《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。
第41話「エピローグ」
魔法長官――ガルシア・スプラウドはご機嫌だった。帝都の被害は小さくはなかったけれど、ケネス・カートルドのおかげで最小限に抑えられた。
王国のほうは領主が勝手にやったことだと、ゲヘナのことを切り離した。それでも、今回の騒動で周辺諸国が帝国側に傾くのは目に見えている。次なる戦争の大義名分を得ることも出来たし、万々歳だ。
しかも――。
「今日はスバラシイ日だな」
ガルシアは隣に座っている、魔法副長官の《血の伯爵》――ヘッケラン・バートリーにそう言った。
「ケネス・カートルドに皇帝から爵位が授けられるそうですね」
「ああ」
皇帝の間。
皇帝陛下はまだ来ていないが、これからここでケネスに対して、爵位が授与されることになっている。王国の卑劣な奇襲作戦から、帝都を守った最大の功労者であり、さらにはバートリーと同列と思われるほどのその魔力量にたいしての爵位である。
とりあえずは騎士爵位を授けることになると聞いている。過度な実力主義の帝国とはいっても、さすがに急に伯爵とか公爵の爵位を授けるわけにはいかないということだろう。それでもガルシアは満足している。
この爵位授与式が終われば、ケネスはすぐにガルシアの魔術師部隊に組み込む予定だ。ケネスの配偶については、ガルシアに一任されている。
それが嬉しくて、たまらないのだ。
「しかし、今回の奇襲攻撃は、帝都にとっても痛手でした」
「それは、たしかにな」
ケネスが無効化のポーションを使って、帝都臣民を助けてくれた。それは良いが、ほとんどの者はスキルを失うことになってしまった。ガルシアやバートリーをはじめに、自分で呪術に対抗する術を持っている者は別だが。
(もしやケネスというあの青年、ここまで見越して無効化のポーションを用意していたのだろうか?)
いや。
さすがにそれはないだろう。
「そう言えば、ガルシア魔法長官」
「ん?」
「以前、私とケネス・カートルドのどちらが強いかという話をされたことを覚えておられますか?」
「もちろん、覚えているとも。それが?」
バートリーは相変わらず、微動だにしない表情で言う。
「彼のほうが強いかと」
「そうか」
バートリーはその目で、ケネスの魔法を見たそうだ。ガルシアは見られなかったのが、残念だ。
「さて、主役はそろそろかな」
ガルシアは長かった髪をバッサリ切り落としていたが、セッカクだから伸ばしていても良かったかもしれないと思っていた。気にいった相手には、よく見られたいものだ。皇帝の間のトビラが開いた。
「た、大変です」
入ってきたのは帝国騎士の1人だ。
「どうした?」
と、帝国騎士長のソーディラス・レオが尋ねた。
「ケネス・カートルドに逃げられました」
「な、なにッ」
ガルシアは弾かれたように立ち上がった。
王国のほうは領主が勝手にやったことだと、ゲヘナのことを切り離した。それでも、今回の騒動で周辺諸国が帝国側に傾くのは目に見えている。次なる戦争の大義名分を得ることも出来たし、万々歳だ。
しかも――。
「今日はスバラシイ日だな」
ガルシアは隣に座っている、魔法副長官の《血の伯爵》――ヘッケラン・バートリーにそう言った。
「ケネス・カートルドに皇帝から爵位が授けられるそうですね」
「ああ」
皇帝の間。
皇帝陛下はまだ来ていないが、これからここでケネスに対して、爵位が授与されることになっている。王国の卑劣な奇襲作戦から、帝都を守った最大の功労者であり、さらにはバートリーと同列と思われるほどのその魔力量にたいしての爵位である。
とりあえずは騎士爵位を授けることになると聞いている。過度な実力主義の帝国とはいっても、さすがに急に伯爵とか公爵の爵位を授けるわけにはいかないということだろう。それでもガルシアは満足している。
この爵位授与式が終われば、ケネスはすぐにガルシアの魔術師部隊に組み込む予定だ。ケネスの配偶については、ガルシアに一任されている。
それが嬉しくて、たまらないのだ。
「しかし、今回の奇襲攻撃は、帝都にとっても痛手でした」
「それは、たしかにな」
ケネスが無効化のポーションを使って、帝都臣民を助けてくれた。それは良いが、ほとんどの者はスキルを失うことになってしまった。ガルシアやバートリーをはじめに、自分で呪術に対抗する術を持っている者は別だが。
(もしやケネスというあの青年、ここまで見越して無効化のポーションを用意していたのだろうか?)
いや。
さすがにそれはないだろう。
「そう言えば、ガルシア魔法長官」
「ん?」
「以前、私とケネス・カートルドのどちらが強いかという話をされたことを覚えておられますか?」
「もちろん、覚えているとも。それが?」
バートリーは相変わらず、微動だにしない表情で言う。
「彼のほうが強いかと」
「そうか」
バートリーはその目で、ケネスの魔法を見たそうだ。ガルシアは見られなかったのが、残念だ。
「さて、主役はそろそろかな」
ガルシアは長かった髪をバッサリ切り落としていたが、セッカクだから伸ばしていても良かったかもしれないと思っていた。気にいった相手には、よく見られたいものだ。皇帝の間のトビラが開いた。
「た、大変です」
入ってきたのは帝国騎士の1人だ。
「どうした?」
と、帝国騎士長のソーディラス・レオが尋ねた。
「ケネス・カートルドに逃げられました」
「な、なにッ」
ガルシアは弾かれたように立ち上がった。
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