《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

第36話「ヘッケラン・バートリーの戦い Ⅲ」

「よくも……」



 敵愾心はまだ充分にあるけれど、勝てる見込みはない。バートリーはもうかなり魔力を消費してしまっている。ゲヘナ・デリュリアス相手では万全のときでさえも、勝てる自信はない。



 それでも、やるしかない。



 バートリーは帝国を守るための、帝国魔術師なのだ。帝国のために育てられた命であり、チカラなのだ。



 幼くして帝国魔術師として育てられたバートリーは人一倍、愛国心が強い。いや。愛国心というよりも、帝国そのものがバートリーの存在意義でもある。



 ガルシアはバートリーのことを拾った。けれど、ガルシアに育てられたわけじゃない。バートリーは1魔術師として、帝国に仕えるいろんな人にメンドウをみてもらった。小さい頃は帝国騎士たちに遊んでもらった記憶がある。食事は、城仕えのシェフにつくってもらっていたし、洗濯もまた城仕えのメイドにやってもらっていた。



 帝国が、バートリーの親なのだ。



 拾い親であるガルシアが帝国そのものよりも、純粋な強さに惹かれているのは知っている。バートリーはそこまで強さにこだわっていない。何か守るべきものがあるから、チカラが必要なのだと考えていた。



 バートリーにとって守るべきものは、帝国臣民であり、帝国そのものである。



「わが魂は、帝国のために。水系最上位魔法《血の凍結フリーズ・オブ・ブラッド》」



 ゲヘナの血を凍らせようと試みる。



「帝国には若い粒がそろっておるんじゃなぁ。優秀な子供が多い。しかし、この程度ではワシには通用するまい。火系最上位魔法《炎の衣ファイヤー・ドレス》」
 ゲヘナのカラダが炎で覆われる。



「くぅ……」
 ホゾを噛む音が漏れた。
 自分の最大限の魔法が通用していない。



「次はワシから行くぞ。風系最上位魔法《鎌鼬ダスト・デビル》」



 バートリーは急に、足が激痛に襲われた。



「くわぁぁッ」



 おそらくバートリー史上でもっとも、表情をゆがませた瞬間だった。あまりの激痛に立っていられなくなった。



「かっかっかっ。しょせんは子供か。足の腱を斬らせてもらった」



 ゲヘナは悠然と、バートリーを通り過ぎようとする。これ以上、帝都の奥へと入らせるわけにはいかない。無防備な帝国臣民をこれ以上、傷つけさせるわけにはいかなかった。



「土系基礎魔法。《岩の手ロック・ハンド》」



 地面の底から土の手が伸びてきて、ゲヘナの足をつかんだ。ゲヘナは油断していたのか、ブザマにけつまずいていた。



「おのれ。大人しくしていれば良いものを」



 ゲヘナの目が細くなり、バートリーへと向けられる。目じりのシワには深い殺意が刻み込まれていた。



 ゲヘナは岩の手を振り払って、バートリーのもとに接近してくる。



「《血の伯爵》。その年で、これだけの魔法を使いこなせるのは、驚嘆の一言じゃ。しかし、相手が悪かったと思いしれ」



 ゲヘナの右手に、鉄の槍が召喚された。
 その槍がバートリーの手を突き刺した。



「ああああッ」
 痛みがほとばしる。



「ワシはケリュアル王国の王より、土地を預かりし領主。このベルジュラックの大地を王のもとに渡さなくてはならん」
 左手にも槍が付き入れられた。



「ああぁぁッ」
 と、それに応じてバートリーは絶叫を放つ。



 右手と左手が槍によって縫いとめられた。バートリーの姿は、囚われの標本かのようなカッコウとなった。



「ふん。小娘が。チッとばかり優秀だからと良い気になりおって、これでさっさと死ね」



 ゲヘナの3本目の槍が、バートリーの脳天に打ち込まれようとした。バートリーは死を覚悟した。自分を育ててくれた帝国という国を守れない。



 その屈辱を噛みしめて、だが、目を見開き、帝国の敵を睨みつけていた。

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コメント

  • 執筆用bot E-021番 

    コメントありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです。

    0
  • ノベルバユーザー301626

    続きをぉ!早く読みたいです

    1
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