電気使いは今日もノリで生きる
登場人物の紹介が終わらない
「というわけで気が付いたらこうして森の中にいたわけだが・・・」
「まあ楠が近くにいて助かったよ。一人だと心細いしな」
いきなり転移したのには驚いたが、そのあと目覚めたときに角先が近くにいた。他にもクラスメイトが数人。あのクラスメイトの叫びを聞くにどうやらあのときに教室にいたやつ全員が何かしらの出来事に巻き込まれたとみて間違いなさそうだな。今の状況を見るにおそらく近くにいるだろうから合流を心がけてもいいかもしれない。
「にしてもなにも説明もなしか・・・普通なら王族なり女神様なりが説明に出てくるはずだろ」
「お前まだそんなこと言っているのか。いい加減に諦めなよ」
そうはいっても諦めたくないのが人情ってものだろ。せっかくの非日常だ。楽しまなければ勿体無い。それに僕はまだマシな方で、この状況に放心しているやつや謎にテンションが上がっているやつもいる。
「これは・・・まさかの異世界転移!」
「うおおおおおおおお」「やったぜ」
・・・な?あれに比べたらはるかにマシだろ。いやね?わかるよ。テンションが上がるのは、わかりますよ。男の子だもん、リアルが充実してないものどう・・・・ぐふ。自分で言っててかなりダメージを負ったぞ。なにこの自爆特攻。
「お前なにしてんの」
「いや、自分で言っていてかなりのダメージを受けてしまった」
「・・・」
なんだろう。角先からの視線が冷たい。そんなに変なことを言ったつもりはないんだけど。
「はあ、まあいいとして、この状況をどう見るよ」
周りの状況を確認するのは大切だしな。ゆっくりと周りを確認してみる。見渡す限りの木々で、ここはちょっとした広場というか木の生えていない空間があった。ちょっとした空き地みたいになっている。ま、そんなことはどうでもよくて、この木の種類だな。みたところ・・・よくわからん。杉?檜?なんの木だろう。そもそも僕は木々とか詳しいわけじゃないし見ただけでわかるわけないか。でもまあここがどこかはわからないが、あの魔法陣があった以上地球ではないと思うな・・・とりあえずここをスペースαとでも名付けようか。
さて、スペースαに生えている木々だが、地球で見たことあるのとあまり変わりがないな。見たことあると言ってもテレビとかで見たやつだけどな。そして空を見上げてみればこれまた綺麗な青空が広がっていると。雨降ってなくてよかったな。
「気温は・・・ちょっと暑いくらいか。25〜30くらいかな」
「いやそういった状況ではなくてだな」
「こんなもんだろ・・・あ、もしかして角先、お前木とか詳しい?」
「詳しくな「おい、お前らはどうだった?」なんだ?天衣」
テンションが高いやつもいるが、その中で最もテンションが高かったのがこの男、天衣 馴男。僕よりも・・・というかクラスのなかで最も異世界小説に惚れ込んでいる男。「知ってるか?最近の異世界転移系はちょっと詳しいやつが転移するパターンが主流なんだぜ」とちょっと鬱陶しい感じでクラスメイトに話をしては自らが異世界転移することを切に願っている男。ああ、夢がかなったのか、おめでとう。
「なんか嬉しくない紹介のされ方!でもありがとう。やっぱり異世界は最高だぜ」
「おい、天衣、なにか話があってきたんじゃないのか?」
「・・・あ、そうだ。お前らはもう見たのか?自分のステータス」
「「ステータス?」」
ステータスってあれだよな、今は昔、RPGとかでおなじみの攻撃力とかattack値とかが数値で書かれているやつのことだよな。そんでもって今では異世界に行くとなぜか見ることができる力のひとつ。それが、今この瞬間でも見ることができる・・・やはりここは地球ではないところなのか。
「ああ、そうだよ。ステータスって言うんだ。そうすれば見ることができるんだよ。自分の力を」
「そ、そうか」
お、おい。いつもグイグイ来るときは来るなぁって思っていたけどさ、こいつ、こんなキャラだったっけ?ん?今初登場だからよくわかんない?それもそうか。さ、て。一応確認のために僕も自分のステータスを確認しておこうか。べ、別に気になっているとか自分になんかチートな能力が宿っていることにちょっと期待しているとかそんなことはないんだからね!
「それは美少女がするからいいのであってお前みたいなやつがすると気持ち悪いしか出てこないからな」
うるさい。言いながら自分でも思ったよこんにゃろ。似合わないって。そんなこと百も承知だよ。
「でもまあさっさと確認しようぜ・・・ステータスっと」
「そうだな・・・ステータス」
ピコン
そんな音が聞こえた気がした。これは自分にしか聴こえないのかな・・・さっき聞こえなかったし。さてさてさーてっと。僕のステータスはどんなかなぁ。
紅 美頼 男 17歳
スキル「電気」
「これだけ?」
「あ、紅はどうだった?名前とスキルしか表示されなくてさ」
「お前もか?僕もそうだね」
なんだ?やけにシンプルとしたステータスだな。まあ変に攻撃力とかなくてスッキリしているといえばスッキリとしているが。にしても「電気」ってなに?雷魔法とかそんな感じなのかな。なにもわからないからなんとも言えないけれどわかることがひとつ。
「これ絶対普通のスキルじゃん」
どう考えてもチートな能力になりそうな気配がないんだよな。いわゆる四大元素だっけ?火水土風・・・あれ?雷なくね?まあ、そんな感じでも特にハズレとかではない系統だしな。まあこの世界では実は・・・とかあるなら話は別だけどそんなことはほとんどありえないしな。
「お前、どうだったの?」
「ん?ああ、僕は「あれ?話すの?」え?」
「どうした山胡桃」
「私だったら無闇矢鱈に自分の能力を明かさないな〜」
この天衣と同じような空気を醸し出しているのは山胡桃 友恵。そういえばこいつも確か異世界転移にはまっていたな。
「私がはまっているのは転移じゃなくて転生かなぁ。だって私ことりちゃんや聖奈ちゃんみたいに美少女じゃないし、転移したところでイケメンたちのハートをゲットの逆ハーなんて無理よ無理」
さいですか。・・・・さいですか。大事なことではないけど二回言うぞ。反応に困るからやめてくれ。確かに今挙げられた日暮さんや四万十さんは美少女だけれども山胡桃さんだってそんなにきにするほどじゃないと思うんだけどな。でもこれ、下手なことを口にすれば地雷を踏みかねないんだよな。
「わ、私はそこまでかわいいわけじゃ・・・」
「もーなに言ってんのよ。聖奈ちゃん。ほんっとあんたは美少女の上に性格良しスタイル良しと男が放って置かないような感じなのに・・・あーあ、私だったらもう彼氏の一人や二人もうとっくに作ってるわよ」
「と、友恵ちゃん。私はか、彼氏とかはまだ早いかなって」
あ、四万十さんもいたんだ。そういや周囲の状況は確認したけど誰がいるのかなんて確認しなかったな。・・・あそこで喜声《奇声》をあげているやつらがいたからかな「だからお前もう少し口を慎んでくれ」
怒られちゃったし、ここは素直に誰がいるのかの確認でもしましょうかね
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
0
-
-
1168
-
-
267
-
-
111
-
-
93
-
-
159
-
-
70810
-
-
314
-
-
37
コメント