《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

第4-8話「スラム街」

「こっちよ」



 ミファに誘われて、ケネスは足を進めた。ストリートから外れて、裏路地を進んで行くと、瀟洒な町並みから一変することになる。



 足元は石畳ではなくなり、薄汚れた建物が多く建ち並んでいた。酷いものでは、壁に穴が開いているものまである。裏路地にはいくつもの紐が渡されており、粗末な衣装が干されていた。その衣装の下をミファとケネスは歩いていた。



「とても公爵令嬢が歩くような場所ではないと思うが。ここはスラム街か何かか?」



「見ての通り。スラム街よ」



 飢えたオオカミのような男たちが、床に座り込んでいる。ヨダレを垂らして、目がウツロだった。ミファは平然とまたいで行くので、ケネスもそれにならった。ウツロな男たちは何も反応がなかった。


「こいつらは?」



「魔力覚醒剤のジャンキーたちよ。やり過ぎた末路はこうなる。何も考えられなくなって、死人も同然になる」



「こんなになってまで、やりたいものなのか。薬って」



「一度、手を出したら、やめられないのよ」
「最初から、そんなものに手を出さなきゃ良いだろ」



 言うと、ミファは軽くケネスを睨んだ。



「強い人には、わからないのよ。自分が魔法もロクに使えない弱者だから、手っ取り早く強くなりたい――って思うんでしょ。誰でも最強になれる、魔法のような薬なんだから。効果は一時的だけどね」



「オレだって、弱い」
「あのソルト・ドラグニルを追い返したくせに?」



「それは、偶然だ。オレの実力なんかじゃなかった」



 また、ヴィルザのおかげだ。
 なんでもかんでも、ヴィルザが強いだけなのだ。周囲は、それをケネスの実力だと勘違いするのだが、ケネスにとってそれは屈辱的なものに、なりはじめていた。ケネスは、本来の自分を見てもらいたいのだ。



「ふぅん」
 と、ミファは信じてないように言ってから、身を翻した。ケネスと向き合うカッコウになる。ミファは睨みつけるような上目使いを送ってきた。悲劇に吹きとがれたような目に、ケネスはたじろいだ。



「だけどケネスは、私の目の前で魔法を使ったじゃない。王国治安維持騎士部隊から、私を助けてくれた。あれも偶然?」



「あれは……」
 あれは本来のケネスの実力と言えるかもしれない。ヴィルザに乗っ取られそうになって、ヴィルザの魔力のほんの一部が右手に付与されている。とはいえ、これはケネス自身の魔力として自在にあつかうことが出来る。



「謙遜はときとして厭味になるわ。あんたは強い。私から見れば、充分にね」



「そう……か。ありがとう」



 ヴィルザではなく、ケネス自身を強いと言ってくれた。ケネスにとっては、はじめてのことだった。



「ほら、さっさと行くわよ。迷子になっても知らないから」
 ミファは照れ隠しのようにそう言った。

「《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く