お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

お願い。





 「陽菜、大丈夫?」

 ゆいちゃんに支えられている陽菜に私は尋ねるが大丈夫なはずがない。とりあえず、落ち着け。冷静になれ。と自分に必死に言い聞かせるが落ち着いて冷静になれる状況ではなく、私は涙目で陽菜に声をかけ続ける。

 「だ、大丈夫…です。ちょっと…体調悪くなった…だけです…」

 陽菜は振り絞った声で大丈夫です。と言うが、息を切らして辛そうにしている陽菜を見て大丈夫と思えるはずがなかった。

 「きゅ、救急車……」
 「や…だ……」

 慌てて救急車を呼ぼうとした私を陽菜が止めた。やだ。とかそういうことを言っている場合じゃないのに……

 「まだ…もらってないから…寂しい……陽菜…を…1人に…しないで……」

 辛そうな表情で泣きながら陽菜は私に言う。そんなことを言われても…私は陽菜のことが心配だったから、陽菜には悪いけど救急車を呼ぼうとする。

 「陽菜ちゃん、本当に、大丈夫なんだね?」

 軽くパニック状態になっていた私の肩にそっと手を置いて私を落ち着かせながら春香ちゃんが陽菜に尋ねると陽菜は辛そうな表情で頷いた。大丈夫なわけないじゃん…

 「まゆちゃん、私とりっちゃんと陽菜ちゃんをりっちゃんのアパートに連れてってもらっていいかな?陽菜ちゃん、私がやばい。って思ったら病院行くこと。わかった?」

 陽菜はそれでいい。と言うよいに頷いている。そんなのダメに決まってる。すぐに陽菜を病院に連れて行かないと……

 「りっちゃん、陽菜ちゃんを信じて。今は、陽菜ちゃんの想いを尊重してあげた方がいいと思う。その代わり、陽菜ちゃん、本当に辛かったらちゃんと言うこと。わかった?」

 陽菜は頷くけど、私は当然、納得なんかできるわけがなかった。

 「りっちゃん、大丈夫だから。落ち着きなよ」

 私に優しくそう言って、私の手を握りしめてくれたおかげで、少しだけだけど、落ち着くことができた。

 「春香ちゃん、ありがとう。まゆちゃん、お願いしていいかな?」
 「う、うん」
 「りょうちゃん、ゆいちゃん、悪いけど…私とまゆちゃん行くからさ、2人は電車で帰ってもらっていいかな?」

 春香ちゃんにそう言われてりょうちゃんもゆいちゃんもすぐに頷いてくれて、私は陽菜を連れてまゆちゃんの車に乗せてもらいアパートに帰った。






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