調味料から見た世界

月夜野 星夜

調味料から見た世界

 私は『調味料』だった。


 決して『ごはん』のような世界の主役にはなれない。『おかず』のように多くの人達から喜ばれるような存在でもない。『味噌汁』みたいに目立たなくても世界を支えるような、縁の下の力持ちですらもない。


 いなければ困るけど、沢山いすぎると疎まれる、ちょっと関わるくらいならば喜ばれるのに、あまりに関わりすぎるとみんなに避けられる。そんな存在だ。


 それでもちょっとした娯楽のお供くらいにはなれる。


 『調味料』にも色々いる。スパイシーな刺激を与える『香辛料』や、お節介だけど為になることを言う『お酢』、自分にも他人にも甘いけど癒やしをくれる『甘味料』・・・。


 私は引き立て役の『塩』だった。『甘味料』から、より甘さを引き出したり、『香辛料』と合わさって味に深みを出したり、素材そのものの味を引き立てるのが主な役目だ。『味噌』や『醤油』だって、私達『塩』がいなけりゃ造れない。


 材料に混ぜ込まれたり、『おかず』にかけられたりして、あまりみんなの目に見える形では活躍出来ないけれど、必要とされていることは幸せなのだと思う。


 それを誇りに思いつつ、今日も私は必要としてくれている人達の為にせっせと働くのだった。




 

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