《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

第3-10話「バートリーとの会話」

「すみません。オレの友人が」
 と、ケネスは謝っておいた。



 ロールとロビンは別の天幕で眠っている。ケネスのいる天幕には、バートリーと二人きりだった。付き人もいない。バートリーが人払いをしたのだ。



 バートリーの寝室として使っている天幕のようで、木箱をつなげてつくったベッドが置かれていた。バートリーはそこに腰かけており、ケネスも別の木箱に腰かけていた。



「いえ。ケネスさまのご友人ということですから、丁重に扱わせていただきました」



「友人というか……久しぶりに会った幼馴染というか……」



 それほど仲良くはないのだ。



「そうですね。彼はケネスさまのことを軽んじているようでした。それはもちろん、ケネスさまが実力を隠しになっているからでしょうけれど」



「はぁ」
 と、曖昧に応じた。



 実力を隠している――というふうに見られているようだ。実際には、すこし違う。ウソを吐いているような感覚になって、マトモに目を合わせられなかった。天幕の天井で、カンテラの炎が小さく揺れていた。



「心配にはおよびません。ケネスさまが実力を御隠しになっている理由は、ちゃんと把握しております」



「え!」
 伏せていた面を、あわててあげた。



「ケネスさまの魔法は、あの王国6大魔術師と言われた、ゲヘナ・デリュリアスを圧倒するほどでした。それだけのチカラがあると知れ渡ると、王国軍からも狙われるでしょうし、帝国内でも引っ張りダコになるからでしょう」



「あ、ええ。まぁ」
 ヴィルザのことを気取られたのかと思った。どうやら、杞憂だったらしい。



「御心配にはおよびません。ケネスさまの実力は、私とガルシアさま。それから、あの帝都での戦いを目撃していた一部の物しか知りません。もちろん公言するつもりもありません」



「それは、助かります」



「3年後……いえ。もう2年後でしたか。ガルシア長官との約束は」



「はい。ガルシアさんは?」



「ガルシア長官は帝都を空けるわけにはいきませんので。ここには、私しかおりません。申し訳ございません」



「いや。いいです」



 別に会いたいわけでもない。
 訊いてみただけだ。



「2年後。ケネスさまが帝国魔術部隊に加わってくださると聞いております。もしかすると、それによって、王国との戦況がいっきに傾くことになるかもしれません。実際、ゲヘナ・デリュリアスを削っただけでも、かなりの戦果です」



 どうするんだよ――と、ケネスはチラリと横にいるヴィルザを見た。ヴィルザの能力が、ケネスのものだと完全に誤解されている。3年間、魔術学院で努力すると決めていた。だが、あと2年でガルシアやバートリーの求めている実力まで成長できるかは、わからない。



「戦争。今度は長くなりそうですか」



「はい。王国軍のほうから先に停戦を破ったのです。しかも帝都襲撃という大胆なやり方で、近隣諸国は帝国に好意的です。これを機にいっきに王国を叩くことになるかと思います」



「ここが戦場に?」



 それがケネスの懸念だった。バートリーほどの人が来るということは、この周辺で戦があると見て間違いないのだろう。



 ここはケネスの故郷だ。父がいる。母がいる。懐かしい土地がある。ロールがいて。まぁ、あいつは居ても居なくても良いけど、ロビンだっているのだ。大切なものが、いくつもある。



「戦場になると思います。国境を越えて、最初に王国軍が到着する村がここでしょうから、ここを仮拠点として制圧される怖れがあります。しかし、そう心配することもありませんね。ケネスさまがいらっしゃるのですから」



「あ……ええ。まぁ」



 ヴィルザがいる。
 イザというときには、またチカラを借りる必要がある。最近、ヴィルザのチカラを借りることが少なくなっていた。意識しているからというのもあるが、危機的状況に陥ることが少なくなっているから――というのもある。



「ひとつ、お願いがあるのですが」



 バートリーは細い薬指で、肩メガネを縁をこすりながら、気まずそうにそう切り出してきた。



「はい?」



「《通話》つなげていただいても、よろしいでしょうか?」



《通話》をつなげるのには、魔力同士をブツける必要がある。いわば魔力による交合だ。だからかもしれないが、聞き出すのに羞恥心がある。魔法を使える男たちは、美しい女たちと《通話》をつなげようと、いつもどこかで苦心しているぐらいだ。



「いいですよ」



 ケネスも《通話》ぐらいの基礎魔法は使えるようには、なっていた。けれど、ケネスの魔法でつなげると、その魔力の小ささに疑問を覚えられるだろうと判断した。ヴィルザにつなげてもらうことにした。



 魔法陣を展開して、ヴィルザとバートリーの魔法がかち合った。



「はぁ……はぁ……」



 魔力をつなぎ終えたとき、バートリーは肩で呼吸して、胸元をおさえつけていた。



「大丈夫ですか?」



「はい。ケネスさまの魔力と、私の魔力。たしかに、つながせていただきました。ケネスさまの魔力……浴びるだけで……これほどまでに……」



 バートリーはベッドの上にコテンと転げてしまった。



「だ、大丈夫ですか!」



 バートリーを気絶させたとあれば、またしても不審者扱いされかねない。あわてて抱き起した。



「だ、大丈夫です。精神刺激薬がありますので」



 バートリーはそう言うと、小瓶に入った青い薬を取り出して、いっきに飲み干していた。バートリーの白い頬を、青い液体がつたいこぼれていた。精神刺激薬を飲んだことで、気を取り戻したようだった。



「すみません。強くやり過ぎたみたいで」



「いえ。構いません。しかし、それほどまでとは思いませんでした。その魔力は、ガルシア魔法長官以上です。もしかすると、8大神と言われる者たちと同等の魔力があるのかもしれませんね。まるで暴風に八つ裂きにされるかのようでした」



 薬を飲んでも、バートリーの呼吸は荒く、頬を紅潮させていた。



 謝って、それから二言三言かわして、ケネスも自分のために用意された天幕へと移動した。



「なにも、あそこまで強くすることないじゃないか」
 2人きりになって、ケネスはそう呟いた。



「最近、私に魔法を使わせてくれる機会が滅多になかったからな」
 ヴィルザは口先をとがらせて、そう言った。



 やがて睡魔がやってくる。


 ヴィルザはいつものように、いつまでも話しかけてくる。魔神と睡魔のブツかり合い。寝たり起こされたりして、波に揺られながら、いつの間にか眠ってる。

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