《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

第2-21話「ケネスvsロレンス」

 消灯時間になると、寮内の明かりはすべて消されることになる。見回りをしている寮監の先生をかいくぐって、屋上へのぼった。



 内部は複雑な造りになっているが、外観はいたって単純な石造りの建物だ。屋上もただの平らな場所だった。どうやら先に、ロレンスが来ていたようだ。



「へぇ。約束どおりやって来たのか。逃げなかったことだけは認めてやる」



 夜の暗がりのなかで見ると、ロレンスの顔にはたしかにガルシアの面影があった。



「このオレをシめあげようって算段かと思ってたけど、ロレンス1人か」



「ケネスとか言ったな。ザコの相手は、オレひとりで充分なんだよ」



 ロレンスが魔法陣を展開した。
 咄嗟にケネスも同じく魔法陣を展開した。



 6つ浮かぶ月下にて、青白い二つの燐光が対峙することになった。



「ケネスよ。身の危険を感じた場合は、私が出るからな」
 と、ヴィルザが耳打ちしてきた。



「いや。必要ないよ。これはオレがケリをつけるから」



 子供のケンカに魔神が出る必要はない。なによりこれは、ケネスに対して売られたケンカだ。



「なにをブツブツ言ってやがる! 火系基礎魔法《火球ファイヤー・ボール》」



 火の球が飛来してくる。



「火系基礎魔法《火球ファイヤー・ボール》」 同じ魔法を撃ち返した。



 互いの火の球が、宙で衝突して火花を散らした。図書室でヴィルザに魔法のコツを教えてもらった。火の属性を得意していることを自覚して、《火球ファイヤー・ボール》を扱えるまでにはなったのだ。



 ロレンスは狼狽していた。



「クソ。お前も《火球ファイヤー・ボール》を使えたのか」



「練習したんでね」



 何度か撃ちあった。ロレンスも《火球ファイヤー・ボール》を扱うのがセイイッパイらしく、互いに火の球をブツけ合うぐらいしかできなかった。



「たしかに、まだまだ子供のケンカの域を出んなぁ。これじゃあ決着もつかんぞ」
 と、ヴィルザはつぶやいていた。



 たしかに帝都で繰り広げられた魔法の応酬や、ヴィルザや使うようなものに比べれば、ケネスの魔法なんか、たかが知れている。



 でも――。
 それでも、一歩ずつ。
 前に、進んでいるのだ。



 決着がつかないということはケネスにもわかっていたし、ロレンスも薄々気づいているようだった。もうこの辺りで終わりにしよう、と切り上げるしかない。が、互いに意地があって、なかなか言い出せない。



 魔法陣を発生させたまま、さらに5分ほどの対峙が続いた。



 トツゼンだった。



 ケネスとロレンスの《火球ファイヤー・ボール》の撃ちあいは、空から落ちてきた「火系A級基礎魔法《地獄の劫火ヘル・フレイム》」という声によって、邪魔されることになった。



 屋上いったいが黒い炎によって包まれた。さっきまでケネスとロレンスが撃ちあっていた魔法とは、格が違う。一瞬で、屋上は火炎の海原とかした。



「熱ちっ」
 黒い炎がケネスの黒い外套に燃え移っていた。



「水系基礎魔法《水盾ウォーター・シールド》」



 これはケネスの魔法ではない。ヴィルザがケネスの周囲に水の盾を張ってくれたのだ。ケネスの一帯だけ水が発生して、黒い炎をイッサイ寄せ付けなかった。



「どうやら、邪魔が入ったようでな。魔法で介入させてもらったぞ」



「ありがとうヴィルザ。あやうく焼けるところだった」



 熱ちッ、熱ちッ……とロレンスは黒い炎のなかを転げまわっていた。このままでは死んでしまうかもしれない。



「ヴィルザ。ロレンスも助けてやってくれないか?」



「なんじゃ。あれは死んでも構わんだろう」
「いやいや。殺したくないんだって」



 たしかに性格はよろしくないが、殺すほどの相手ではない。ヴィルザは別に厭な顔をすることもなく、屋上の火をすべてかき消すだけの水を発生させてくれた。まるで滝のようにゴーッと水が流れてゆく。ロレンスが流されていかないように、手でつかんでおいた。そのロレンスはどうやら気絶しているようだ。



「《地獄の劫火ヘル・フレイム》。勢いとしては、悪くない魔法だったな。それほど殺気はなかったが」



 ヴィルザがそう呟いて、空を見上げていた。
 ケネスもその視線につられて、上を見た。



 ゲッ、と胸裏で声をあげた。宙に浮かび、月光を浴びている女性の姿があった。それはロレンスに色気を付与した女性だった。



「ガ、ガルシア……帝国魔法長官……」
 ガルシアは青く光る双眸ひとみで、ジッとこちらを見下ろしていた。

「《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く