お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

初日の出





 「寒い……」
 「だから暖かい服装にしなよって言ったじゃん。ほら、これ着て…」

 新年の朝、まゆの車で初日の出を見るために海辺の初日の出が見れる場所に移動して、車から降りると思ったより風が強かった。寒いというまゆに僕の上着を貸してあげる。まゆが風邪ひいたら困るからね。

 「でも、りょうちゃんが寒いでしょ…」
 「僕は大丈夫だから」

 そう言ってまゆに上着を着せてあげる。それを見ていた春香とゆいちゃんがいいなぁ。と言っていたので、やっぱりちょっと寒いから手繋いで温めてよ。と言うと喜んで手を繋いでくれた。

 車を停めた場所から少し歩いて行く途中で薄暗かった空が少しずつ明るくなってきていたから僕たちは慌てて走って見晴らしのいい場所まで行く。

 「もう、ゆいちゃんが起きてくれないからだよ…」
 「ご、ごめんなさい」
 「まゆ、ゆいちゃんを責めないであげて。ちゃんと起こしてあげられなかった僕が悪いから」

 初日の出を見るまでの時間、僕と春香とまゆはおしゃべりをしながら起きていたのだが、ゆいちゃんは僕の膝の上に頭を乗せてぐっすり眠ってしまっていた。寝起きの悪いゆいちゃんをきちんと起こせなかったのは彼氏の僕の責任だろう。

 「もう、すぐ甘やかす…だからゆいちゃんがいつまで経っても朝、きちんと起きられないんだよ」

 まゆにそう言われてゆいちゃんは少し落ち込んだ表情をしてしまう。まゆが言ってることは事実かもしれないけど…

 「ゆいちゃんが朝弱いところ、僕は好きだからね。寝起きの悪いゆいちゃんかわいいし。だから、そのままでいいよ。僕がしっかりフォローするから」
 「りょうくん、ありがと。大好き」
 「「甘やかしすぎ」」

 まゆだけでなく春香からもそう言われてしまう。そう言われても仕方ないけどさ、ゆいちゃんができないことを無理に直させなくても、僕がカバーしてあげればいいじゃん。そうしてあげたいから、僕はゆいちゃんと一緒にいることを選んだ。春香とまゆにできないことも僕がやってあげればいい。でも、春香とまゆの場合は隙がないから僕が一方的に助けられてるんだけどね。いつかきちんとお礼したいな…

 そんなことを考えながら走っていると見晴らしのいい場所に到着する。ちょうど日が上り始めたくらいでギリギリだったね。と言いながらみんなで笑う。

 初日の出を見ながら4人全員で、「今年もいい年になりますように」とお祈りした。








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