《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。
第3-19話「シュネイ戦線 Ⅴ」
「御無事ですか?」
本陣に逃げ帰り、フーがそうそう尋ねてきた。バートリーはたいしたケガをしていなかったので、フーのその言葉が皮肉にも聞こえた。が、他意のない言葉であることは、ちゃんとわかっていた。
「私は無事です。ただ……」
率いていた《凍結隊》に大きな被害があった。2000人引き連れて行き、300人を失った。あの荒れ狂うドラゴンからは、逃げてくるだけでセイイッパイだった。他にもケガ人が多くいる。連れてきた癒術師たちに、ケガ人は回復してもらっている。
「敵の罠にはまって、300しか損害を出さなかったと考えれば、良かったと言えるかもしれませんわ」
罠――だった。
しかし、納得がいかない。
あれはもはや戦略などではない。戦術とさえ言えない。ただの純粋なチカラだ。何者さえも寄せ付けない、圧倒的なドラゴンのチカラ。戦神カヌスの再来と言われるのもうなずける。
「ソルト・ドラグニルには、たった1人で戦況を動かせるほどのチカラがあります。あれを止めるのは難しいかもしれません」
出鼻をくじかれた。
バートリーが率いて言った《凍結隊》が逃げ帰ってきたのも、部隊全体の士気を大きく下げることになった。
「たしかに圧倒的なチカラでした。ですが、無敵ではありませんわ。だからこそ、わざわざ遊撃隊にまぎれるようなことをしていたのでしょうし」
「そう――ですね」
弱気になってはいけない。
ここが、帝国と王国との開戦の火ぶたとなる。この戦いが、後の戦の士気に大きく関わってくるはずだ。
なにより。
ここで負けたら、ケネスの故郷が敵の手に穢されることになる。ケネスのためにも、帝国のためにも、シュネイの村をやるわけにはいかないのだ。
『こっちは全軍5000で、しかも2000が寄せ集めの歩兵だから。マトモに衝突すりゃ負ける。だけど、2000人ぐらいなら、オレひとりでどうにかなっちまうんだよな。これが』
ソルト・ドラグニルのセリフだ。
何度もハンスウして考える。
今の状況を冷静に分析してみる。
騎馬隊500だけが、森に入っていると聞いて、バートリーは2000を連れ出すことになった。500なら、わざわざ全軍を連れ出すこともないだと判断した。全軍1万を動かすのは手間もかかる。バートリーの判断は間違えていなかったはずだ。
それを先読みしていたソルトが待ち構えていた。そして返り討ちにあったのだ。
「2000ないし3000ほどの部隊なら1人でどうにかなる。だから、わざわざ少数の500で先行して、攻撃を誘ってきた?」
「そうですわね」
と、フーがうなずく。
「マトモに衝突すりゃ負ける――とは、どういうことでしょうか?」
ソルトは、よくしゃべる口でそう言っていた。
「こちらは全軍1万。向こうは5000。しかも2000は雑兵ですから、実質死に兵のようなもの。マトモな戦力は3000。数の上では、たしかにこちらのほうが有利ですわね」
「ええ」
だが――。
ドラゴンに変身する、ソルトの能力はこの目で見て、肌で感じてきた。あれほどの能力なら、相手が1万だろうが、10万だろうがなぎ払えるような気がする。
それは、出来ないということなのだろう。
「あの能力。強すぎるがゆえに、何かリスクがあるのではありませんの?」
「かもしれません」
数で圧せば、勝機はあるかもしれない。
ガルシアに援軍の要請を頼んでみよう。
本陣に逃げ帰り、フーがそうそう尋ねてきた。バートリーはたいしたケガをしていなかったので、フーのその言葉が皮肉にも聞こえた。が、他意のない言葉であることは、ちゃんとわかっていた。
「私は無事です。ただ……」
率いていた《凍結隊》に大きな被害があった。2000人引き連れて行き、300人を失った。あの荒れ狂うドラゴンからは、逃げてくるだけでセイイッパイだった。他にもケガ人が多くいる。連れてきた癒術師たちに、ケガ人は回復してもらっている。
「敵の罠にはまって、300しか損害を出さなかったと考えれば、良かったと言えるかもしれませんわ」
罠――だった。
しかし、納得がいかない。
あれはもはや戦略などではない。戦術とさえ言えない。ただの純粋なチカラだ。何者さえも寄せ付けない、圧倒的なドラゴンのチカラ。戦神カヌスの再来と言われるのもうなずける。
「ソルト・ドラグニルには、たった1人で戦況を動かせるほどのチカラがあります。あれを止めるのは難しいかもしれません」
出鼻をくじかれた。
バートリーが率いて言った《凍結隊》が逃げ帰ってきたのも、部隊全体の士気を大きく下げることになった。
「たしかに圧倒的なチカラでした。ですが、無敵ではありませんわ。だからこそ、わざわざ遊撃隊にまぎれるようなことをしていたのでしょうし」
「そう――ですね」
弱気になってはいけない。
ここが、帝国と王国との開戦の火ぶたとなる。この戦いが、後の戦の士気に大きく関わってくるはずだ。
なにより。
ここで負けたら、ケネスの故郷が敵の手に穢されることになる。ケネスのためにも、帝国のためにも、シュネイの村をやるわけにはいかないのだ。
『こっちは全軍5000で、しかも2000が寄せ集めの歩兵だから。マトモに衝突すりゃ負ける。だけど、2000人ぐらいなら、オレひとりでどうにかなっちまうんだよな。これが』
ソルト・ドラグニルのセリフだ。
何度もハンスウして考える。
今の状況を冷静に分析してみる。
騎馬隊500だけが、森に入っていると聞いて、バートリーは2000を連れ出すことになった。500なら、わざわざ全軍を連れ出すこともないだと判断した。全軍1万を動かすのは手間もかかる。バートリーの判断は間違えていなかったはずだ。
それを先読みしていたソルトが待ち構えていた。そして返り討ちにあったのだ。
「2000ないし3000ほどの部隊なら1人でどうにかなる。だから、わざわざ少数の500で先行して、攻撃を誘ってきた?」
「そうですわね」
と、フーがうなずく。
「マトモに衝突すりゃ負ける――とは、どういうことでしょうか?」
ソルトは、よくしゃべる口でそう言っていた。
「こちらは全軍1万。向こうは5000。しかも2000は雑兵ですから、実質死に兵のようなもの。マトモな戦力は3000。数の上では、たしかにこちらのほうが有利ですわね」
「ええ」
だが――。
ドラゴンに変身する、ソルトの能力はこの目で見て、肌で感じてきた。あれほどの能力なら、相手が1万だろうが、10万だろうがなぎ払えるような気がする。
それは、出来ないということなのだろう。
「あの能力。強すぎるがゆえに、何かリスクがあるのではありませんの?」
「かもしれません」
数で圧せば、勝機はあるかもしれない。
ガルシアに援軍の要請を頼んでみよう。
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