《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第4-14話「ドラグニル家の宝」

「やめろぉぉッ!」
 ソルト・ドラグニルはあわてて上体を起こした。
 悪夢にうなされていたのだ。



 寝室。天蓋つきのベッド。ソルトを挟み込むようにして、愛妾が2人眠っている。ひとりは、ミファ・フリードリッヒの母親だ。公爵の妻に手を出すのは、さすがにヤバいと思いながらも、結局、そういう間柄になってしまった。



 2人はフトンから顔だけ出して、心配と眠気のどっちつかずみたいな顔で、
「大丈夫ですか?」
 と、尋ねてきた。



「いや。なんでもないよ。ゴメンゴメン」
 と、笑って見せる。



 女たちはニコリと愛想よく微笑むと、ふたたび眠りこんだようだ。



 かぶっていたフトンを剥ぐ。汗に濡れたベッドのなかで、女たちの乳房がやわらかく潰れていた。冷え冷えとした心は、肉欲をもってしても温めることは出来なさそうだった。女たちを押しのけて、ベッドから這い出た。ソルト自信も裸で、厭な汗がへばりついていて不快だった。



(ケネス・カートルド……)
 見ていた悪夢の正体だ。



 シュネイの村を襲撃した際のことが思い出される。バートリーの軍をアッサリと打ち破ったのは良いが、その後、あの悪魔に出会ったのだ。



(忘れられねェ)



 たった1人で、王国騎士を1人2人と屠っていった。それも魔法陣から生やした腕で、人間をオモチャでも扱うように千切っては投げていった。あのオゾマシイ腕を思い出すだけでも、食欲が奪われる。あの圧倒的なチカラを前にして、ソルトは撤退せざるをえなかったのだ。



 しかも、あの男が――。
 この都市ココルに来ているのだと言う。



 まさか……とは思った。が、王国治安維持騎士部隊が襲われたということだから、間違いはない。どこかに潜伏しているはずだ。全力で探させているのだが、いまだに見つからない。誰か協力者がいるのかもしれない。



「ふーっ。落ちつけよ。オレ」
 ソルトは自分に言い聞かせた。



 ソルトだって並の騎士ではない。ケリュアル王国では、3大剣帝と言われるまでにもなった。魔法のほうはいまいちだが、剣技には自信がある。そしてなにより、ソルトには特別なスキルがある。



(カヌスさま……)



 ソルトは部屋の壁にかけられた、ネックレスに祈りをささげる。魔術師たちがマディシャンを崇めるように、戦人たちは戦神であるカヌスを崇める者が多い。カヌスを崇めるクサバ教というのもある。ソルトはクサバ教の信者ではないが、亡き祖父はその宗派に大きく携わっていた。



 理由がある。



 ソルトの家――ドラグニル家には、だいだい受け継がれていくネックレスがある。それが今、ソルトの目の前に掲げられているものだ。夜の闇のなかでも、真紅に輝く謎の物質が埋め込まれている。ドラゴン――戦神カヌスのウロコとも言われている。つまりは《神の遺物アーティファクト》のひとつだ。



 触れれば自分をなくす代わりに、絶大なチカラを手に入れることが出来ると聞いている。



(これがあれば)
 ケネス・カートルドにも勝てるはずだ。



 しかし、容易に扱うことはできない。これは代々ドラグニルの男が、命を賭けて守り通さなければならないという決まりがある。万が一、これが壊れるようなことがあれば、怖ろしい災厄が訪れるとまで言われている。そんな与太話を信じているわけではないが、絶大な魔力が込められていることだけはわかる。



 ネックレスの光を見つめていると、ようやく悪夢の冷や汗が引いていった。

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