《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

第4話「なぜ、見える?」

 少女は頬に笑みをたたえて戻ってきた。


「な。言ったであろうが、私は8大神によって存在を消されたのだ。本来であれば、誰も私の存在を感知できるはずはないのだ」



「じゃあ、なんでオレには見えるんだ?」



 目をコスるが、可憐な少女は間違いなく目の前に存在している。



「貴様が、私を関知する特殊なスキルでも持っているのではないか?」



「あぁ!」
 思い当った。



《可視化》



「やはりそういうスキルを持っているのだな」
「でも、今は発動してないんだけど」



 発動していたら、服が透けて見えるはずだ。



「スキルは体質のようなもの。微弱にも発動しておるものだ」



 見えている、ということは少女の言う通りなのだろう。



「おかげで助かった。数千年も誰とも話していなかったら、寂しくて死んでしまうかと思ったぞ」



「じゃあ、ホントウに魔神ヴィルザハードなのか?」



 それなら大変なことだ。



 神話の中では、世界を恐怖に陥れた存在なのだ。世の中にはときおり、魔王、と言われる人物が登場する。武術なり魔術なりをきわめて、悪事をなす者に冠される。しかし、魔王はあくまで人である。魔神となると、その上ということだ。



 神であるなら、数千年という時がカラダを老化させていないもの納得がいく。



「ホントウだと言っておるであろうが。ヴィルザと呼んでくれれば良い。貴様はゆいいつ私を認識できる、特別な人間であるからな。呼び捨てにすることを許す」



 魔神というのが、不穏な存在であることはケネスにもわかる。
 しかし、恐怖の実感はなかった。



 神話の魔神と同一人物だと言われても、その魔神の悪事を見たわけではない。あくまで文献の中で知っているだけだ。なにより、見た目がこんなにも可憐な少女であるなら、怖れる必要はなかった。ただ、何か大変なことをしているような感覚だけはあった。



「オレはケネス・カートルドだ。よろしく」


「ケネスか。この私を、数千年の孤独から救った男の名前だ。しかとこの胸に刻んでおこう」



「魔神って名乗るからには、ヤッパリ強いのか?」



「強かったと言うべきだな。8大神が手を組んでようやく、この私を封じ込めたぐらいだからな。しかし今は、強いと言えるかはわからん」



「弱くなったとか?」



 見た目がか弱い美少女だからといって、侮ることはない。魔術師なら、筋力をきたえていない者も多い。



「いやいや。チカラは健在であるが、私は存在を認識されていないからな。どんなチカラを行使しても、この世界に干渉することが出来んのだ」



 ヴィルザはそう言うと、指をパチンと鳴らす。



 ヴィルザの足元に、魔法陣が描かれる。魔法の発動には必ず、魔法陣を使う必要があった。これはどれだけ優秀な魔術師であっても同じことだ。魔法陣はどんどん広がっていった。



「お、おい。何をするつもりだ」
「まぁ、見ておくと良い」



 ヴィルザがふたたび指をパチンと鳴らす。すると、大地がめくれあがった。まるで大地が生き物となって上体を起こしたかのようだった。そして、めくれあがった大地からはマグマが噴出した。



「……ッ」
 絶句である。



 ケネスは悲鳴すら出なかった。あまりにトッピョウシもない惨劇に、腰をヌかしていた。しかし、しばらくすると、噴出していたはずのマグマは収まっていた。めくれあがった大地ももとに戻っている。



 街道の行列も、何事もなく歓談にふけっている。



「え……幻覚?」



 魔術師のなかには、幻覚系の魔法を使う者もいると聞いたことがある。



「幻覚ではない。私は実際に今、魔法を行使した。しかし、見てわかる通り、私の魔法はこの世界にイッサイ関与できない」



「なるほど……」



 ヴィルザが街道に跳びだしても誰も気づかない。実際に、接触しようにも実体がないかのように透き通ってしまう。存在していないのと同義なのだ。魔法を使った場合も、それは誰にも効果をなさないのだろう。



「これも8大神の、呪いのせいだ。マッタク忌々しい神々どもである」



 今のチカラを見せつけられると、さすがに魔神だと信用できた。こんなに怖ろしい存在は封印されてしかるべきだろう。



「そうか。すごいんだな」
「魔神であるからな」



「じゃあオレは、ポポコを摘み終ったし、帝都に戻るよ。じゃあな」



 怖ろしい存在だったが、誰にもチカラを行使できないのであれば、放置しておいても問題はないだろう。関わり合いにならないほうが良さそうだし、見なかったことにしようと思った。

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