《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。
第2-15話「図書室」
図書室は、簡単に見つけることができた。本校舎の1階にあった。まだ講義を受けている生徒が多いからか、人の姿はマッタクなかった。立ち入って良いのか不安になるぐらいだ。
「すごいなぁ……」
と、その書籍の多さに、ケネスは圧倒された。
いたるところが、本、だった。天井は、はるか遠くにあって、この部屋がどれぐらい高いのかわからなかった。その壁沿いに木造の本棚があり、ビッシリと書籍が詰められている。ケネスの身長は、とてもじゃないが手が届かない。もはや背が高いとか低いといった問題ではない。人間の身長ではムリだ。
本棚にたてかけるようにして、ハシゴがあったが、それでも上の書籍にはぜんぜん届きそうにない。
「私が見繕ってやるから。そこで待っておれ」
ヴィルザはそう言うと、部屋の中を飛びまわっていた。ものの数秒で、ケネスのところに戻ってきた。
「何か良さそうな本あったか?」
「うむ。魔法陣を展開せよ」
「まさか、図書室ぶっ潰したりしないよな?」
「そんなことはせん。ここなら誰もいないから、私が魔法を使っても問題なかろう」
周囲を確認する。
たしかに誰もいない。
魔法陣を展開した。すると魔法陣から木の枝が生えてきた。木の枝が天井近くまで生えてゆき、いくつか本を取って戻ってきた。木の枝は魔法陣の中に戻っていった。
「この3冊といったところじゃな」
『世界魔法大全』
『基礎魔法学・Ⅰ』
『実践魔術師の心得』
という題名だった。
魔神が選んだにしては、ずいぶんと平凡な題名なので、なんだかすこしヒョウシヌケだった。しかし、可愛いタイトルにしては、かなりの分厚さだ。1冊だけでも岩のように重い。
「ケネスよ」
「ん?」
「基礎魔法がなんであるかは知っておるな?」
「自然にあるものだろ。火、水、土、風の4種類」
と、ケネスは指折りつぶやいた。
「その通り。その4種類が基本となるわけだが、自分の使いやすい属性というものがある。たとえば、ほれ……あの帝国魔法副長官の《血の伯爵》とかいう小娘がおったであろう」
「ああ。ヘッケラン・バートリーさんのことか」
あまり話したことはないが、顔を合わせたことはある。大人しそうな人だったという印象をおぼえている。
「あの小娘は氷の魔法を多用していたから、水の属性が合っていたのであろう。それに、ゲヘナ・デリュリアスは風系の魔法を使っておったであろう」
「そう言えば、そうだったかな」
ゲヘナのことは、正直、あまり思い出したくない。
殺してしまった後味の悪さがある。
「ケネスにも、何か得意な属性があるはずだ。まずはそれを見つけるところからじゃな」
「じゃあ、火かも」
「なぜ、そう思う?」
「最初に使えるようになったのが《灯》だからさ。これって明かりをつけるだけだけど、いちおう火系の基礎魔法だろ」
「ならば、魔法の感覚がつかめるまでは、ひたすら火の魔法を練習せよ。火の魔法については、そこの書籍に書かれておるはずだからな」
「ありがとう。勉強になった」
講義よりも、ヴィルザの説明のほうが役に立つような気がした。が、さすがにそれを口に出してしまうと、ヴィルザを調子に乗らせてしまううえに、先生たちにも失礼なので、やめておいた。
「ケネス」
ニタニタと笑って、ヴィルザは囁きかけてきた。
「なんだ?」
「私の見立てでは、ケネスには魔法の才がある。まぁ、ガンバってみれば良い。いずれは名のある帝国魔術師になるであろうよ。《血の伯爵》みたいな二つ名があると、カッコウ良いであろう」
本気で言っているのか、あるいはケネスの機嫌をとったのかはわからない。だが、その言葉はケネスをおおいに活気づかせた。
「すごいなぁ……」
と、その書籍の多さに、ケネスは圧倒された。
いたるところが、本、だった。天井は、はるか遠くにあって、この部屋がどれぐらい高いのかわからなかった。その壁沿いに木造の本棚があり、ビッシリと書籍が詰められている。ケネスの身長は、とてもじゃないが手が届かない。もはや背が高いとか低いといった問題ではない。人間の身長ではムリだ。
本棚にたてかけるようにして、ハシゴがあったが、それでも上の書籍にはぜんぜん届きそうにない。
「私が見繕ってやるから。そこで待っておれ」
ヴィルザはそう言うと、部屋の中を飛びまわっていた。ものの数秒で、ケネスのところに戻ってきた。
「何か良さそうな本あったか?」
「うむ。魔法陣を展開せよ」
「まさか、図書室ぶっ潰したりしないよな?」
「そんなことはせん。ここなら誰もいないから、私が魔法を使っても問題なかろう」
周囲を確認する。
たしかに誰もいない。
魔法陣を展開した。すると魔法陣から木の枝が生えてきた。木の枝が天井近くまで生えてゆき、いくつか本を取って戻ってきた。木の枝は魔法陣の中に戻っていった。
「この3冊といったところじゃな」
『世界魔法大全』
『基礎魔法学・Ⅰ』
『実践魔術師の心得』
という題名だった。
魔神が選んだにしては、ずいぶんと平凡な題名なので、なんだかすこしヒョウシヌケだった。しかし、可愛いタイトルにしては、かなりの分厚さだ。1冊だけでも岩のように重い。
「ケネスよ」
「ん?」
「基礎魔法がなんであるかは知っておるな?」
「自然にあるものだろ。火、水、土、風の4種類」
と、ケネスは指折りつぶやいた。
「その通り。その4種類が基本となるわけだが、自分の使いやすい属性というものがある。たとえば、ほれ……あの帝国魔法副長官の《血の伯爵》とかいう小娘がおったであろう」
「ああ。ヘッケラン・バートリーさんのことか」
あまり話したことはないが、顔を合わせたことはある。大人しそうな人だったという印象をおぼえている。
「あの小娘は氷の魔法を多用していたから、水の属性が合っていたのであろう。それに、ゲヘナ・デリュリアスは風系の魔法を使っておったであろう」
「そう言えば、そうだったかな」
ゲヘナのことは、正直、あまり思い出したくない。
殺してしまった後味の悪さがある。
「ケネスにも、何か得意な属性があるはずだ。まずはそれを見つけるところからじゃな」
「じゃあ、火かも」
「なぜ、そう思う?」
「最初に使えるようになったのが《灯》だからさ。これって明かりをつけるだけだけど、いちおう火系の基礎魔法だろ」
「ならば、魔法の感覚がつかめるまでは、ひたすら火の魔法を練習せよ。火の魔法については、そこの書籍に書かれておるはずだからな」
「ありがとう。勉強になった」
講義よりも、ヴィルザの説明のほうが役に立つような気がした。が、さすがにそれを口に出してしまうと、ヴィルザを調子に乗らせてしまううえに、先生たちにも失礼なので、やめておいた。
「ケネス」
ニタニタと笑って、ヴィルザは囁きかけてきた。
「なんだ?」
「私の見立てでは、ケネスには魔法の才がある。まぁ、ガンバってみれば良い。いずれは名のある帝国魔術師になるであろうよ。《血の伯爵》みたいな二つ名があると、カッコウ良いであろう」
本気で言っているのか、あるいはケネスの機嫌をとったのかはわからない。だが、その言葉はケネスをおおいに活気づかせた。
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