お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

幸せな朝






 「りょうちゃん、起きて!」

 朝、まゆに耳元で大声で言われて目を覚ます。僕と一緒に僕に抱きつきながら寝ていた春香も目を覚ます。

 「春香ちゃん、りょうちゃんとはちゃんと話せた?」
 「う、うん」
 「りょうちゃん、春香ちゃんにはちゃんと言いたいこと言った?」
 「う、うん」

 まゆに確認をされて僕と春香は頷く。するとまゆはよかった。と呟いてから僕の隣で横になる。

 「春香ちゃん、昨日りょうちゃんと2人きりにしてあげたから今からまゆとゆいちゃんにりょうちゃんの側にいさせて」
 「うん…わかった。じゃあ、私、朝ごはん用意してくるね。まゆちゃんとゆいちゃんは朝ごはん食べた?」
 「まだだよ。みんなで食べたいから起きて着替えてすぐに来ちゃった」
 「了解。じゃあ、4人分作るね…」

 春香はそう言って僕を抱きしめていた手を僕から離して布団から出て立ち上がる。

 「あ、あの…は、春香ちゃん……」

 台所に向かおうとした春香にゆいちゃんが声をかける。

 「春香ちゃん…昨日はごめんなさい。酷いこと言ってごめんなさい」

 ゆいちゃんは涙目で春香に謝る。

 「気にしなくていいよ。私こそ、動揺しちゃってごめんね。弱々しいところもいっぱい見せちゃったよね。でも、もう大丈夫。りょうちゃんにいっぱい好き。って言ってもらったから」

 そう言って春香はゆいちゃんを抱きしめてゆいちゃんが泣き止むまで頭を撫でてあげていた。

 「へー。春香ちゃん、そんなにいっぱいりょうちゃんに好き。って言ってもらったんだ。ずるいなぁ。ゆいちゃん、今からまゆたちもりょうちゃんにいっぱい好き。って言ってもらおうね」
 「え、あ、うん!」

 まゆに呼ばれてゆいちゃんも僕の隣で横になって僕にギュッと抱きついてくる。そんな様子を笑いながら見つめた後、春香は台所に向かって行った。

 台所から何かを焼く音と香ばしい香りが漂ってくる中、僕はまゆとゆいちゃんにひたすら好き。と言い続けた。なんか、好き。って言いすぎて恥ずかしくなってしまう。

 まゆもゆいちゃんも好き。って言われる度に少しずつ顔が赤くなっていてかわいかった。そんなすごく幸せな朝を迎えることができた日にはクリスマスムードは終わっていて、次は年越しムードになっていた。







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