《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第4-13話「真夜中の密談 Ⅱ」

「ねぇ。薬。返してよ」



 ミファの話を聞いて、ケネスは煙草を吸っていた。ミファは薬の影響なのか、まだカラダをがたがたと震わせていた。甘えるようにケネスにしなだれかかってくる。毒にまみれた公爵令嬢の肉体は、ビックリするほど冷たくて、ホントウにスケルトンを抱いているような心地だった。



「親子ってのは、難しいもんだなぁ」
 と、しみじみ呟いた。



「ケネスのお父さんとお母さんは、どんな人?
「さあ」
「孤児なの?」
「いや」



 2年前に冒険者になると実家を跳び出した。久しぶりに故郷に戻ったら、会う前にソルトの部隊に殺されることになった。そのことを話した。



「そう。殺されてるのね。ごめんなさい」



「生きてるなら、仲良くできると思うが、そういうわけにもいかないんだな」



「私のところは、特別なのよ。父がエリート志向だから。母は淫乱だし」



「娘は、ジャンキーだしな」
 冗談でそう言うと、ミファは、ふふ、と情けなさそうに笑った。



「ジャンキーなんだから。薬、返しなさいって
「いや。返せない」



「話聞いたでしょ。私の命はどうせ、そんなに長く持たなくても良いの。せいぜい暴れて散ってやるんだから。それがないと、私、魔法を使えないし、それに、カラダの震えが止まらないの」



「禁断症状ってヤツか。最終的には、スラム街にいた連中みたいになるんだろ」



 何も考えられず、ボーッと地面に座り込んでいた連中を思い出す。ミファが、ああなってしまうと想像すると、胸が痛い。



「いいのよ。別に」
 ミファは沈んだ声でそう呟いた。



「生きようとは思わないのか?」



「別に、生きる意味なんて、見いだせないもの。ただ、私は6日後の反乱のためだけに生きてきたのよ。薬を売りさばいて、資金を手に入れて、傭兵を雇った。ソルトみたいな女たらしを良く思わない人だっているし、協力的な人もいる」



「ソルトを殺すのは、オレにとっても大事な目的だが、問題はその後のことだ。オレは生きてここから出て行く。帝国に戻るつもりだ」



 投げやりになって、王国までフラッとやって来たけれど、帝国にはケネスを縛り付けるものがいくつかある。魔術学院だって、まだあと2年ほど残している。ロレンスとも、良い友達になれた。それになにより、ガルシア長官との約束がある。魔術学院を卒業しだい、魔術部隊に入隊してくれと言われている。副官になってくれとまで言われた。



「私を置いて、帝国に戻るんでしょ。いいじゃない。私の後のことなんて――さ」



「一緒に来ないか?」
「え?」
「だから、オレと一緒に帝国に――さ」



「バカ言わないでよ。私はケリュアル王国の公爵よ。交渉の材料に使われるだけよ。最悪、酷い扱いを受けるかもしれないのに」



「オレは、帝国のオエライサンに顔がきくんだ。話せば何とかなるかもしれない」



「変な話ね。敵国の公爵令嬢を連れて行こうなんて」



「世話になったんだ。放ってはおけないしな」



「物好きなのね。こんなジャンキーに手を差し伸べようなんて」



「かもしれない」



 厭とも応ともミファは言わなかった。けれど、ミファの目には生気が宿っていたし、もう薬をくれとも言わなかった。



「ケネス。あなた、女たらしでしょう」
「まさか。女性と付き合ったこともないのに」



 ふふ、とミファは小さく笑った。



「ウソばっかり。はじめて会ったときからずっと、女の臭いがするもの。その右手から特に強くね」



 ケネスは右手を見つめた。そこにはヴィルザの魔力が注ぎ込まれている。以前にもロールに同じようなことを言われたな、と思い出した。



「ねぇ……。こうやってしばらく、傍にいてちょうだい。そうすれば、薬を我慢できるから」



 割れ物に触れるようにして、ケネスはミファの肩を抱き寄せた。まさか、王国の公爵令嬢とこんな間柄になるとは思わなかった。ミファのことを抱き寄せているあいだ、ずっとどこからか、あの紅色の双眸が燃えるように見ている気がして落ち着かなかった。



反乱クーデターか……」
 バートリーを救い出すには、その混乱に乗じるのが最善手だ。

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