《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第6-14話「学院祭 ⅩⅣ」

 学院祭は中止になるかと思われたが、生徒たちの強い要望もあって、引き続き行われることになった。



 景色が暗くなっても、外の騒ぎはいまだに続いていた。301号室の自室にて、ケネスはベッドに腰かけて寛いでいた。媚薬騒動を治めるのに疲れたのだ。媚薬の名残かなんなのか知らないが、普段しゃべった覚えのない後輩から、告白されるということも1度ならず、2度もあった。



「はぁ。疲れた」
「この学院祭はいつまで続くんじゃ?」
「もうすぐ終わるよ」



「残念じゃな。もっとハンバーガーが食べれると思うたのに」



 屋台で買ってきた人の顔程もあるハンバーガーを、ケネスは抱えていた。ヴィルザが大口を開けてかぶりついている。見ているだけで胸やけしそうだ。



「それで満足しろよ。この学園祭特製巨大ハンバーガーを3つも買わされる身にもなってみろ」



 ロレンスやユリから、そんなに食べたら太るぞ、と真顔で注意された。《帝国の劫火》ならまだカッコウもつくが《大食いハンバーガー野郎》とか二つ名が通ったらどうしようかと本気で心配になってくる。



「モグモグ……人間どもは……ムシャムシャ……愚かなくせに、食事を作るのだけは、なかなかのものがある。……んぐっ」



「オレからしてみれば、今のお前の姿がイチバン愚かだと思うがな」



 ケネスが抱えているハンバーガーに、ヴィルザがかぶりつく。マヨネーズやらケチャップやらで、顔を汚している。バーガーがでかいから、その分、顔も汚れるようだ。



「人間どもめ。怖ろしい秘密兵器を隠してもっておったわ」



 結局3つともたいらげてしまった。



「ほら、顔」
 とヴィルザの顔の汚れを、布で拭き取った。ヴィルザは「んっ」と顔を突き出して、大人しく顔を突き出していた。



「ッたく、色気ねぇなぁ」
「私からしてみれば、コゾウの色気もありゃせんわ。この童貞め」
「うぐっ」



 こう見えてヴィルザは数千年という時間を生きているのだ。ケネスなんか、子供のようなものなのかもしれない。そう思うと、途端に不安になる。ヴィルザはオレを男として見てくれるだろうか……と。



「すぐに動揺しおる。まだまだ甘いのぉ」
「よく食べるし、よくしゃべるし。お口の忙しい魔神だ」



 パァン
 外で破裂音が響いた。ケネスとヴィルザは2人で外を見た。大輪が夜空を色鮮やかに飾っていた。ロレンスたちが火系魔法で、空に花火を打ち上げてくれているのだ。



「おっ。キレイじゃな」
「ああ」



 ケネスは緊張による手の震えを殺して、ヴィルザのことを抱き寄せた。ヴィルザは抵抗しなかった。



「のお。ケネス」
「ん?」
「永遠に、一緒、じゃからな」
「わかってる。もう手放しはしない」



 ヴィルザとケンカして、離れていたときがあった。あのときケネスの中には、常に喪失感があった。自分で思っているよりも、ずっとずっとヴィルザの存在は大きい。



「もし……」
「なんだ?」



「もし、そのスキルに何かあって、私のことが見えなくなった時が来ても……」



「そんな時、来るかよ」



「悲しむことはない。動じることはない。私はいつも傍におる。だから、焦らず、狼狽えず……じゃからな」



「いったいなんの話だよ」



 ケネスにしか触れることのできない肌が重なりあった。重なりあって混じり合うかと思ったけれど、2人はやっぱり別々の個体だった。慣れないケネスの動きを、ヴィルザが優しくリードしてくれる。ヴィルザのリズムに、ケネスは身をまかせていた。存在が重なるとすべての悲しみが、洗われていくような気がした。ヴィルザの中にある孤独や寂しさも一緒に洗われていると良いなぁ、と思う。



 腕のなかの小さな生き物は、ただただ愛らしいだけではない。この娘を、マットウに更生させることが使命だとケネスは思っていた。



 パァン。
 外では、また花火があがっている。

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