魔力ゼロの真の勇者

Nero

18話 宿屋にて5


「ん、もう朝か…」


翼は眠くてだるいながらも体を起こした。


「…やっぱ寝た方が良かったかな。最も、あの状況じゃ無理だったけど。」


俺が眠れなかったのは、
レイが俺にくっついている状態でいたから、というのもあるが、エルから言われて気になっていた魔王達やこの世界について考えていたと言うのも理由にある。


幸いと言っていいのか、この時期はそんなに暑くない。むしろ少し涼しいくらいだ。なのでくっついていても、それほど苦しくなかった。


しかし、魔王か…少し早い気がするけどやってみるか。


そんな事を考えていると、ドアを叩く音がし、声が聞こえた。


「翼ー、起きてる?入っていい?サリエルもいるよ。」


エリとサリエルだった。


「あ、ああ起きてるから入っていいぞ。」


「お邪魔しまーす。」


「失礼します。」


「あれ、レイ寝てるの?」


エリは何故か不思議そうにそう言った。


てっきり俺らの声で起きるかと思ったが、まだ寝ているようだ。


「ああ、そうみたいだな。」


「…ふーん。それより翼、なんか様子おかしいけどなんかあったの?」


エリが俺の様子に違和感を感じたのか、そう聞いた。


「え、別に。なんもないよ。」


…まあ、別に前の件と比べたら大した事無かったけど、言いたくなかった。


「ふーん、まあいいけど。」


「んで、こんな朝早くなんの用だよ。」


今は朝、と言っても早いのだ。5時半くらいだ。ちなみに、この世界の時間は、1日、24時間で、1時間、60分と日本と変わらないらしい。


「あー、そうだった!サリエルが翼に言いたい事があるんだって。」


「ん、なんだ、サリエル。」


「はい、実は昨日の夜、夢でエル様に会い、ある事を言われました。それを話したいと思い」


「……」


なんか読めた気がする。…絶対魔王の事だよな。


「夢の中では、エル様がもう少しで魔王が復活するとおっしゃってました。」


「ま、魔王が…!」


エリが驚いている。まあそうか。俺もエルから聞いた時は驚いたからな。


「…魔王…」


「「………」」


…ん?あれ?


「レイ…!お前いつの間に…!」


後ろを振り向くと、レイがベッドから起き上がり、俺の後ろに立っていた。


「レイ、翼気づいてなかったみたいよ。」


エリが笑いながらそういった。


ん?んん?


「…翼…鈍感」


「おかしいと思ったんだよね、翼が、レイは起きてるはずなのに、寝てるなんて言い出すから。」


あれー?
…理解が追いつかないぞ。
サリエルも首を傾けてるし、


「レイ、2人ともわかってないみたいよ。説明してあげて。」


「…うん、レイは翼と一緒で一睡もしてない…と言うより、出来なかった。」


「え、つまり、レイは初めから起きてたのかよ。っていうか、さりげなく『翼と同じで』って言うな笑」


レイも同じだったのかよ…。じゃあ、やっぱり、あの『手』は……いやいや、ないか。


「まあ、そういう事よ。私とレイは、互いのエネルギーを感じることが出来て、そういうのが分かるのよ。」


「へぇ、でもなんかやだな。」


「…でも、レイはエリのしか、エリはレイのしか分かんないけど…」


「そうかそうか。…まあ、その件は置いといて…」


「そうよね。サリエル、」


「は、はい、」


「さっきの話は本当なの?」


俺が聞こうかと思ったが、エリが聞いてくれた。


「はい。夢の中ですが、エル様からは確かにそう言われました。とは言え、あくまで夢なので信ぴょう性は薄いかもですが。」


「そっか、夢だもんね、」


「…夢…でも本当かも」


エリは否定的だったが、レイは肯定的だった。


「…ああ、レイの言う通り、それは本当の事だ。」


「え?」


「翼、どういう事?」


「実は、俺も昨日の夜、エルから言われた。魔王が復活するって。まあ、俺の場合は直接呼ばれて会ったんだがな。」


「…それは本当ですか?」


「ああ。嘘つく必要ないだろ。」


「まあ、確かに翼なら直接会えますね。…それなら、魔王の件も納得できます。」


「まあな。」


「翼がエル様と…」


エリが羨ましそうに呟いた。


「…魔王…勝つ」


レイはすごくやる気がある様に感じた。


「まあ、色々教えて貰ったから後で話すよ。それにこの後クエストもあるしな。」


「あ、クエスト。忘れてた笑」


「お前なぁ…まあいいか。まずは朝飯だ。行くぞ。この時間もやってるだろ。」


「そうですね。まずは朝食ですね。」


「やったぁー!ご飯だー!」


「…エリ、落ち着いて、」


「落ち着かないと、エリは飯抜きにするぞ。」


「…!それは止めてくださいお願いします!落ち着きますから。」


「はぁ、まったく…」


こうして、翼達は朝食に行くのであった。









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