電気使いは今日もノリで生きる

歩海

異世界学園モノ恒例イベント発生



入学してから4週間が経った。だいたい毎日のルーティーンが決まり始めたな。まあ今は授業がないからほぼ毎日休日みたいなものだから学校が実際に始まったらまた変わってくるんだろうな


僕の日常は結構簡単だ。まず、朝起きる。朝ごはんは昨日先輩方が奢ってくださったパンとかをもそもそ食べる。奢りの件はあとで話すから置いとくとして、食べ物が予想以上に地球と同じなのは驚いた。まだ食べたことはないけど米もあるみたいだ。そして午前中、旧修練場に向かう。するとそこにはシオン先輩、葉杜先輩、グレン先輩、セリア先輩、スバル先輩、レイ先輩のうち、3人は常にいて多いときは5人とかいる(いないのはシオン先輩とレイ先輩、スバル先輩の三人)。常にいる先輩のギルドでの扱いを知りたいな。


そこで模擬戦をずっと行う。ああ、賭け金のことだけど一年生だからってことで免除されてる。もちろん僕が勝つことができたら貰えることになってる。ハンデらしいけど、一回も勝てないんだけど。まあそもそも賭け金については別に大したことではないらしい。グレン先輩いわく「こうしておいたほうが都合がいいんだよ。特にシオンとかはな」らしいけどよくわからない。


大体午前中に戦うのは10戦ぐらい。なんとレイ先輩が回復魔法の使い手でお世話になってる。そしてなぜか僕を中心に戦うように組まれている。もう戦っては回復して戦っては回復しての繰り返しなんだけど。


そして昼。大体のクランが新入生の確保のために外に食事に出かけているらしい。なんでも新入生勧誘は午前中のほうが効果的らしい。なので第7ギルドを中心にそこで食事をいただいている。僕はともかく第7ギルドでない人もいるみたいなんですけどそれは別に問題ないらしい。ギルドで食事を作っているケイさんいわくこんなこと昔はしょっちゅうあったらしい。


そして午後、大体が修練場に戻ってまた試合再開。でもたまにシズク先輩が来ることがある。女性でもここに来るんですねって聞くと「まあ実りも多いですので」と返ってきた。聞けば授業において戦闘訓練はあるにはあるみたいだが、周りとの戦力差を考えるとどうしてもここに来るらしい。頼りになるって話だけど実際どこまで強いんだろう


たまに外に出てギルドからクエストを受注することもある。「こうすればお金を稼げるだろ」って。でも依頼に長い時間をかけるわけにもいかないから大体周辺で終えることのできるクエストだけだ。でもどちらかといえば便利屋な感じもするけど。市内の掃除だとか迷子の子猫探しだとか。正直戦闘をさせてくれるのかと思ったらそんなこともなかった。角先を始めとする一部のクラスメイトたちはもうすでにモンスターと戦闘を行ったらしい。たまたま出会った天衣に自慢されたから知ってる。ちなみに、誰がどこに入ったのかは聞いてない。他の人で決めたくないからってことで言わないでおいてもらってる。まあ、雑務とはいえ列記とした依頼ではあるので少しではあるがお金を貰える。それで少し食べものを買ったり、衣服の洗濯をしたりしろって言われてる。


そして夕飯、これは先輩方が外で奢ってくれる。外に出かけるので帰り際とかについでだとかで朝ごはん用のパンとかを買ってもらえる。夕飯後には気分でまた旧修練場に戻る。このときは戦うというよりは新しい技の研究に付き合ってもらっているという感じが近い。最初の日にシオン先輩から謎のアドバイスをもらったけど・・・まだつかむことができないんだよな。どうすれば砂鉄を体に纏えるんだろう。そしてできれば剣の形にまとめてみて降り回してみたい。


