《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

第4-23話「ケネスVSソルト Ⅱ」

 バートリーとフーリンは、ミファの馬車に乗って都市を出ることになった。一騎打ちを受けたゆえに、都市で起こっている暴動は治めることになった。



 ケネスはミファの馬車には乗らずに、ソルトの馬車に同乗することになった。罠の可能性も考えないでもなかったけれど、まずないだろうと踏んだ。それよりもケネスは、ソルト・ドラグニルという男と話をしてみたいと思ったのだ。



 故郷を滅ぼした、敵だ。
 心の底から憎むべき相手だ。
 その相手のことを、知っておきたいと思ったのだ。



 キャリッジ。
 荷車に天幕をつけたような粗末なものではなく、ちゃんと木の箱となった乗り物だった。それを馬車が引く。キャリッジの中にはソルトとケネスの2人で乗った。



 対座する。



 ソルトは怯えるような、それでいて、品定めするような目でケネスのことを見ていた。逆に、ケネスもソルトのことを見つめた。都市は40前後と思われる。身だしなみには無頓着なところがあるが、何か風格のようなものがある。こうして近くにいると、ソルトのカラダからは、焼けた鉄のような臭いが鼻をつく。



「帝国軍人ではないそうだな」
 と、ソルトのほうから切り出してきた。



「ああ」
 相手は年上だが、故郷を焼き滅ぼされた恨みがあり、トテモ敬意を払うつもりにはならなかった。
 両親の、カタキなのだ。



「君の実力は、この目でたしかに見ている。怖ろしいチカラだ。それで軍人にならないというのは不思議だ。冒険者だとは聞いているが」



「今は、魔術学院に通ってる」



 ふむ、とソルトはうなずく。
 馬車がガタンと大きく揺れる。



「君の行動は、どうもチグハグだな。シュネイの村で出会ってから、君についていくらか調べてみたのだ。が、チッとも情報が浮かんでこない。それも妙なことだ。圧倒的な魔力を有しながら、何も情報がないとは」



「……」



「それに、Fランク冒険者だと聞いている。冒険者をやっているにせよ、君ほどの実力があれば、Aランク、いや、Sランクであっても不思議ではないのだがな」



「……」



「何か隠している。そんな気がしてならないのだがな。どうかね。オレのこの予想は」



「気のせいだろう」
 と、ケネスは一蹴した。



 ヴィルザのことは、ゼッタイ的な秘密だ。世界が恐怖する魔神の存在を知られたら、世界が協力してケネスを抹殺対象にするかもしれないのだ。



「何か隠していることがあれば、教えてもらいたかったな。どうせこの後、どちらかは死ぬ運命にあるのだから」



 馬車が止まった。
 そこは、都市から外に出た大平原の真っただ中だった。

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