電気使いは今日もノリで生きる
毎日が記録更新
僕は今、魔術学校があるという国に向かって進んでいる。馬車に乗るという普通の高校生なら体験できないような経験をしている。一ノ瀬たちが召喚された国ジンスフィア通称「人」の国から出てしばらくが立つ。今は自然豊かな風景が広がっている。ああ、綺麗な景色だな
「クレナイさんどうしたんですか?さっきから窓の外を見てばっかりで」
現実逃避をしてました・・・なんて言えないよな。でもいいよね。現実逃避をしちゃっても。昨日も似たようなことを言った自覚があるけど、前言撤回。今日のがきつい
状況を整理しようか。まず、僕は馬車に乗っている。ちゃんと誰一人遅刻することなく時間通りに出発することができた。なにか抵抗があるのかと思ったけど何もなし。昨日遅刻するフラグ立てたけどもこれは無事に折られたのか。むしろこのフラグが成り立ったほうがどんなに良かったかって思えるな
そして馬車に乗り込むことになった。なったのはいいのだが、
「あの、クレナイさん」
「なんですか?」
あ、えっと・・・この美少女誰だっけ?昨日王様と話していたんだけど、名前忘れちゃった。そもそも覚えていなかった気もするけど
「お願いがあるんですけど」
「いいですよ」
ここで何故僕は断らなかったんだろう。昨日散々顔のいいやつをけなしておいて・・・相手が美少女だから仕方がないよね
この美少女、ジュリエットさんのお願いというのは同じ馬車に乗るというものだ。やったね。美少女と同席だ。男子からの視線の妬み具合がえげつないんですけど。
まあさすがに二人っきりだとは期待していないけどね。見るからに要人っぽい人と見るからによくわからない人を同じ馬車にいれるなんてこと決してしないよな。
でもさすがにこの人選だとは思わなかったな
「そうだぞ、紅。お前馬車に乗ってからずっと外見てばっかりでまともに会話をしようとしてないじゃないか」
「そうね。さすがにもう少し歩み寄る姿勢を見せるべきじゃないかしらジュリエットさんがせっかく話しかけてきてるのに」
フルボッコです。あのね、僕は誰にでも気さくに話しかけることのできるようなコミュニケーション能力高いイケメンの一ノ瀬や、みんなの頼りになるリーダー的ポジションの五月雨さんとは違うんですよ
「お前らうるせえよ。外の景色が見たいんならそれでいいじゃんよ。変に絡みに行くなんて迷惑に他ならにだろ」
「で、でもみんな仲良くするのは大事だと思う」
「ああ?お前は黙っとけよ」
「ひ、ひいぃ」
「もう。青目くん。楠くんをいじめないの」
相変わらずだな。青目もいい加減楠に絡むのやめたらどうなんだろう。それから日暮さん、おそらくあなたのその態度が青目が楠をいじめる原因のひとつだと思うんですけど。でも青目、僕の気持ちを代弁してくれたのはありがとう。これ以上巻き込まれたくないんだよ。
「そうですか?クレナイさんは私たちと話したくないと」
「い、いやそんなことは」
その言い方はずるいですよ、そう聞かれたら否定するしかないじゃないですか。
「気分がすぐれないのですか?では早めに用件をすましましょう」
なんだろう。嫌な予感しかしない。というかジュリエットさん、こんなグイグイくる人だったんだね。用件ってなんだろう。
「ひとつお聞きしたいのですが、」
聞きたいことねぇ。そんなこと一ノ瀬と五月雨さんに聞けば一発でしょうに。クラスメイトのことはだいたいこの二人に聞けば問題なさそうだし森のことに関しても五月雨さんは一緒にいたからわざわざ僕を指名してまで聞きたいことなんてあるはずがないのに
単に人数合わせというか。一ノ瀬と同じ部屋だったから呼ばれただけだったのかな?あの部屋の人全員呼ばれているし。他には日暮さんと五月雨さんとジュリエットさんに星垣さん。星垣さんはザ・文学少女という感じのすごくおとなしい女の子だ。長い黒髪で目が隠れているので顔立ちはあまり知らないが一部では実はかなりの美少女ではないかと噂されている。でもその真偽を確かめた人はいない。僕としては唯一僕と同じように巻き込まれた感じがしているので非常に親近感が湧いています。
話がそれちゃったけど、何について聞きたいのだろう
「あの、クレナイさんは『麒麟』にお会いしたと聞いたのですが、本当なんでしょうか」
本当だけど・・・誰が話したんだよ。確かに麒麟に会ったのは僕だけじゃん。僕が呼ばれる理由あった!でもそんなこと想像できるか。
「昨日ジュリエットさんにあった時に少し話したのよね。そしたら紅くんが麒麟にあったことを話したらかなり食いついてきちゃってね」
「麒麟はめったに人前に姿を表さないと言われている伝説の生き物なのでつい。『星』に勤めるものとして聞いておかねばならぬことですので」
「『星』?」
「私の所属している機関とでももうしましょうか。この世界の安寧と平和を祈り、謎を解明する組織です」
これから向かう魔術学校もその『星』が所有するんだとか。どんだけ強いんだよ。そもそも学校のある国が通称『星』の国ミストフィア。この世界において唯一の中立国家なんだろか。今この世界は国家間での戦争が行われているところもあるって聞いたしな。でもミストフィアはどこの国でも対等に接する。だからこそ、一番大きな学校が建てられているっていうのもあるみたいだ。それで、『星』というのはこの世界において解明されていない謎を解き明かしたり、ジュリエットさんがしているように世界の予言をして平和に導こうとしたりしているんだとか。その過程で身につけた知識をもっと世に広めようというので学校が始まったそうだ。だから、世界中の国から人が集まっているらしい。当然、学校内では国の問題を持ち込むことは禁止されている。詳しいことは学校に着いてから説明があるみたいだ
麒麟のことを話してと言われても何か重要なことを話したわけではないし・・・しいていうなら僕らがこの世界に来たのは目的があるということぐらいかな
「目的がある、ですか」
あれ?考え込んじゃった。以外と重要なことだったのかな。まあお偉いさんの考えることなんてわからないし、別にいっか。
「麒麟に会えたおかげで私たちは一ノ瀬くんたちの存在を知ったんだし、麒麟っていいやつなのかしら?」
「すみません。先ほども言いましたがめったに人前に姿を表さないので」
あれがいいやつねぇ。確かに僕らの命の恩人であることは間違いないんだけど、あんな言い方しなくたってもいいじゃないか。よし、この世界での目的ひとつ追加。『麒麟に僕のことを認めさせる』よし、覚えておけよ。ま、人前に姿を表さないっていうのなら記憶している人も少ないだろうしきっと覚えているだろうけど
「そういや学校で何を学んだらいいんだ?やっぱり戦闘訓練か?」
「いえ、それも着いてから話す予定なのですが、自由で構いません」
「え?」
「この世界についても基本知識は学んでもらいますが、他は自由です」
なんだろう。無理に戦いに行けと言ってこない分ましなんだけど・・・少し含みのある言い方だな。あまり干渉したくないというかなんというか。
でも逆に考えるんだ。自由が許されているということは僕たちは自由に学校生活を送れるということ。つまりは本来するはずだった学校生活をもう一度送ることができるということ。恋に勉強にがんばるぞー。
「紅くん地球にいた時も頑張ってたっけ?まあ少なくとも性格を直さないと恋は難しいわよ」
身も蓋もないんで言わないでくれると嬉しいんですけど「あら?言葉にしないと伝わらないこともあるんじゃないかしら」あ、はい。ごもっともです
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