そして寝る。なにか大事なことを忘れている気がするんだけど、きっと気のせいだよな。まあ毎日戦闘訓練だけはしているから大分体が運動に慣れてきたし、喧嘩というか殴り合いについても素人から素人に毛が生えたくらいまでにはなった。やっぱり簡単には強くならないか。


そんなときに、事件?というか見たらわかると思うけど僕、新入生とまったく関わりがないんだよね。聞くところによればギルドの見学に行った際に知り合ったり同じギルドに入ったもの同士で仲良くしているらしい。そんな僕に初めて新入生が話しかけてくれたんだ。


「お前がミライか?」


初めて話しかけてすごく嬉しんだが・・・なんか言葉にかなり険があるんだけど。そんな風に僕に声をかけてくれた人を見る。もはや珍しくもなんともない金色の髪の毛をした少年。幼さが残っているから多分僕と同い年とかかな。顔立ちは、うん、一ノ瀬と同じくらいかな。一ノ瀬も地球にいたときはイケメン代表だったけど、今ではもうシオン先輩やセリア先輩のせいでイケメンのレベルが上がってきてるんだよな。


「そうだけど、どうしたんだ?」


向こうが険悪な空気を出しているけどこちらから無駄に挑発はしたくない。できれば穏便に過ごしていきたいからね


「お前が・・・お前のせいで・・・」


あーこれお馴染みのやつじゃないか。こう優れたチートのせいで悪目立ちしちゃった転生者が異世界の人に妬みとかやっかみとかを受けるってやつじゃん。ついに自分にも巡ってきたかと感動するけど僕何かしたっけ?基本的に毎日戦闘訓練しかしてないんだけど


「お前のせいでシオンさんが全然相手してくれないじゃいかぁ!」


それどういうことだよ。相手をしてくれないって。あの人なんだかんだでいっつも僕に相手を強要させてくるんだけど。ほぼ毎日あの人と対戦してるんだが


「いつもいつも、稽古をつけてくださいっていうと、用事があるからって断られて、それがあまりにも続くから昨日後をつけたらなんでお前と模擬戦をしてるんだよ」


あの人、そんな風にえこひいきするようには見えないんだけどな。こいつの人となりを知らないけどなんで戦わないんだろう。というか


「そんなに戦いたいんなら君が変わりに戦ってよ」
「な・・・」
「正直少し休憩したいって思ってもあの人毎日毎日模擬戦を挑んでくるんだよ」


これで僕の負担が減ったら万々歳だな。やる気だけを見ればきっとかなり戦ってくれるのだろう。そしてシオン先輩の戦闘欲をそれなりに解消してくれるに違いない。


「お、おま・・・」


あれ?なんかすごく震えてるんだけど、どうしたんだろう。顔も真っ赤にして。きっとショタコンだったら可愛いって感情が起きるんだろうな。背小さいし。下手したら女子と同じくらいじゃないのかな。


「ふざけんな。なんでお前なんかに同情されなきゃならないんだよ」


あー怒らせちゃったな。別にそんな気は全くなかったんだけどな。あれ、待って、この展開なんか知っているんだけど。えーっと、なんか学園モノで入学早々絡まれたときに次に来る言葉は、


「僕と、勝負しろ!」


そうなりますよね。


「お前に勝って、お前より僕の方が模擬戦相手にふさわしいって認めさせてやるんだ」


いや、だから喜んで譲りますって・・・でもそうだよな。それは僕の気持ちだけでシオン先輩がどう思っているかなんてわからないからな。あーでもそうしたらワザと負けるって話もあるかな?


「一応言っておくが手加減はするなよ。僕は本気のお前を倒したいんだから」


手を抜いてワザと負ける作戦が使えないとなれば、どうするか。


「そういえば名乗ってなかったな。僕はクレア、よろしく。君と同じ新入生で第7ギルド所属」


あ、やっぱり同じ新入生だったのか。ん?でも待って


「僕、第7ギルドに所属してないけど?」
「は?」


もしかして、誤解解けるか?

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