《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第26話「ガルシア・スプラウドの苛立ち」

「クソッ」



 帝国魔法長官――ガルシア・スプラウドは非常に苛立っていた。自分の抱えている魔術師に対してである。あらゆる魔法を行使させて、ケネス・カートルドのことを探させた。しかし、身柄が確保できない。



 帝都。城の一室。魔法長官はいちおう、大臣の1人という扱いになっている。前線で仕事をすることは滅多にない。魔術関係全般の、政治的な仕事が回されてくる。それ相応の部屋が、皇帝より与えられている。



 25という若さで大臣になれたのは、デラル帝国が完全実力制だからだ。年功序列などカケラもない。優秀な人材であったとしても、もっと優秀な人間が出現すれば、翌日には首をすげかえられる。



 そういう帝国のシビアさを、ガルシアは嫌っていない。



「しかし、上手く逃げられましたね」



 帝国魔法副長官のヘッケラン・バートリーが言った。青く清々しい髪をしており、いつも7・3分けにしている。片メガネをかけているから、有能なイメージがある。表情が微動だにしない。少なくともガルシアの知る限りでは、眉がピクリとも動かない。自分ばかり傾国の美姫などと言われるが、バートリーも負けていないように思う。冷徹な美少女といったところだ。



《血の伯爵》の異名を持っている。
 伯爵とは、もちろん彼女のことだ。



 ケリュアル王国の人間が見れば首をかしげるだろう。まず、バートリーはまだ子供だ。少女だ。父親だって存在している。なのに、爵位を持っているのは父親ではなくて、バートリーなのだ。



 これもデラル帝国の、実力主義が生み出した構図だ。



 バートリーは若干16歳にして、最上位魔法を扱うことが出来る。その実力を認められて爵位を拝命したのだ。デラル帝国においては、皇帝の親族だから、家長だから、長男だから、爵位がもらえるとか、そういったことはイッサイない。



「帝国魔術師はフヌケどもばっかりだな。これだけ数をそろえても、見つけられないとは」



 闘技大会に、ケネス・カートルドが出場してから捜索させ続けている。実家のほうにも人をやらせた。風系基礎魔法の《通話》で、今その報告を受け取ったところだ。ケネスは実家には帰っていない――とのことだった。



「これだけの目から逃れているということは、《透明化トランスパレント》の魔法でも、使っていると考えるべきでしょう」



「風系最上位魔法だ。バートリーは使えるか?」



「数秒なら」
 魔法というのは、魔力を使う。
 使いすぎると精神的に疲弊する。



「《透明化トランスパレント》の魔法を、自在に使えるとなると、やはり私レベルの魔術師ということか」



 そうなると逆に、魔術師たちにケネスを見つけ出させるのは酷かもしれない。見つけ出せないのは腹立たしい。だが、それと同時にある意味では、ガルシアを満足させてもくれる。長い期間、隠れていられるほど――少なくとも姿を隠す魔法は――優秀という証明だからだ。



「《透明化トランスパレント》ほど、厄介な魔法はないな。探知するのが非常に困難だ」



「しかし、使える魔術師が少ないのも事実です」



「そうだがな」



 窓辺に目をやった。
 思わず、笑ってしまう。



 最近は腹が立ったり、急に愉快なったりする。情緒不安定だという自覚はある。これもすべて、ケネス・カートルドのせいだ。



 ガルシアのあまり男性にたいして興味のわかない頑迷な心を、彼の存在がくすぐってくる。まぶたの裏。いまだに闘技大会の映像が再現される。何度もハンスウして、どれほどの魔術師か検討している。

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