お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

些細な幸せ





 「りっちゃんさん、早く行きましょう!」

 土曜日の朝から、陽菜は待ちきれない。と言う様子で私を急かしてくる。かわゆい。

 「はいはい。すぐ行くから慌てないの。ちゃんと寒さ対策した?」
 「はい。いざとなったらりっちゃんさんに温めてもらうので大丈夫です」

 とびっきりの笑顔でそう言ってくれる私の彼女かわいすぎないか?かわいすぎて思いっきり抱きしめてあげたい。

 「じゃあ、行こうか」
 「はい。デート久しぶりだから楽しみです」

 いやいや、先週もデートしたじゃん。それになんだかんだでほとんど毎日お泊まりくるか私がお泊まりしに行ってほとんどずっと一緒にいるじゃん。まあ、でも、一緒にいることとデートをすること、たしかに違うのかもしれない。私だって、今日を楽しみにしていたのだから。

 「えっと、まずはどこ行きたいんだっけ?」
 「ホテル行きたいです」
 「はいはい。それはまた今度ね」

 やれやれ。前に一度だけ…半強制的に連れて行かれたことがあるのだが、あの日は大変だった……まじで疲れたから……もう、しばらくホテルは行かない。絶対行かない。

 そんなことを思っていると陽菜が頬を膨らませて、えー。とか言っていたので、また今度ね。と優しく言っておいたら渋々了承してくれた。

 「じゃあ、お買い物行きます…」
 「もともとその予定でしょ…」

 そう言いながらアパートの部屋の鍵を陽菜が閉めるのを見守る。ていうか、いつのまにか合鍵陽菜が持ってるし…

 「行きましょ」
 「うん」

 鍵を閉めてくれた陽菜と手を繋いで歩き始める。2人で駅まで歩いて2人で電車に乗る。電車に乗って、2人掛けの椅子に座ってからも私と陽菜は手を繋ぎ続けていた。

 電車から降りてからも私と陽菜はずっと手を繋いで歩き続ける。陽菜と手を繋いで歩く時間はすごく好きだ。陽菜の手はすごく温かくて、柔らかくて、小さくて、心地が良い。私と手を繋いでくれている時の陽菜の表情もすごく好きだ。陽菜は幸せです。と言ってくれていると思えるくらい素敵な笑顔で歩いてくれる陽菜をちらっと見ると、陽菜は私に顔を向けてもっと幸せそうな表情をしてくれて私もめちゃくちゃ幸せな気持ちになる。

 何度陽菜と手を繋いで歩いても、この幸せは消えることはない。こうやって、手を繋いで歩くだけでこんなに幸せにさせてくれる人が隣にいてくれる私は本当に幸せ者だと思う。陽菜と手を繋いで歩くたびに陽菜と出会えてよかった。と思う。これからもずっと、この些細な幸せが続いて欲しい。と、陽菜と歩くたびに思う。だから、いつまでも、私の隣にいてね。







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