《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第3-6話「待ち伏せ」

 教会の農園には、スフルの黄色い花が咲いていた。ベルジュラックの世界であまねく広がる根菜だ。栄養満点で育てやすいので、たいていの村では育てられている。そのスフル農園の周囲は木造柵で囲まれているのだが、ところどころ、柵が壊された痕跡があった。



「たぶん、ゴブリンか何かが忍び込んだ痕跡だろうぜ」
 と、ロールが言った。



「足跡とか残ってないかな?」
 と、ケネスは周囲を探ってみた。



 ゴブリンの足跡らしきものはあったが、数歩しか残っておらず、それを辿ってダンジョンへ行くのは難しそうだった。



「オレにいい考えがある」



 ロビンの作戦は、こうだ。
 堂々と見張りをしていれば、ゴブリンたちも近づいて来ない。だから身を隠して待ち構えておく。ゴブリンがやって来て農園を荒らすかもしれないが、それは仕方なく見過ごそうということだ。



「見過ごしてどうするんだ? ロビン」



「荒らしたら、巣に戻るだろ。後をつければ、ダンジョンの場所がわかる――って寸法だ」



「農園。荒らされちゃうことになるけど」



「ダンジョン制圧すりゃ、根本的な解決になるんだ。それぐらい我慢してもらおうぜ」
 とのことだ。



 はたして、そんなに上手くいくだろうか――と思いながらも、その作戦に乗っかることにした。大きく咲いたスフルの農園に身を隠していた。葉っぱの一枚一枚が大きいので、身を隠すにはチョウド良い。



 緑のなかに身を隠していると、ロールが「よぉ」と肩を小突いてきた。煙草を吸っていたので、あわてて取りあげた。



「吸ってたら、隠れれないだろ」
「そりゃそうだな」
 と、煙草をその場に捨てていた。



「そっちの見張りは良いのか?」



「ロビンがやってるから問題ねェよ。それより、訊きたいことあんだけどさ」



「なに?」



「お前、彼女とかいんの?」
 ロールは照れ臭そうに、目をそらしながら尋ねてきた。



「いや。いないけど……。なんでそんなことを、訊くんだ?」



「なんかずいぶんと、女性にたいして強くなったじゃねェか。前まで、私が近くにいるだけで、顔が赤くなってたのにさ」



「前までって、それはもう2年以上も前のことだろ」



「それで、気になっただけ」
 と、ロールは首の白い肉を、人差し指でポリポリと気だるげにかいていた。ふんわりとした亜麻色の髪からは、龍の葉の焦げた臭いがしていた。



「彼女はいないけど、付き合いの長い女性はいるけどな」



「それって彼女なんじゃねェのかよ」
 なぜか恨みがましい目で見られた。



「いや。そういうのじゃないんだ。カワイイんだけど、歳を取ってて、オレの師匠的な存在になるんだけど、取扱いには注意っていうか……」



 ケネスの感想を聞いて、ヴィルザは複雑な表情をしていた。



「なんだ。要するに、お婆ちゃんか」
「まあ」
 人間の年齢で考えるなら、お婆ちゃん、ではある。



「熟女好きなのか?」
「ち、違うって、そういうのじゃないんだけど」



「ふうん」
 と、ロールは満足そうな表情をしていた。



 どうして、彼女の有無を尋ねてきたのだろうか。もしかしてオレに気があるんだろうか――とチラリとは考えたが、まさかそれで、オレに気があるのだと断定できるほど、自信過剰ではない。ただの好奇心で尋ねてきたのだろうと合点した。



「オレも、訊きたいことがあるんだけど。ロール?」



「なんだよ」



「オレが帝都に行くとき、ロールも一緒に連れて行って欲しかったのか?」



 尋ねると、ロールは下唇を噛みしめて、眉間にシワを寄せていた。泣きはじめる予感があった。気のせいだった。ロールは大きく微笑んだ。



「ンなわけねェだろ。ケネスと一緒に村を出てたら、いまごろ野垂れ死んでるよ」



「でも、さっきは……」
 一緒に連れて行って欲しかったと言っていた。それは決して、冗談の響きではなかったと思う。



「来たぜ」
 ロールはそう言って、鋭い目つきをしていた。その視線の先には、ゴブリンらしき影があった。

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