週目水曜日?


入り口をくぐる。こういう時って大抵眩しい光とかで目がくらんだりすることが多いけど今回のはなんていうか水のカーテンをくぐった感じというか、よくわからない感覚のあとにすぐに地面に降り立って、周りを見渡すことができた。


そこまで大きくはない小部屋のようなもので大体・・・畳6畳分くらいか?狭いと感じるほどではないけれど広くはない。10人とかの大団体で入っていたらあっという間に窮屈になってしまいそうだけど


四方はよくわからない物質で作られた壁で囲まれていて、一つの壁にドアがある。また、よく見れば地面が少し青色に輝いている。


『それはセーフゾーンよ。そこにいる間はモンスターに攻撃されないわ』
「そんなものまであるんですね」
『だってないと人間ごときが私のダンジョンをクリアできるとは思えないしねー』


つまり安全に過ごすことが保証されている場所が必要だと。それだけ難度が高いというわけか、クレアのやつ生きているのだろうか・・・心配だな


『まあここに来れたご褒美ということで教えてあげるけどあの少年は生きてるわよ?でもどこにいるのかは教えてあげないけどね』
「ありがとうございます」


生きているということがわかればそれで十分だ。あとはなんとか探してみせる


『じゃあさっさと探してねーってあれ?どうして動かないのよ』
「動けないんですよ・・・」


さっき勢い余って『電気鎧armor第3形態third』使っちゃったからね。電気をまとわせていたのは両足と殴った左腕。短期間だったからそこまで影響はないけどそれでも少しばかりしびれているし。


『なにそれ』
「ま、まあこれくらいなら少し休んでいれば回復するから大丈夫ですよ」
『いや別にそんなこと心配してない』


そうですか。単に疲労しているだけだから問題ないし。ちょうどいいし今のうちに持ち物の確認をしておこう。このためにナップザック買ったんだし。よくあるダンジョンに入ったら持ち物が紛失してましたとかそんなことになっていたら困るからね


えっと、あるのは非常食としての乾パンみたいなのが2袋分と水(ペットボトルとかはないので竹をくりぬいて水筒代わりにしている)がおよそ2リットル分。水が少ないのはダンジョン内に比較的手に入れやすいかららしい


『まあ私のところもそこ以外は無限の湧き水設置してるからねー水で困ることないよ?まあウィンちゃんのところだともう湧き水パラダイスだけど』


ウィンちゃんってもしかして水の精霊のことかな?確かに水回りよさそう。あれ?ということはこのダンジョンってもしかして火とうか火山地帯とか普通にあるのか?となればまずいな


『そこらへんはノーコメントだよ!教えたらつまらないもんね』
「それはそうですね」


いや律儀にも僕の心の声に返事をしてくれるなんてひ・・・優しいな『今暇って思ったでしょ?』すみません、少しばかり思いました。


『だから早く奥まで来てよー暇なんだよ』
「クレアはいいんですか?」


最初に連れ込まれたのってあいつだし僕のところだけくる必要はないんじゃないか?


『んー彼も面白いんだけどー私としては早く二人が合流するのがみたいかなー?てかあいつも来た時散々会話したしねー』
「そうなんですか」


さてと、持ち物確認の続きでもするとしますかね。えっと、まあナップザックにそこまでの容量がないし先輩たちもどうせならついでに何か宝とか見つけてこいって言われたからあとはシェミン先輩から渡された緊急回復薬のみ。命の危険になった時に一時的に回復して一命を取り留めることができる薬らしい。当然効果が切れたらまた倒れてしまうみたいだけど逃げる時間分くらいは稼げるみたいだ


『はー珍しい薬だね?ふむふむ、あーなるほど』
「知っているんですか?」
『まあね。でもさすがに隠してるみたいだし私からは何も言わないでおこうかなー』


シェミン先輩がなにか隠していることなんて前々から気がついていたしなんなら先輩たち全員が何かを隠してるみたいだしーそれを言っててしまえば僕やクレアだって外の人たちには隠し事なんざ山ほどあるしね


『ふーん、まあいいや。ま、じゃあ頑張ってねー君らには期待してるからー』
「死なない程度に頑張りますよ」


イフリートと話している間に大分痺れというか反動がなくなったしこれならなんとか動くことができそうだな。さて、まずはクレアと合流することを最優先に考えよう。敵との戦闘はあんまりしないように気をつけてっと


扉を開ける。そこは普通の道というか壁が石でできていることを除けば普通の通路だった。


「もう少しなんかいい表現できないかなってまじか」


後ろを振り向けば扉なんてものはなく、また同じように通路が広がっていた。


「はあ、戻ることができないか。となれば少しずつ探る戦法も使えないし・・・結局先に進むしかないのか」


おまけに先に入っている精鋭の冒険者たちがどこで休憩をしているのかわかったものじゃないしうかつに休憩スポットに入ることがでいないしな。まあひたすら進んでいこう。そのうちクレアと出会うかもしれないし


えっと、こういう時ってとにかく右の壁にそって進んでいけばいいんだっけ?そんなことを聞いたことがある気がする。くっ、こういう時に麺山とか米柔の『地形把握』が使えたら楽なんだけどな


「『感知feel』」


敵との戦闘は避けたいから感知魔法だけは常に展開しておこう。・・・って動かないと話にならないから無理だ。ちょっくちょっく確認して敵の接近にできる限り早く気がつけるようにしよう


道なりに進んでいく。走りたいけど走る体力も惜しい。このダンジョンの難易度がわからないけどイフリートの口ぶりからかなりやばそうだし無駄に体力を消費しておきたくない


「!、やべ」


曲がり角に着いた時にそろっと顔だけ出したのが幸いした。通路の先にゴブリンが一匹。ゴブリン程度ならなんとかなるか?いや近くにいるかもしれないし・・・『感知feel。うん近くにはいないみたいだ。


「これならいける!」


おまけに向こうはこちらの存在に気がついていない。まずは不意打ちでダメージを稼ぐ。相手の様子を見てこのダンジョンの敵の強さを判断しよう


「『放電thunder』」


ゴブリンの頭めがけて電撃を放つ。華麗な不意打ちが決まった!いや不意打ちの時点で華麗さなんて微塵もないんだけどさ


「ぐぎゃあ?」
「な!」


決まったと思っていたらそれは僕の間違いで異常な反応速度で反応したゴブリンは横に避けて攻撃をかわした。そしてその目にははっきりと僕の姿が。まずい見つかった


「てか強すぎるだろ・・・!『電気鎧armor』」


こちらに向かってくるのが見えたから慌てて防御を貼る。あとは相手の動きを見極めてからかわして殴る。もともと僕が得意なのは近距離戦闘だしね・・・!


「   」


反応できなかった。気が付いたら通路の端っこまで吹き飛ばされていた。早すぎる攻撃に防御が間に合っただけでも奇跡だ。『電気鎧armor』が間に合っていなかったら僕の命はとうに消えていただろう。『電気鎧armor』のおかげでまだ生きていることができる。


「ぐ・・・くそっ」


向こうからゴブリンが走ってくる気配が感じ取れる。動けない。いきなりだけどシェミン先輩が渡してくれた薬を使うべきだろうか。あ、まて他にも誰かが来ている・・・・?


「な!ミライ?なにしてるんだよ『炎の壁』」


久しぶりに聞いたような声を聞いた気がしたけれど僕はすぐに意識を手放してしまったため誰なのか把握する前に気絶してしまった。

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