お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活
つまみ食い
 「「やばい、めっちゃ美味しい」」
 初日の出を見た後、アパートに戻って春香とまゆが家族に新年の挨拶をしている最中、僕とゆいちゃんは台所にいた。
 さっきからお節用に作って重箱に入りきらなくてお皿に載っている分のお節料理を食べているのだが、どれもめちゃくちゃ美味しい。特に栗きんとんが最高。
 「あー、またつまみ食いしてる。春香ちゃんに怒られるよ」
 背後から声をかけられて僕とゆいちゃんはドキッとする。実は昨日の夜もつまみ食いして春香に怒られたから…
 「あ、あのぅ…」
 「春香ちゃんには内密に…」
 春香に怒られたくない僕とゆいちゃんはまゆに懇願する。本当に、怖いから……
 「口止め料どうしようかなぁ。ちょうどそこに美味しそうな栗きんとんあるけど、まゆ手を動かすのめんどくさいなぁ」
 「まゆ、あーんして」
 「はーい」
 ノータイムでまゆにあーんして栗きんとんを食べさせてあげる。これでまゆもつまみ食いの共犯だから、春香にバレないはず。
 「りょうちゃん、まゆちゃん、ゆいちゃん、何してるのかなぁ?」
 まゆにあーんして栗きんとんを食べさせてあげた直後、冷たい感じの声が聞こえて僕とまゆとゆいちゃんの背中から変な汗が流れ始めた。
 「は、春香ちゃん…え、えっと、わ、私はりょうくんとまゆちゃんがいちゃいちゃつまみ食いしてたから注意しようと…」
 「「ゆいちゃん!?」」
 僕とまゆに全責任を押し付けようとしてきたので何があったか観念して全て春香に話した。ゆいちゃん、怒られる時もみんな一緒だよ。
 というわけでつまみ食いした僕とゆいちゃんは普通に意地汚いって怒られたし、まゆも便乗してつまみ食いしたから春香に怒られた。
 その後、ちょっと不機嫌になった春香の機嫌をなおすために僕がめちゃくちゃ頑張った。なんとか許してもらえて春香の機嫌もなおり、みんなでリビングできちんと座ってお節を食べ始めた。コソコソ食べるお節よりもみんなでお話したりしながら食べるお節の方が何倍も美味しく感じた。
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