《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第3-18話「シュネイ戦線 Ⅳ」

 馬から降りて、敵が組み立てている野営地に接近した。森のなかに、たしかにテントがいくつか張られているのが見て取れた。一気にたたみかけることにした。



「うぉぉぉぉッ」



 鬨の声とともに、バートリーの《凍結隊》は斬りこんだ。テントを斬っては、がむしゃらに暴れまわった。



 しかし――。
 数は500と聞いていたが、思ったより数が少ない。



「騎馬隊500が先行してきたとあっちゃァ、そりゃ叩きに来るわなぁ。うん。ふつうは叩きにくるわ」




 野営地に突っ込んだバートリーたちを包囲するようにして、茂みの中から人が出てきた。王国軍のヘルムをつけていた。伏兵だ。



 その先頭に出てきたのは、真っ赤な髪を荒々しくさせた男だった。40ぐらいだろうか。口周りには、そり残した無精ヒゲが跳び出ている。汚らしい風体だが、全身から闘気が発せられているのを感じた。そしてその顔には、バートリーには見覚えがあった。



「まさか、あなたがこちらにいるとは驚きましたよ。ソルト・ドラグニル」



 王国軍総隊長。
 総隊長なのだから、本隊のほうにいるのが普通だ。まさか騎馬隊のほうにいるとは、思ってもいなかった。



「だろ。ビックリしたろ? 意表を突いてやろうと思ってな。まさか、遊撃隊のほうにオレがいるなんざ、思わねェだろ。けどよ。逆にこっちもビックリされちまったぜ。まさか、《血の伯爵》じきじきのお出ましとはねー」



「私たちを包囲したつもりかもしれませんが、たったの500ではお話になりませんよ」



「わーってる。そっちは2000だろ。本体の数を割かなかったのは、たったの500だと思ったからだ」



「ええ」



 選りすぐりの2000だ。この500のなかに、ソルト・ドラグニルがいるのは計算外だったが、それでも数の上ではバートリーのほうが有利だ。



「まあ、本隊からもう少し割いていりゃ、オレのほうも本体を動かして急襲をかけてたんだがな。それを見越して2000だけ引きつれて来たってのは、まぁ、悪くない。斥候もちゃんととばして、こっちの情報をちゃんと仕入れてるみたいだし。オレがいるところまでは、見分けられなかったみてェだけど、それを見分けることが出来てれば、全軍連れて来てたろーになぁ」



「よくしゃべる人ですね」



「そう。オレはおしゃべりが好きなのよ。特に、キレイな女とのおしゃべりはね」



 ソルトはそう言うと、逆立った赤髪をかきあげていた。カッコウをつけているつもりなのかもしれない。



「無精ヒゲぐらい、ちゃんと剃ってもらわないと、相手にはできませんね」



「これは手厳しい。まぁ、良いや。このままドンパチやり合っても良いんだけど、その前に確認しておくわ」



「なんです?」



「大人しく降参して、捕虜になってくんねーかな。キレイな女は、殺したかねェんだわ」



「本気で言っているのですか?」



 バートリーの部隊2000を包囲してるのは、たったの500だ。それとも、まだどこかに伏兵がいるのだろうか? 否。各地にとばしている斥候からは、王国軍が動いているという情報は入ってきていない。



 なら――。



「ハッタリですね」



「こっちは全軍5000で、しかも2000が寄せ集めの歩兵だから。マトモに衝突すりゃ負ける。だけど、2000人ぐらいなら、オレひとりでどうにかなっちまうんだよな。これが」



「水系最上位魔法。《血の凍結フリーズ・オブ・ブラッド》」



 いっきに片を付けようと思った。ここで敵の総隊長の――しかも、王国3大剣帝のひとりの首を獲ることができれば、この局所的な戦況だけでなく、もっと大きな盤面で帝国が有利に傾く。



 ソルトの周りにいた王国兵が何人か凍死していた。が、ソルトは平然とその場に立っていた。



「《血の伯爵》って言えば、魔術師だろ。悪りぃけど、オレとの相性は最悪だぜ。オレは自分で言うのもなんだが、戦神カヌスの再来って言われてんだ。この肉体はよ。ドラゴンの恩恵を受けてんのよ。そこいらの魔法なんか、弾き返しちまうのよ。女にもてねェから、あんまりこのスキルは使いたくねェんだけどな」



 ソルトのカラダが、どんどん巨大化してゆき、周囲の木々をなぎ倒していった。全身がふくらみ、黒光りする鎧に包まれてゆく。その姿はまさしく、黒龍。長く伸びた首の先には、紅色にひかる双眸がバートリーたちを見下ろしていた。獰猛なキバの奥からは、炎の息吹が吐きだされた。



 森が、焼けていく。



(ハッタリなんかじゃない……ッ)
 これが、戦神カヌスの再来と言われた男のスキルなのだ。



「て、撤退します。全軍撤退!」
 と、バートリーはキビスを返すはめになった。

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