お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

新年デート






 「春香が帰りにお餅買ってきてって…」

 帰りの車で春香から連絡を受け取った僕は連絡内容をまゆに伝えるとまゆが急だね。と言って笑う。

 「ゆいちゃんが食べたい。って春香を困らせてるみたい」

 春香から送られてきた春香に甘えながらお願いしているゆいちゃんの写真を見て今、春香とゆいちゃんがどんな感じなのかわかった。いいなぁ。僕も春香に甘えたい。

 「じゃあ、しょうがないから、ゆいちゃんの為にやむなく寄り道しよっか」

 まゆが嬉しそうに僕に言う。お餅買ったらすぐ帰りますよ。じゃないとゆいちゃんが不機嫌になっちゃうからね。

 そんなことを考えているとまゆが車の進路を変えて、バイト先の本屋さんがあるショッピングセンターに向かった。お正月だからめちゃくちゃ混んでる。明後日のバイトの時は……多少マシ……だよね?と不安を感じながら一般の駐車場にようやく車を停めてまゆと歩く。

 「りょうちゃん、これだけ人多いと駐車場から出るの大変だから少し落ち着いてから帰ろ」

 そう言って歩きながら僕の腕をギュッと抱きしめて上目遣いで僕を見つめるまゆ…はい。ミニデート確定しました。

 というわけで甘えん坊なまゆちゃんと新年早々いつものようにデートした。めちゃくちゃ混んでるカフェでお茶をして、めちゃくちゃ混んでるゲームセンターで遊んで、めちゃくちゃ忙しそうなバイト先の本屋さんに顔を出して新年の挨拶をしながら本を買って、まゆが好きそうな服を見て、ようやくお餅を買ってショッピングセンターを出て駐車場に向かう頃には周囲は薄暗くなっていた。

 「やばい、これ絶対春香ちゃんとゆいちゃんに怒られるやつじゃん」
 「あっ…春香からめっちゃ電話きてる」
 「な、なんで気づかなかったの?」
 「ご、ごめん」

 そんなやり取りをしながらまゆとまゆの車までめっちゃ走った。1時間前まで何回もかかってきた電話が今はかかってきていなくて、春香からの最後の連絡は「お餅作ってきてなんて言ってないよ。買ってきてってお願いしたんだよ。にっこりマーク。」だったことから相当お怒りだということがよくわかって怖い。

 「春香ちゃん、怒ってるかな?」
 「たぶん、めちゃくちゃ怒ってる……」

 だって、連絡しても返事返してくれないんだもん。ゆいちゃんに連絡しても返事返してくれないからどれくらい怒ってるかはわからないけどめちゃくちゃ怒ってることだけはわかる。お説教何時間コースかなぁ。







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