金属魔法の使い方

バリウム

イノシシとカリ

歩いているとリンが紙を渡してくる。

開くと大雑把な地図が書いてあり、点々と印が打ってある。

「ここからクウリウル雪山に行く前に、山の下にあるソート村に入って一休みしてから行くわ、ソート村まではここから2日歩くわよ。」

結構長旅だなぁ。

そう思いながらユウトは地図を見ているとリンがジロジロ見てくる。

「...............。」

「どうしたリン?。」

「凄い聞きづらいけど、その大きな荷物は何?。」

「ああこれ?。」

そう答えならゴンゴンと叩くユウト。

まあ確かに不思議がるよな、こんな大きな筒みたいなのを持ってるなんて。

「んー、これはメイクからたのまれたんだけど、これを発射すると流石に理事長に怒られるんだって。」

「そういうことね。」

 どうやらリンはこの説明だけで納得したようである。

少し歩いて日が真上に登る少し前、モンスターが出た。

かなりデカイ、お姉ちゃんが最初に真っ二つにしたイノシシと同じタイプだ。

「リン、今日のご飯だな。」

「....そうね、あまりお肉にがっつきたくないけど。」

2人は背中に背負っている荷物をおろしリンは槍を袋から取り出した。

「スリーカウント!、3....2.....1.....ゴー!。」

リンとユウトが同時に飛び出す。

「....おりゃ!。」

先にユウトが刀を作って前足を切り落とそうとする。

モンスターの前足に触れた直後、金属同士がぶつかり合った音がする。

切りきり、後ろを見ると、切れていなく銀色になっていた。

「リン、コイツ、〈ユニーク〉だ!。」

説明しよう!。

〈ユニーク〉とは、通常のモンスターはちゃんとした魔法を使えないのだが、この〈ユニーク〉は人や亜人、魔人に似た魔法を使えるモンスターのことだ!。

「そんなこと分かってるわよ!!」

リンはそう言いながらソニックインパクトで加速してモンスターの眉間めがけて槍を打ち込む。

ドゴォン!!。

さっきとは違う鈍い音が鳴り響くが、モンスターは少し下がっただけで目立った傷は見当たらない。

あれ?、斬ったり、突いたりしたところだけしか銀色になってないな。

「リーン!、ちょっと作戦があるんだけど!!。」

そう言ってリンをこっちに来させる。

耳元でそこそこ囁き、作戦を伝える。

「そうね、このまま倒せないよりは少しでも試した方が可能性が広がるわね。」

2人とも武器を構える。

そして2人同時にソニックインパクトを使い、モンスターに向かって飛び出す。

さっきリンに伝えた作戦はこうだ。

「俺ら同時で攻撃したら魔法の対象範囲で防げなくなるんじゃないか?、だからリンはさっきと同じところを攻撃してくれ。」

同時にソニックインパクトを使ったが、熟練度はリンの方が圧倒的に上でリンが先に眉間を貫こうとする。

ゴォォン!!。

さっきと同じ眉間に打ち込むがモンスターは踏ん張りきった。

一方、ユウトはメイクにちょっと太めの腕輪を作ってもらっていた。

この腕輪は真ん中に一周の窪みが出来ていて、その窪みユウトは刀を差し込む。

それを一気に引き抜く。

すると刀に炎が纏わり付いてそのまま炎が吸い付いていくように刀身が赤く光る。

「オラッ!!。」

リンが眉間を突いた直後、ユウトは横一閃。

モンスターは面積をカバーし切れずに切れ込みが入り、炎が吹き出す。

モンスターはダメージに耐えきれずその場で倒れた。

「なんとか勝てたな、モンスター硬すぎな。」

「そうね、ちなみにこのモンスターの名前はモーモウよ、そこらへんに生息しているモンスターぐらい覚えなさい。」

へぇーこのモンスター、モーモウて言うんだ。

ユウトが興味深くモーモウを見ていると、リンがモーモウを捌き始めた。

素早い手際だ、お姉ちゃんに負けてないんじゃないか?、てくらい早い。

「あなたも手伝いなさい。」

そう言ってリンは小さいナイフをユウトに向かって投げる。

「わかったよ。」

ユウトは短い返事で捌き始め、案外すぐに終わった。

その肉を焼いて、今は歩きながら食べている、いわゆる食べ歩きだな。

「....なあリン、この状況を見て行儀が悪いて思わないか?。」

「なにが?、仕方ないでしょ、冒険者だったんだし。」

それもそうか、案外この世界では俺の世界ほど行儀がいいと言う食べ方をするより効率を選ぶらしい。

そのあと、日が暮れるころ、大きな木のところでリンは立ち止まった。

「今日はキリがいいしここで寝るわよ。」

「あいよ。」

そう言って2人は野宿の準備をし始めた。

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