神聖具と厄災の力を持つ怪物
八十二
すると、突然の声と共に雷が迸り、帝国軍を襲う。
悲鳴を上げ倒れたのだった。
「何奴!?」帝国指揮官は、睨みをきかせ、叫んだ。
「私が誰かって······? フフッ」
妖艶な声の主は、軽く笑う。
帝国指揮官は、辺りを見回す。
「私はここさ」
その声は、宙を舞っている一匹の鴉から響いていた。
帝国指揮官だけでなく、一同は鴉に注目する。
次の瞬間、鴉の横に黒い穴が空いていく。
その穴から、一人の女性が現れた。黒色の髪に、目尻の下にはほくろ。
箒に乗って宙に浮かんでいた。
「貴様はっ!」
帝国指揮官の言葉に、女性は答える。
「私は、雷轟の魔女、モルガナさ」
「『モルガナさ』、じゃねぇ! おせえぞ!」
何故かヴェルストが突っ込みを入れた。
「こっちにも色々あるのさ。それより、上手くやってたみたいだね、ヴェル」
「ちょっと、どうゆうことよ?」
「そうだよ。ヴェルスト?」
ミレイとシングは問う。
「オレはあの女に言われて、お前達の仲間になってたって事だ。帝国の悪事を暴くためにな」
「リア、まんまと騙されたのです~!」
リアが、声を上げる。
「ハハハッ、雷轟の魔女が現れるとは。だが、これならどうだ!?」
帝国指揮官は、剣をモルガナへ向ける。
その合図で、弓矢を持つ部隊が矢を引き絞っていく。
「我をお忘れか!?」
突如男が現れ、大剣で地面を叩き付ける。すると、帝国の弓矢部隊目掛けて、大地が砕かれていき衝撃で吹っ飛ばした。
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