お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

初詣






 初詣…アパートの近くに神社があったので、そこまで4人で歩いて行くことにした。

 「ちょっと混んでるね…」

 神社に到着すると春香がちょっと嫌そうに呟く。春香人混み苦手だからなぁ。普段はあまり人がいない神社なのになんで今日はこんなに人がいるんだろうと文句を言いたいが、僕たちも初詣のために来てるから一切文句言えないよね。

 「春香、逸れないようにしっかり手繋いでね」
 「うん」
 「私も」

 僕が春香に言うと春香はギュッと手を繋いでくれる。春香とは反対の手を繋いでいたゆいちゃんもギュッと力を入れてきて、それを見て春香と手を繋いでいたまゆが羨ましいそうにしていたから後で軽く手を繋いであげよう。

 というわけで、神社でお守りを買って、その後に甘酒をもらったりしてお賽銭をお賽銭箱に入れてお祈りをする。

 たぶん、みんな一緒のことを願っていると思う。お祈りが終わってみんなと目が合うとみんななんか少しだけ照れくさそうだったから……

 「ねー、りょうくんは何をお祈りしたの?」
 「ゆいちゃん、そう言うのは人に言わない方がいいらしいよ」

 ゆいちゃんを嗜めるようにまゆが言うとゆいちゃんはいーじゃん。って言いながら頬を膨らませていた。

 「たぶん、ゆいちゃんと同じこと祈ってたよ」
 「えへへ。ならいいや」

 僕がそう答えるとゆいちゃんは満足そうに笑顔を浮かべていた。そんなゆいちゃんを見てかわいいな。と思っていると僕と手を繋いで歩いていた春香が急に立ち止まった。

 「春香、どうしたの?」

 僕が春香に声をかけると春香は顔を少し赤くしてふらふらしていた。え、もしかして…

 「りょうちゃん…えっとねぇ……あるくのつかれちゃったぁ…」

 そう言いながらふらふら僕に近づいてきて僕の方へ倒れてきた春香を僕は慌てて受け止めた。

 「ね、ねえ、ゆいちゃん、まゆ、甘酒って…酔うの?」
 「ふ、普通は酔わない…はず……」

 春香を見てまゆは自信なさ気に答える。そうだよね。普通酔わないよね。で、でも…ここに酔ってる人いるんだけど……

 「こ、子どもにも配ってるし…酔わないはず…じゃない?」
 「で、でも、酔ってるよね?」

 ふらふらな春香を見てゆいちゃんはたしかに…と言ってじゃあ、酔うのかも…とか言いだした。

 僕とまゆとゆいちゃんは困惑しながらふらふら状態の春香を見つめる。ど、どうしよう。甘酒で酔うなんてあり得るのか?






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