お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

お揃い。






 「りっちゃんさん、りっちゃんさん、この服絶対りっちゃんさんに似合うと思うので着てみてください!」

 ショッピングセンターで買い物をしていると、陽菜が洋服屋さんの前で立ち止まって言う。私は基本的に普段はジーンズ派でスカートとかワンピースはあまり着ないちょっと大人しめな感じのワンピースを私に勧めてきた。

 私の好きな感じのワンピースだけど、これは私より……

 「私より絶対陽菜の方が似合う。陽菜、お願い。着てみて、お願い。似合ってたら買ってあげるから。いや、似合うのは確定してるからサイズが合えば買おう。うん。そうしよう」

 推しへの課金は躊躇わない主義なので、最推しである陽菜に似合うものは全部買ってあげたい。と思ってしまう私の悪い癖が出てしまった。

 「りっちゃんさん、落ち着いてください。目がやばいです……」

 陽菜にドン引きされながら言われて少しだけ冷静になれた。陽菜への愛が深すぎる…

 「じゃあ、りっちゃんさん、2人で着てみましょうよ」
 「え、あ、うん。そうしようか」

 陽菜に提案されて私と陽菜は自分サイズの服を手に持ち試着室に入って試着を始める。

 「りっちゃんさん、着替えましたか?」
 「うん。着替えたよ。陽菜は?」
 「着替えました!」
 「じゃあ、せーので出よう」
 「はーい」

 陽菜の返事を聞いてからゆっくり、せーの。と声をかけて陽菜と同時に試着室を出る。そして私は陽菜を、陽菜は私をじっと見つめる。

 「「めっちゃ似合ってる」」

 お互いを見てお互いのセリフがハモって2人で笑った。陽菜にワンピースめちゃくちゃ似合ってたし、私も陽菜に似合ってるって言ってもらえて嬉しかった。

 「店員さん、これとこれ、お会計お願いします」

 というわけで迷わず購入。即決だ。お揃いのワンピースゲットだぜ。

 「あ、りっちゃんさん、陽菜の分出しますよ…」
 「だめ。貢がせて…」
 「貢ぐって……わかりました。ありがとうございます。じゃあ、陽菜はりっちゃんさんに貢ぎますね」

 そう言って陽菜は強引に私の分のお会計を出そうとしたので躊躇いなくクレカで一括払いにしてお金を出す隙を与えなかった。やったぜ。

「陽菜、せっかくだからさ、このまま着てく?」
 「そうします…」

 かなり不満そうな陽菜に私が提案すると陽菜は迷わず頷いてくれた。かわいいやつめ。

 というわけで店員さんに頼んでワンピースのタグとかを切ってもらってもともと着ていた服を袋に入れてもらった。陽菜とお揃いのワンピースでデートできるとか最高すぎるでしょ。

 「仲いいですね。ご姉妹ですか?」
 「いえ、彼女です」

 店員さんからもともと着ていた服が入った袋を受け取る時にそんなやり取りをしたら、え?というような表情をされたが気にしない。私と陽菜は幸せだもん。周りの目なんか気にしなくていい。

 私と陽菜はお揃いのワンピースを着て、再び手を繋いで歩き出した。






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