《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第2-8話「学院生活のはじまり」

「さあ。部屋にお行き」



 ブルンダは優しげな声でそう言った。3階から木の枝がスルスルとおりてきた。なにげなくその木の枝をつかむと、ケネスのカラダをやさしく3階まで運んでくれた。木の枝はどうやらトビラから生えていたらしく、木造トビラのなかにシュルシュルと収納されていった。



「ありがとうございました」



 欄干から1階を覗きこんで、ブルンダに向かってそう言った。ブルンダの姿はもう消えていた。



 トビラには「301」と書かれていた。さっきの木の枝がどこから生えてきたのかと、トビラをなぞってみた。



「今のは、魔法樹じゃな。魔法を浴びて育った樹で、人の言葉を理解しおる。くれぐれも悪口は言うでないぞ」
 ヴィルザがそう説明してくれた。



「うん」
 さっきの魔神ヴィルザハードの話を聞いたあとだと、よりいっそうトンデモナイものと接している感があった。樹なんかよりも、ぜんぜん恐い。



「な、なんだ、その目は。もしかして、私のことを警戒しておるのか」



「そりゃ、だって、残虐非道な魔神だって言ってたし」



「たしかに私は残虐非道なことをしたかもしれんが、ケネスに対しては何もしておらんであろう。むしろ、助けておるではないか」



「それは、有りがたいんだけど」
「だろう。だから、そんな目で見てくれるな」



「ゴメン」



 魔神のくせに、なんでそんな可憐な少女の姿をしているのかと文句を言いたい気分だった。もっと凶悪な姿をしてくれていれば、邪険にあつかうこともできるのに。



「それより、はやく部屋に入ろうではないか」
「うん」



 ひとつだけ良かったと思うのは、ヴィルザがホントウに根っからのワガママ娘ではないということだ。



 子供っぽい言動をすることはある。でも、ケネスの態度にたいして本気で怒るようなことはない。その場で、怒るようなことを言っても、マッタク根には持っていないようなのだ。今も、ヴィルザは何事もなかったような、ケロッとした顔をしている。



 部屋のトビラを開けた。
 カギは最初から開いていた。



 部屋の様子を見ようと思ったのだが、なによりも先に目にとまったものがあった。女子がベッドの上にたたずんでいたのだ。



「し、失礼しました!」
 あわてて部屋を出た。



 部屋を間違えたのかと思った。寮だから、誰かと相部屋ということはあるだろう。しかし、女性のわけがない。



 トビラにはちゃんと「301」と書かれてある。もしかして女子寮なのかもしれない。ブルンダ学院長が案内する場所を間違えたのかもしれない――とオロオロしていた。



 すると、トビラが内側から開いた。



「あ、ブルンダ先生から聞いてます。もしかしたら相部屋になる生徒がいるかもしれないって。君が、ケネスくんですか?」



「え? え?」



「どうしたんです?」
 と、あどけない顔を、不思議そうに傾けていた。



「だって君は、女子じゃないか」



「なに言ってるんですか。ボクは男ですよ。ケネスくんの部屋はここで間違いありませんよ」



「そ、そうなんですか……」



 あらためて、その女子――いや、男子の顔を見つめた。どこからどう見ても女性だった。緑の髪を真ん中分けにして、大きな額をさらけ出している。優婉な笑みをうかべていた。目が合うとドキッとしてしまう。



「ボクは、ヨナ・フーリガンです。ケネス・カートルドくんですよね。これから、よろしくお願いしますね」
 と、ヨナはニコリと微笑んだ。



「あ、はい」
 とだけ応じた。



 なぜかこのときになって、ようやく魔術師学校に入学したのだという実感がわいてきた。



 なんだかウソみたいな入学の仕方だった。これもやっぱり、ヴィルザがいたからこその恩恵ではある。


 学院生活がはじまるのだ――とケネスは部屋に足を踏み入れた。

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