お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

来年も






「 「ただいま」」

 バイトが終わり、まゆと一緒にアパートに帰ると、いつもは出迎えてくれる春香とゆいちゃんが出迎えてくれない。どうしたんだろう。と思いながらリビングに向かうと春香とゆいちゃんが台所で忙しそうにしていた。

 夜ご飯作ってくれてるのかな。と思ったが今日の夜ご飯は机の上に置かれていた。

 「あ、りょうくん、まゆちゃん、おかえりなさい」
 「ゆいちゃん、今何してるの?まゆも何か手伝う?」
 「お節作りの準備ですよ。春香ちゃん、実家にいた時は毎年作るの手伝ってたみたいで作り方知ってるし4人で年越しするなら作りたい。って言い出して楽しそうだから私も手伝ってました」

 お節かぁ。去年までは毎年お正月に春香の実家にお邪魔して僕の家族と春香の家族で新年会やってたっけ。1月の2週目に後期の講義試験があるから、去年春香はいなかったけど、今年は春香が作ってくれたお節食べれるの楽しみ。

 「えー、まゆも手伝いたい。春香ちゃんが作ってくれるお節美味しいから作り方教えて欲しい」
 「まゆ、春香が作ったお節食べたことあるの?」
 「うん。去年、まゆとりっちゃんとみーちゃんとゆきちゃんとここで新年会やってその時食べさせてもらった」

 楽しそうでいいなぁ。僕なんか去年、お正月に久しぶりに春香に会えるかな。と思ってたら帰ってこない。って聞いてめちゃくちゃショック受けてたのに。

 「と、とりあえず準備してただけだから、本格的に作るのは明日だよ。じゃあ、まゆちゃんも手伝ってね」
 「もちろん。楽しみだなぁ」

 僕と目があった春香は顔を赤くしてゆいちゃんの背後に隠れてしまう。でも、申し訳ないと思ったのかすぐにゆいちゃんの背後から顔を出して、りょうちゃんおかえり、と言ってくれた。かわいい。

 「今年は4人で年越しして、新年迎えようね」

 まゆが笑顔で言う。僕と春香は試験や定期演奏会が終わって落ち着いたら帰省する予定だった。まゆは実家が近いから帰省するかな。と思っていたが、僕たちと一緒にいたい。と言ってくれて、ゆいちゃんも僕と春香みたいに落ち着いてから帰省する。と言ってくれた。大晦日は4人でアパートでぐだぐだしてゆっくり年越しをして4人で初日の出を見てお正月はアパートでぐだぐだしながらお節食べたりしよう。と4人で計画を立てる。

 そうやって計画を立てていた時からすごく幸せで、ふと、春香と一緒に暮らし始めてからの思い出を振り返ると幸せな思い出ばかりだった。

 来年も4人で幸せでいられますように。





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