お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

内緒の話






 「陽菜も何か欲しいのない?買ってあげるよ」

 りょうちゃんが春香ちゃんとまゆちゃん、ゆいちゃんにアクセサリーを買ってあげているのを見て私は陽菜に言う。

 「さっき服買ってもらっちゃったし大丈夫です」
 「えー、遠慮しないでよー私、もっといろんな陽菜を見たいの。私にもっともっと、かわいい姿見せて」

 自分でも引くくらい何を言っているのかわからないことを陽菜に言うと落ち着いてください。と言われる。

 「じゃ、じゃあ、またお揃いで何か買おうよ」

 お揃い。と言う言葉を使って陽菜に貢ぐことを覚えた私は覚えたばかりの方法を躊躇いなく使い始める。

 「りっちゃんさん、じゃあ…お願い、していいですか?」
 「うん。いいよ。なんでも聞いてあげる」
 「えっと、じゃあ、帰ったら…りっちゃんさんが前に使ってたお花のヘアピンくれませんか?」

 予想外のお願いをされて私はびっくりする。前に買ったのはいいが、あまり自分に似合わなかったから使っていないヘアピンだ。

 「あげるけど…あんなのでいいの?もっと陽菜に似合うのあると思うけど……」

 正直、ちょっと安物だから。陽菜にはもっとちゃんとしたものをプレゼントしたい。

 「あれがいいんです。りっちゃんさんが使ってたヘアピンだからいいんです。りっちゃんさんが使ってたヘアピン付けてればいつでもりっちゃんさんが側にいてくれる感じもしますし…」

 何この子、私のこと好きすぎないか?まあ、私も陽菜が私のことを好きと思ってくれるのと同じくらい陽菜のこと大好きなんだけどね。相思相愛かよ。

 「うん。わかった。じゃあ、帰ったらあげるね」
 「はい。ありがとうございます」

 本当にうれしそうな笑顔を陽菜は私に向けてくれる。あんな安物でそんなに喜ばなくていいのに。陽菜が望むのならなんだってプレゼントするのに。私には似合わなかったけど、きっと陽菜には似合うのだろうな。もしかしたら私は元から陽菜にプレゼントをするつもりであのヘアピンを買っていたのかもしれない。と、訳の分からない妄想をしながら嬉しそうに微笑んでいる陽菜を見つめる。

 「りっちゃん、陽菜ちゃん、何話してたの?」
 「えー、内緒」

 春香ちゃんには恥ずかしくてこんなこと言えないなぁ。私と陽菜だけの秘密の会話だもん。

 「えー教えてよ」
 「だーめ」

 春香ちゃんとそんなやり取りをしているとまゆちゃんやゆいちゃんも寄ってきたので、無理矢理話を終わらせてお店を出ることにした。恥ずかしいから誰にも言わないもん。






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