《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第3-8話「バートリーのお誘い」

「お久しぶりです。バートリーさん」
 ケネスに気づいた、バートリーの目は大きく見開かれた。そしてその場で、左足をついて、右手を胸元に当てた。帝国軍人特有の敬礼だった。



「お久しぶりです。ケネスさま。まさかこのような場所で、お会いできるとは思ってもおりませんでした」



 ロールやロビンをはじめに、帝国騎士たちも、何が起きたのかわからない――といった顔をしていた。



「よしてください。頭を下げられるようなことは、別に何も……」



「ケネスさまには、一度、ちゃんとお礼を言おうと思っておりました。爵位授与のさいにも、逃げ出してしまわれましたし」



「すみません」



「いえ。ケネスさまが謝ることはありません。それより、これはいったい、何事なのでしょうか?」



 帝国騎士たちに囲まれているケネスを、バートリーは胡乱な表情で見ていた。



「実は……」



 ここの帝国騎士たちが、ロールから税金を巻きあげようとしていた。そこにケネスが割って入った際に、ガルシアからもらったネックレスを見せた。そのネックレスをケネスが持っているのは妙だと言われて、疑いをかけられていたところだ。そのあらましを説明した。



「そうでしたか。ケネスさまのご活躍はたいそうなものでしたが、あまり知られておりませんからね」



 あなたたちはお下がりなさい――とバートリーが、帝国騎士たちを追い払ってくれた。帝国騎士たちは、いまだに状況がわからないといった顔をしていたが、メンドウなことになったと思ったのか、あわてたように立ち去って行った。



「あれは、帝国の常備軍の連中です。各地方に配備されている帝国騎士です。失礼なことをしたようで、申し訳ありません」
 と、バートリーは軽く頭を下げた。



 頭を下げると7・3になっている髪が崩れていたが、頭をあげるとまたもとに戻っていた。



「いえ。気にしないでください。オレのほうも迂闊だったかもしれません」



「ところで、ケネスさまは、こちらで何を?」



「今から、ダンジョン攻略に行こうかと思っていたところですが――」



 もう日が暮れはじめていた。
 午後にダンジョンに潜るのは、得策ではない。ケネスは《可視化》のスキルで夜目がきく。けれど、視界が悪くなるのは避けられない。



「今日は引き返すことになりそうです」



「そうですか。よろしければ、ケネスさま。私たちの野営地にいらっしゃいませんか? たいしたオモテナシは出来ませんが、夕食を振る舞うぐらいは出来ますし、寝具も用意できます」



「チョット待ってください。友達と相談してみますので」



「よろしければ、お友達も一緒に」
 と、バートリーは誘ってくれた。



 唖然とした顔のまま硬直しているロールとロビンに相談してみることにした。



「バートリーさんが、野営地に来ないか――って誘ってくれてるんだけど」



 そう相談をもちかけたところで、ようやく2人は我にかえったようだ。ロビンがグイッと顔を寄せてくる。



「あ、あれって、帝国魔法副長官のヘッケラン・バートリー伯爵じゃないのか?」
 小声で問い詰めてきた。




「そうだけど」
「知り合いなのかよ?」
「うん。まあ」



 どういう知り合いなのかは、説明がメンドウだった。



「帝国魔法副長官と知り合いになれるなんて、羨ましいなァ。おい」



「それでお誘いはどうするんだ。ロビン?」



「受けるに決まってるだろ。滅多にない機会じゃないか」



「オレは父さんと母さんに挨拶しておきたいんだけど……」



 日が暮れて来ているから、そろそろ両親とも農地から村に戻ってきているはずだ。村のほうに視線を投げた。だが、ここからでは村の姿は見えなかった。



「そんなの明日にしろよ。お前が断ったら、オレたちも行けないじゃないか」



「ダンジョンはどうする?」



「クエストの期限は今週いっぱいだ。また猶予はあるよ」



「ロビンはこう言ってるけど、ロールは?」



 ロールはふてくされたように、煙草をふかしていた。「好きにしろよ」ということだ。なんだか妙に不機嫌だ。



「じゃあ、決まりだ。今晩は野営地にお邪魔させてもらおうぜ」



 ヘッケラン・バートリーさん、よろしくお願いします――とさっそくロビンはバートリーに握手を求めていた。



 バートリーは無表情のまま、握手に応じていた。その青い瞳はしかし、ロビンには向いておらず、ジッとケネスのことを見つめていた。



 ここにも1人。
 魔神の魅力に憑かれている少女がいる。

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