《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

第2-2話「争いの気配」

 もう夜だ。


 このホト村はまだ、デラル帝国の中だが、いずれ帝国の外に出ようかと迷っている。



 ケリュアル王国軍による、帝都への奇襲が行われた。つい数日前のことだ。



 停戦中のことだった。



 ケリュアル王国は、封建国家制だ。王がすべてを仕切っているわけではない。各地の領主が王に仕えているというカッコウだった。あの帝都襲撃作戦は、ゲヘナ・デリュリアスという領主が1人で行ったこと――という形で話をおさめられそうだった。とはいえ、停戦があやうくなったのは確かだ。近々、また戦争がはじまるかもしれない。



 その帝都襲撃のさいに、ケネスはそれなりの活躍をして見せた。正確に言うならば、ケネスが活躍したわけではなく、ヴィルザが活躍した。



 で――。



 皇帝陛下から爵位をさずけるウンヌンという話になったのだが、ケネスは逃げてきた。軍に勧誘されるところだったのだ。



 軍なんかに入ったら、またヴィルザのチカラを使うことになる。使うどころか、乱用することになる。



 それはゼッタイにダメだ――とケネスは、眠りこけているヴィルザを見つめた。おしゃべりしようと甘えてきたくせに、先に眠っている。すぅすぅ、と安らかな寝息をたてている。気楽なもんだ。



 トテモ少女とは思えない無用心さだった。数千年生きているのだ。風貌は少女でも、中身は老婆だ。



「これから、どうしよう……」
 と、独りごちた。



 軍に勧誘されそうだったので逃げてきたが、当てがあるわけではない。有り金も尽きた。明日はダンジョンにでも潜って、小銭をかせぐ必要がある。各地には冒険者ギルドがある。モンスターの部位を渡せば、換金してくれる。



(ひとまず、寝るか)



 ケネスが眠っていたベッドは、ヴィルザに占領されている。ケネスの腹に乗っていたヴィルザの脚を、慎重にどけた。



 果汁の詰まったようなやわらかい足だった。少女の肢体をしているのだから、年頃のケネスとしてはそれなりの情欲をいだかざるをえない。しかし魔神なのだと思いだして、あわてて自制する。



 眠ろうとしたときだった。



 カァーン カァーン カァーン
 鐘の音が鳴り響いた。



『火をつけろッ』
『迎え撃てッ』
 といった声が聞こえてきた。



 窓がないので、外の様子がわからない。鐘が鳴っているということは、何か非常事態が起きているのだろうとはわかった。あわただしい気配が、闇を通じて伝わってきていた。



 つぎはぎだらけの部屋の隙間から、外の様子を見れないかと覗いてみたが、暗闇が見えるだけだった。



「うにゅ? なんじゃ。騒がしい」
 と、寝入ったばかりのヴィルザが、目元をこすりこすり上体を起こしていた。赤い髪が乱れている。寝起きの気怠そうな顔が、濃艶をまとっていたので、ドキッとしてしまった。



「外で何かあったみたいだ」


「様子を見に行ってみるか。また王国軍の襲撃やもしれんぞ」



「それはカンベンしてもらいたいなぁ」



 ホト村は別に王国との国境に近いわけでもなければ、帝国にとって重要な村というわけでもないはずだ。王国軍が攻めてくるとは考えられなかった。



「《ライト》」



 と、ケネスは魔法陣を発して、己の指先に火を発生させた。周囲を照らしてくれる。



「おおっ。ケネス。魔法を使えるようになったのか!」
 と、ヴィルザが目を見開いていた。



「へへっ。これぐらいだけどな。オレもチョットは成長したってことじゃないかな」



「さすが、私のケネスだな」
 いや、だから、オレを所有物みたいに言うのはやめろ――と言おうとしたのだが、口を閉ざした。



 魔法を使えるようになったのは、ヴィルザの影響があるかもしれない。その点は、ヴィルザに感謝している。たかが《ライト》だが、ケネスにとっては、はじめての魔法だ。名状しがたい胸をえぐられるような歓喜をおぼえる。

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