お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

お願い






 「はぁ……」

 最近では珍しく今日の私は1人でシャワーを浴びている。いつもなら私のかわいいかわいい彼女が一緒にいるのに、珍しく今日は1人でゆっくりしたいから先お風呂入ってください。と言われたからだ。

 「陽菜、お風呂出たよ。入ってきな……」

 お風呂から出た私はソファーに座っていた陽菜に声をかける。すると陽菜は慌てた様子で私から何かを隠した。

 「り、りっちゃんさん…早かったですね……あ、じゃあ、私、入ってきますね……」

 陽菜は私から逃げるようにお風呂場に向かって行った。私は、そんな陽菜をどのような目で見つめていたのだろう……

 陽菜には申し訳ないと思う。でも、それでも、すごく、気になってしまった。陽菜が慌てて隠したものはなんだったのか、気になってしまった。陽菜のカバンにそっと手を伸ばす。

 「まあ、ないよね……」

 陽菜のカバンには特に怪しいものはなかった。一体、何を隠そうとしていたのか…わからない。

 「…………」

 カバンの中には、前回の陽菜の定期診察の結果用紙が入っていた。特に気になることはなかった用紙を私はもう一度見て、少し安心しようとした。でも……


 「りっちゃんさん、お風呂出ましたよ。髪乾かしてくださーい」
 「うん。いいよ……」

 だめ。もっと、笑顔で……もっと、笑わないと…そうやって無理に笑顔を作ろうとしながら陽菜を私の前に座らせてドライヤーで髪を乾かしてあげる。

 「りっちゃんさん、何かありました?なんか、元気ないですけど…」
 「な、なんでもないよ」
 「嘘ついても陽菜、わかるんですからね。どうしたんですか?陽菜でよかったら話聞きますよ」
 「ねえ、私に何か隠してる?」

 聞きたくなかった。陽菜の大丈夫です。って言葉を信じたかった。でも、ごめんね。心配なんだよ。

 「急にどうしたんですか?」
 「最近、陽菜の様子が変だから…」
 「え?」
 「なんか、辛そうだし…それに、最近、陽菜が好きなものいっぱい作ってあげても食べてくれないし…ねえ、どうしたの?」

 明らかに困惑していた。陽菜が私の異変に気づいてくれるみたいに、私だって、陽菜の様子がおかしかったら気づくし心配するんだからね……

 「陽菜、話してよ。何かあったの?」
 「何も…ないですよ。陽菜は普通に元気です」
 「じゃあ、どうしてこの前の定期診察の結果って言って見せてくれた紙が、ずっと前の定期診断診察の結果用紙だったの?」

 この前、陽菜に見せられた紙を私は陽菜の前に広げる。こんなこと、聞きたくなかった。陽菜が見せ間違えただけ…だよね?お願いだから。そうだと言ってよ…

 「ごめんなさい…」

 陽菜はそう一言、私に謝った。泣きそうな表情で、私に謝る陽菜を私は抱きしめる。

 「話してよ……お願いだから……大丈夫って言ってよ……」
 「ごめんなさい……」

 それからしばらく、私は陽菜を抱きしめて泣いた。陽菜も、しばらく泣き続けて、2人でずっと、泣いてしまった。







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