《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第4-28話「帰還」

 ソルトを倒して、ネックレスを破壊したケネスは、いまだ縛られているバートリーとフーリンの拘束をといた。ミファの拘束を解こうとしたときに、地鳴りがした。どうやら馬の大群が地を叩く音らしかった。その証拠に、緑の大平原を駆けてくる馬群が見えていた。



「なんだ、なんだ?」



 逃げていったソルトの部隊が戻ってきたにしては、方角がマッタクの逆方向だった。もしやソルトが援軍でも要請していたのかもしれない。さっさと転移石で学園に戻ったほうが良さそうだ。



 そう思ったのだが――。



「パ、パパ!」
 と、ミファが声をあげた。



「なに? ミファの父親ってことは、ケリュアル王国の公爵か?」



 公爵がなにゆえ、こんな場所にいるのかと疑問に思ったのが、すぐにその答えがわかった。馬群はケネスたちを取り囲むようにして、先頭にいた男が声を張り上げてきた。



「《帝国の劫火》とやら、我が娘を薬漬けにして、あまつさえ人質にとって暴動を起こすとは、なんたる所業! このフリードリッヒの娘に手を出したことを、後悔させてやるッ!」



 そう吠えている。
 勘違いもはなはだしい。



 ミファは薬を自発的にやっていたし、暴動の首謀者もミファだ。ケネスはその護衛をしていただけなのだが、どういうわけか、都市でもケネスが悪の親玉とされていた。まさか、公爵令嬢が自発的に薬をやっているとは、誰も思わないのかもしれない。ましてや自分の父親なら、そうだろう。



 ケネスは咄嗟の思いつきで、ミファのことを抱き寄せた。その首元にダガーを突きつけた。



「ちょっと、何するのよ」
 と、ミファが悲鳴をあげた。



 縄で縛りあげられているミファは、いかにもケネスに生け捕られているカッコウに見えることだろう。フリードリッヒ公爵が引き連れてきた騎馬隊が、大きく動揺するのを見逃さなかった。



 ケネスは小声で、ミファに言う。



「両親と仲良くないと言ってたが、どうやら父親のほうは、ちゃんと娘の心配をしてくれてるみたいだぜ」



「……うん」



「どうする? やっぱりここに残ったほうが良いんじゃないか?」



 もともとミファは暴動を起こそうとしていた。処刑されても構わないとも言っていた。それもすべて親の気を惹こうとしてのことだった。処刑されるのは、さすがに忍びない。そこで帝国へ一緒に来ないか――と誘いをかけた。ミファがその誘いに乗ってくるなら、転移石で戻れば良い。



 が――。
 こうしてミファの父親は、ちゃんと娘の身を案じて駆けつけてきたのだ。



「でも私、悪いこといろいろしちゃったから……」
 ミファはうつむく。
 その白い髪で顔が隠れていた。



「オレの責任にしてしまえば良い。っていうか、すでにオレの責任になりかけてるしな。どうやらオレは公爵令嬢を薬漬けにして、暴動を起こした大悪党――《帝国の劫火》らしいから」



「いいの?」



「ああ。世話になったお礼だ。ここで、『パパ助けてー』とか、叫んだら、よりいっそう、オレが悪人っぽく見えるんじゃないか?」



「パパ。助けてーッ」
 ミファは遠慮なくそう叫んだ。



 馬群の先頭にいるのがミファの父親なのだろう。遠目で良くわからないが、恰幅の良い人だとはわかった。その顔が赤くなったり、青くなったりしている。



「オレのスネを蹴り上げて、父親のもとに行け。そのあいだに、オレたちは転移石で逃げるから」



「ありがとう。短い付き合いだったけど。楽しかったわ」



 そう言い残すと、ミファはケネスの脛を思いきり蹴り上げて、父親のほうに駆けていった。



(痛てェ)
 容赦ないキックだった。少しは遠慮しろよな――と思うが、文句を言っている暇はない。ケネスの手中から逃れたミファは、父親のもとへと駆けてゆく。今が好機と言わんばかりに、ケネスたちに魔法が降りそそいできた。



「バートリーさん。フーリンさん!」
「はいッ!」
「わかっております」
 私のことも忘れるでない――とヴィルザが言う。



 3人と1人の魔神は、同時に転移石に触れた。転移石にカラダが吸い込まれる。視界が歪む一瞬――ミファが振り向き、ケネスにウィンクを送っているのが見えた。

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