電気使いは今日もノリで生きる
戦いのあとに生まれる友情
「さて、どこから話そうかな。でも、詳しい話は今だとまずいんだよね」
全部話すって言ったじゃないか。そうなるとかなり信用を失ってしまうよ。
「信用は失いたくないね。じゃあ話せるところから話していこうか」
まず、僕らが最後に使った魔法、それは『領域』と呼ばれる種類の魔法らしい。自分の領域を生み出すことのできる魔法は少なく、また発動条件もあまりわかっていないために希少な魔法として存在している。ただし、使えたところで恩恵は少なく『自分の使う魔法の威力向上と次使用可能時間減少』だけらしい。十分に強いと思うが、上昇幅や減少幅はかなり少ないためにあまり効果を実感できない。
「でも、これには別の使い方があるんだ」
それは魔族が当たり前のように使っている気に対抗できる唯一の手段だとか。といってもそもそも魔族は絶滅しているために意味はないが。
「ただ、予言では魔王が復活するとある。だからそれを使える人を増やしたいんだ」
「それならなぜ公表しないんですか?すぐに教師に伝えれば効果的に広まるはずです」
あ、クレアはそこが気になるのか。僕はむしろ、予言とかそもそもなんでこんな情報をシオン先輩が知っていたのかが気になるけど
「それは、この魔法を使うのには一つだけ条件があるんだ」
「「条件?」」
そんなに意味のない魔法なのにその上使うためには条件があるとか。ますますどこから知ったのか気になってくるな。それで、その条件とは、「自分で考えて魔法を生み出すことができる」ことらしい。確かに僕は自分で考えて魔法を使うことができた。でもそんなの誰もができることじゃないのか?
「いや、ギルドに入るメリットとして、先輩から魔法の使い方を学ぶことができるんだ。それが非常に機械的なために自分で新しい魔法を使えるようにしようって考える人は案外少ないんだ」
本格的な内容は授業で行うが、そこでもだいたい同じようなことが行われるらしい。例えば、『火球』という魔法を使うためには「1、火を生み出す」「2、まとめる」といった作業が必要だが、教える際に見せるのは火の球一つだけ。これは、複数個出すことができないからである。複数個出すのは『火球・連』という別の魔法になる。つまり、出てくる火の球が一つの魔法と複数の魔法と二つの魔法があると考えることになる。実際は発想を変えるだけなので同じ魔法なのだがいまいちそこら辺を理解できないそうだ。
「でも、いつか気付くんじゃないですか?さすがに」
「そうなんだけど、でもほとんどの人は無理なんだ。それほどまでにこの教育方法は根付いている」
なんとなく意味がわかってきたかな。ようは学校の授業にて、教科書に出てくる公式やらを覚えて使うことができても、それを応用して何かすることができないって感じなのかな。確かに応用問題って解くことが難しいけれど結局あれって基礎の積み重ねなんだよね。もちろん幾つか知らなければならないことや機転が必要なんだけど結局はどれだけ根本を理解できているかにつきるからね
「それでももちろん気づく人はいる。でも教えるのには少し問題があってね」
問題とは、どうやら国の事情らしかった。この学校には様々な国の人間がいることはわかっている。そして国の関係は持ち込まないことになっているが、なかなかそれが実現できていないそうだ。国のことを持ち出してしまうせいで思うように動けない面が出てくる。さすがに、交流戦といった大きなことは持ち出すことはできないみたいだが、普段の授業やギルドに関してはいろいろと考えなければならない。
「だから、旧修練場の模擬戦では金をかけるように先輩たちはしたみたいなんだ。僕たちが戦うのは金のためで国のためじゃないって思いやすくするために」
なるほどね。確かにお金をかけて戦えば国のことを考えにくくなる。もちろん全てではないけれど国とか関係なく戦いたいという想いを込めているのだろう。
「まあ、それはともかく、君たちならそんな問題は関係なさそうだからいいんだけどね」
僕は異世界《地球》からきているから国政問題などどうでもいい。でもクレアもなのか。一体こいつにはなにがあるんだろう。でも、どんな理由であれ、こんな形をとった意味がわからない
「それでね・・・クレアくんには申し訳ない話なんだけど、君のことがよくわからなかったからしばらく避けていたんだ。でももうシズクから連絡が来たから、君のことについて少しは知ったよ。だからもう大丈夫」
「!それでは」
「うん、君もこれからミライと一緒に旧修練場で模擬戦しよう。よろしくねクレア」
「はい!こちらこそよろしくお願いします」
あの、すごくいい感じにまとまっていますけどそこに僕を巻き込まないで欲しいんですけど。そりゃ、あなたたちと戦っていろいろと身につきましたけど、そんなにイケイケで戦いたいとは思ってませんからね。
「よし、じゃあ善は急げってことですぐにいこう!君達も『領域』についてすぐに練習したいだろ?」
「はい!ぜひ。ミライもいこうぜ」
「え、ああ」
あれ?もしかして、これって僕とクレアの関係って
「うんうん、いい友情だね」
「「だまれ全ての元凶」」
「そこハモらなくてもよくないか?」
シオン先輩に言われてしまったけど、この世界に来て初めての友人ができたかな。こうして友人ができるのはすごく嬉しいかな。戦いでわかりあうってなんだかこっぱずかしいけど
「ミライ、君とは仲良くできそうだよ」
「うん、クレア君。よろしく」
「クレアで構わない。だって僕らは同じだろ?」
クレアいい奴すぎないか。最初に会った時はなんかすごく嫌な奴だなって思っちゃったけど、話せばいい奴じゃん。まあ君付けで構わないと言われているけど心の中ではずっと呼び捨てだったけどね
さて、最初の友人ができたわけだけど・・・これ、僕が異世界人であることを伝えるべきなんだろうか。最初にできた友人ってのでかなり信頼しているんだけどでも、最初のキャラが最大の敵パターンもあるんだよな。あ、これって主人公限定じゃん。じゃあ関係ないか
でもなぁ。信頼してるとはいえ、少しだけもう少しだけ後にしよう。いつかきっと話せる時がくるだろう。その時に全部話せばいっか。
そのあと旧修練場にて僕は『電気の領域』を習得することができた。やったね、これでクレアにできたけど僕にはできなかったっていうことにならなくてすんだよ。
「お!ミライ『領域』が使えるようになったのか。じゃあ俺と」
「しません」
「あ、じゃあ僕と戦ってくれませんか?」
「おおいいぜ。・・えっと」
「クレアと言います」
「そうかクレアか、俺はグレン。よろしくな」
クレアは元気だなぁ。なんであんなに積極的に行くことができるんだろう。
「あいつには目的があるみたいなんだ。だからすぐに僕と戦って実力をつけたかったらしい」
「そうなんですね。シオン先輩ってそんなに強いんですか?」
「まあそれなりにね」
ふうん、まあそんだけ自信ありげに言っているってことは強いんだろうな。だからクレアもさっさとシオン先輩のいる第7ギルドに入ったんだ・・・ろ、うな
「あーーーーーーー」
「どうしたんだい?」
や、やべぇ。今思い出した。もうすぐ一ヶ月が経とうっていうのに、僕、どこのギルドにも入ってなかったーーー!
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
59
-
-
52
-
-
238
-
-
15254
-
-
35
-
-
3395
-
-
149
-
-
2
-
-
124
コメント